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価格は緩いまま

4月4日公表された米国2月の耐久財新規受注は前月比▲3%減で、前年同期比は▲1.7%であった、過去19カ月で、14カ月前年比マイナスとなっている。またこのレポートでは個人消費や貿易も昨年第4四半期に低下して以来低迷していると述べており、まだ米国景気の回復は見られない。ただ、全米の3月の自動車販売はガソリン価格の低下等の影響を受けて+3.2%の伸びを示している。しかし、4月のFOMCで利上げされることはまずないと思われ、6月まで利上げ期待によるドル高は見られないだろう。そうした意味では商品価格は当面ドル高による圧迫は無いものの、1月〜2月にかけてのような世界的な株価値下がりによる経済不安は一段落しており、金のセーフヘブンとしての役割は一旦終了している。

また原油価格については、サウジアラビアの副皇太子は、イランが輸出凍結をしないのなら4月17日のドーハにおける会議に出席しないと述べており、そのイランは経済封鎖解除によりアジア諸国への輸出を増やしている。2月は、インド向けが日量21万5千バレル(前年同期は10万2千バレルで+111%増)、韓国向け28万2千バレル(同14万4千バレル、+95.4%)中国向け53万7千バレル(同53万2千バレル、+1.1%)日本向け23万9千バレル(同24万4千バレル、▲2%)合計128万バレル(同102万3千バレル、+24.6%)となっている。インドは3月には50万バレルを輸入する見込みで、サウジアラビアはこうしたイランの輸出拡大に業を煮やしている。これまで、インド向けはサウジアラビアとイラクがトップ2主要原油供給国だった。サウジアラビアは1月と2月でインド向けに94万2千バレルを輸出し、前年比+32%増となっている。サウジアラビアは、カタールの会議に出席するためには、すべての参加国が原油生産量を凍結することが条件であると述べているのに対し、イランは会議には出席するが、生産の凍結は考えていないとしている。妥協があるとすれば、サウジアラビア等がイランの生産凍結量を経済封鎖前の日量250万バレルで認めることであるが、これは現在のイランの生産量を更に+30万バレル増加させることを意味している。いずれにせよ、当分世界の原油需給は緩和することはあっても生産調整が行われる可能性は極めて低いと言わざるを得ない。よって原油価格は弱いままだろう。

東南アジアで干ばつ

 東南アジアの干ばつはタイのコメ生産、ベトナムのコメやロブスタコーヒー生産、インドネシアのパームオイル生産に影響を与え、パームオイル価格は3月初めから中旬にかけて上昇し、それが大豆油価格の値上がりにつながり、大豆油は同じ期間に約10%上昇している。どちらも食用油つながりで、家庭の台所には常備されているサラダ油の原料である。大豆油の値上がりは大豆価格の上昇を誘い、大豆価格は同期間6%上昇している。3月31日に公表される米国の作付意向面積の影響を受けると思われるが、大豆の作付面積は前年度を割り込むとの予想があるため、すでに価格には強気で織り込まれている。ただ、需給見通しを変えてしまうほどの大幅な減少は見込まれていない。いずれにせよ今年の米国産穀物は今後の天候等の要因で大きく左右されるため現時点での価格予想は賭け事に近くなる。ただ、春先にはそうした賭けをする人が多いのも事実である。

 干ばつが影響する作物として天然ゴムが挙げられるが、まだ影響を受けているかどうかはわからない。タイの南部では2月に平年以上の降雨があり、20年ぶりと言われるタイの干ばつは中東部から北部にかけてであり、天然ゴムの植樹は比較的少ない地帯である。ただ、天然ゴムは一旦枯れると切り倒す必要があり、再生産まで5〜6年を要するので、大事となる。東京天然ゴム価格は2015年1月以降東京原油価格と0.88という非常に高い相関係数をもって正の相関をしているため、原油価格が下落すれば天然ゴム価格も下がりやすい。

 原油価格は41ドル当たりに上値抵抗線があるものと思われ、跳ね返されているが、4月に開催される産油国会議で生産量が凍結されるかどうかが一つの焦点となる。ただ、イランやイラクが賛同するかどうか、仮に凍結が決議されても果たして守られるかどうか、更に1月の生産量に留まるとしても、原油の需給は、需要が低迷しているだけに、改善されるかどうかは不透明であり、大量の石油在庫が解消されることは無いだろう。したがって原油価格の上値は重く、ETFで買いこんだ株式投資家が原油ETFを早めに放棄すれば、価格は下がる可能性があると思われる。

