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金の中央銀行協定更改

  • 2009-08-12 (Wed)17:31
  • 近藤雅世
8月7日金の年間売却量に関する中央銀行協定は、2009年9月27日から向こう1年間の売却量の上限を400トンと前年までの500トンから100トン減少して更新された。これには403トンのIMFによる金売却が含まれるが、中央銀行協定の売却枠は大幅に余るようになっていた。
最初の中央銀行協定は、1999年9月26日に欧州の主要中央銀行により締結され、5年間の政府保有金の売却量を2,000トンに抑えるという協定であった。2004年、この協定は引き続き継続され、今年の9月26日に終了する。2004年度以降の売却協定枠は500トンの使用状況は、497トン、395トン、475トン、358トンと消化されたが、今年は未だ136トンであり、364トンの未消化枠が余っている。この4年間で最大の売却国スイスは、これ以上の売却は行わないと声明しており、ドイツのブンデスバンクも、今年度枠での売却は考えていないと言っていることから、今年は364トン近くが余るものと思われる。過去に大量に売却したスイスなどの国では、なぜ金価格が高騰する前に安値で売ってしまったのかと非難が出ていることから、おいそれと売るわけにもいかない事情がある。(つづく)
しかし、国際通貨基金(IMF)は403.3トンを売却すると述べている。186カ国で構成されるIMFは、米国が17%の議決権を持っているので、まず米国議会の承認が必要となるが、既に6月米国議会はIMFの金の売却を承認した。残りの185カ国は10月までに承認するものと思われる。
従ってIMFの403.3トンは今期中というよりは2010年にかけての枠で売却されるものと思われる。大量の売りであるが、実際には銀行間の相対取引等で市場を通さず、ひそかに売られるので、価格への「直接的」影響は無いと思われるが、それだけ大量の売りが出るという心理的な影響は金価格をある程度押し下げる可能性がある。

金価格は、2007年以来金融不安から来るSafe Haven(逃避先:Heavenの天国ではない)として、また、インフレヘッジのために買われてきた。しかし金融不安は一段落し、インフレもHSBC銀行の試算では、今年は世界平均で0.9%、来年は1.8%程度に収まる見通しである。そうしたインセンティブが少し欠けてきた今、金価格は少しDullな雰囲気を漂わせている。当面株価と同じ方向に動くと思われ、景気回復に確信が持てれば金価格も上昇し、まだ実態経済は回復していないという指標や見方が現れれば、下落するだろう。いずれ、景気回復と共に、物価が急速かつ急激に上昇するようなことがあれば、金価格は1000ドルを超えることもあるだろうが、今のところはその勢いは無いように思われる。

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