過剰に悪く言われる中国

中国については、多くの情報が過剰に反応して語られる。先日友人が北京のスモッグはすごいらしいと言い、中国は公害に何の対策も打っていないのではないかと言うので、中国は日本円にして4兆円の国家予算が組まれ、世界で最も公害対策に金を使っている国だと説明したが信じてもらえなかった。中国政府にとっては全国の公害対策は最も重要な政策の一つになっている。
中国の経済減速により世界経済が影響を受けるという情報も少し過敏に語られているのではなかろうか。以前は低賃金を原動力に安いコストという商品を世界にばらまき、中国人はお金持ちとなった。急激に成金となった中国人に対する反感もあるのであろう。今後はそうした低コスト商品による輸出が減退して中国経済はだめになると思われる。また、中国は不良債権、過剰在庫、過剰設備投資、国営企業の非効率運営等、多くの問題を抱えて発展している。しかし、中国の国家予算は日本のような借金によるものではなく、資金的に十分な余裕があり、それを銀行を通じて企業に回している。
中国株価の度重なる下落はあたかも中国の投資家がすべからく資産を無くしたように語られる。しかし、2015年1月初めを100とした指数では中国株式価格が世界の株価の中で最も上昇しているのは事実であり、先週末までに+30.3%上昇しており、二位のベトナムの+3.6%を大きく引き離し、日経平均株価は+1.8%であり、ダウ平均株価に至っては▲7.4%&である。何度も中国株の急落が報じられているので、さぞかし下がっているだろうと思うのは錯覚で、急落は上がった株価の反動落ちに過ぎない。
トムソンロイターによれば、中国汽車工業協会(CAAM)が12日発表した2015年の中国自動車販売は、前年比4.7%増だった。前年の6.9%増から伸びが鈍化した。2015年の販売台数は2460万台。12月の販売は前年比15.4%増の280万台だった。同協会は先に、景気減速や株式市場の混乱などを理由に、2015年の販売予測を7%増から3%増に下方修正していた。
同協会は2016年の自動車販売が6%増加するとの見通しも示した。同協会のトップは先月、個人的見解として5%〜7%増との予想を示していた。同協会は、環境に優しい「新エネルギー車」の販売が2016年に70万台に達するとの見通しも示した。2015年の新エネルギー車販売は33万0192台だった。新エネルギー車は、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などを指す。
中国の自動車は売れなくなっているわけではなく、伸びが少し落ちているに過ぎない。

緊迫する世界情勢

年始早々世界同時株安となり、サウジアラビアとイランが敵対関係に陥っている。本日発行の株式会社コモディティーインテリジェンスの「週刊経済指標」に載せたが、1月4日の上海株価は1日で▲7.7%下落し、株式20市場の中で最も大きな値下がりを見せ、それがドイツの▲4.1%、フランスの▲3.1%、日経平均株価の▲2.9%、英国の▲2.8%など全世界の株価下落に波及しているが、12月1日から比べると上海市場とベトナム、豪州市場は100を上回っている。つまり、これだけ下落しても中国の株式投資家は12月初めから見てプラスとなっているのであり、8月24日の下落時と同様中国の投資家は株式市場のボラティリティーが高かっただけに過ぎず、決して多くの投資家が大損している状況にはない。ただ、中国が内包する不良債権、不良資産、不良在庫、過剰設備など整理すべき項目は枚挙にいとまがなく、多くの評論家がいずれ問題になると思っている。過去の中国は安い労働力を売り物として労働集約型の安かろう悪かろうという商品で一世を風靡した。しかし、そうした低コスト・低品質の商品はいずれ売れなくなる。中国の輸出は9カ月連続の減少で、輸入は13カ月連続で減少している。こうした経済の停滞は金持ち中国の印象をいずれ一変させるだろう。アジア・アフリカや中南米に見せた中国の資金力はいずれ限界が来るものと思われる。
一方、サウジアラビアとイランの国交断絶は一種の見かけ倒しに終わるかもしれない。国内に反政府勢力を抱き、原油価格下落による歳入不足、歳出削減に不満を抱く国民を抱える双方にとって対外的な緊張感は国民の目を反らす絶好の常套手段である。問題はこれがエスカレートして両国がホルムズ海峡をはさんで戦闘状態に陥るとか、機に乗じて両国内のどちらかに政変が起きるなどという事態に発展すれば、大事となり、その火種は抱えている。
中国も中近東も今後注目し続ける必要はあると思うが、今すぐどうのという事態ではないと思われる。
円高に影響を受けたがNY金価格が上がり、東京金価格も上昇した。金価格は上記の地域やベネズエラ・マレーシア・ロシア・ブラジルなどの産油国経済と共に、金価格の上げ要因となりうる地政学的リスクになる可能性がある。他の商品は、たとえば原油価格は、中近東次第ではあるが、それが張り子のトラであることが分かれば下落基調を余儀なくされるだろう。ただし、本物なら急騰する可能性がある。時に冗談も本気に取られることがあるので注意したい。

今年は売りの年であった

今年を振り返ると多くの商品投資をされていた方が、大きな損失を出されたことを耳にして、忸怩(じくじ)たる思いである。私も時々商品先物取引をネットで行っているが、
そんなに大損したことはない。なぜならすべての取引が1枚当たり3万円の損失で止まるからだ。損失の回数はかなり多い。しかし、年に一度でも利益がでると、かなりの損はカバーできている。

3万円が適切なのかどうかはわからない。すぐにひっかかってしまうからだ。資産に余裕のあるかたは5万円とか10万円の損切りラインにされれば良いと思う。
もう一つ肝心なことは、利益が出たら、損切りラインを上に動かしていくことである。間違ってはいけないのは、下に損切りラインを動かすことはご法度である。ただ利益がでたら今の価格から3万円下のところに損切りラインを移せば、例えば10万円もうかっていたら7万円の利益は確定する。これが肝心なことであり、儲かっていると利益を実現してしまうとそれ以上に儲けることはできなくなる。価格が上昇するときは、必ず下押しがある。その幅が3万円で良いのかどうかは検討の余地があり、資産があれば、もっと大きくしても良いが、とにかく、利益を深く取るためには、利益を勝手に実現してはならない。必ず損切りを上に動かすことで自動的にプロフィットテイクをする体制さえ採っておけば、大きく儲けることができるし、利益が損失に変わることはない。

投資のかなめは、損切りをうまく使うことである。今年は商品価格は下落の一途であった。

過去を検証すれば、空売りしていれば、大きな利益が出た年であった。商品先物取引は何も価格が上がることだけを狙うものではない。株の信用取引のように売りから入って価格の下落を狙うこともでき、株の信用取引と違うのは、日歩がかからない点だ。商品先物取引のルールは買い値を売り値が上回れば利益になることであり、どちらから入っても良いのである。今年は売り有利の年であった。果たして来年はどうであろうか?
執念で買いばかりを追求するよりは、状況を見て二刀流を使うべきであろう。

商品価格は一時的な反発の可能性

商品価格の一次的な反発の可能性
今後3つの理由で全般的に下押しされている商品価格が一時的に反発する可能性がある。
1つは、16日に米国FOMC(公開市場委員会)で利上げが決議されれば、利上げを見込んで買い進まれてきたドルが売り戻される可能性がある。ドルは昨年から2割以上高くなっており、少し異常だと思われる。一時的にせよドル安局面が現れればドル建ての商品価格は上がるだろう。
2つ目は、金と原油に対するファンドの売り残が積みあがっていることだ。何かの拍子で価格が反転すれば、それを見て空売りが買い戻される可能性がある。こうしたことは、それほど長続きするものではないが、一つの反転上昇のきっかけにはなるだろう。
3つ目は、商品全般に割安感が出ていることである。さらに売り込むよりは、安値を拾う感覚が広がるだろう。中国人やインド人は金の価格が下落しているときは傍観しているが、価格が底を打ったと認識すると安いうちに買い漁る傾向がある。どこまでも下がる雰囲気の中では買いは膨らまないが、反発し始めれば待っていた投資家が商品を買い始めることもあるだろう。

米国で利上げがあるとどうなるか(その1)

先物価格の予想は、将来を予想することである。ところでほぼ確実な未来が見えている。それは12月16日に米国連邦準備制度理事会は金利を0.25%引き上げることである。イエレン議長はじめ多くの理事が口裏合わせて12月の利上げを述べ、先週末の雇用統計で予想の18万5千人の増加をはるかに超える27万1千人の非農業就業者数の増加となった。失業率は5.0%でFRBが完全雇用とする4.9%にほぼ等しい。雇用統計発表前と後では、12月に利上げがあると予想する人は58%から72%に跳ね上がった。

もう、来月の利上げは確定である。人口統計同様、これほど明白は未来の予測を前にすれば、商品価格の予測はそれほど難しくはないはずだ。つまり、利上げが行われると何が起きるかを類推すればよい。

通常米国で『突然』利上げが行われると、借金を多くしている企業の株価は下落する。金利が上昇すれば、債券価格は下がる。金利が上がったドルは急騰し、ドル以外の通貨は下落する。これはすでに起きている。

これもすでに起きていることだが、ドルの金利が上がるとドルで借入している企業は困る。その中には、新興諸国の企業や政府等団体も含まれる。ドル建ての借金はこれまでのドル高・現地通貨安でも手痛い損害に遭っている。1000ドル借りている人は、ドル円が100円なら10万円の返済だが、ドル円が120円に2割円安になれば、12万円返済せねばならない。借入金利が安かったとしても、為替で大損である。これは現実に世界の新興諸国で起きている。

さらに、金利が安かったドルを借り入れて海外に貸していたファンドも、ドルの金利が高くなると、いわゆるレパトリエーション(借入れと貸出しの巻き戻しが起きて資金が還流すること)が起きる。ファンドは新興諸国などに貸していた資金の返済を迫り、貸出しを解消して、借り入れていた資金を返済する動きだ。新興諸国から現在急激に資金が米国に向かって流れているのがこの現象である。こうした事態は、12月に利上げが決定されたため、さらに大きな流れとなって新興諸国からの資金移動が起きている。通貨安と相まって新興諸国では企業も金融機関も政府もデフォルトの危機にさらされている。それは過去の通貨危機と同様に新興諸国の通貨危機となる恐れがある。
(この続きは来週:商品価格にはどんな影響があるか、みなさんも考えてみてください)

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