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「中国と米国の金事情」

先週と今週のGold TV Net(https://www.youtube.com/channel/UCJeiYMEFSimAGZmaQEaELug)では中国の銀行が取り扱っている金と、米国とカナダの金に対する意識調査について、World Gold Councilのレポートを使って解説した。ここで分かったことは、世界第3位の金の需要国(2019年度)の米国においても、金に対する情報が少ないとのコメントが投資家の間にあるという。55歳〜65歳の米国の投資家は金のことを良く知らず、近年金ETFを購入しているのは比較的若年の投資家がネットで買っているという。
 これに対して中国は日常的に銀行で金を販売しており、銀行は全国に支店があるためどこでも気軽に金の地金やコイを購入したり、純金積立をすることができる。また最近ではネット通販での販売が伸びているという。ETFも11銘柄が上場している。中国政府は早くから金市場の整備を国策として行っており、上海期貨交易所では金の先物取引で金価格を決め、上海黄金交易所では金の地金を取扱い、この交易所からの金の引き出し量が、中国の卸売り市場における金の需要を表している。また銀行は輸入ライセンスを取得して、海外から金塊を輸入して宝飾品メーカーにリースする事業を展開している。そのためメーカーは金の購入資金を用意することなく材料を入手でき、資金繰りが楽になっている。
 中国と米国を見比べると、中国人はインド人同様に、金を貯蓄の手段として考えており、価格が安い時に多く買う性向がある一方、米国では金をインフレヘッジとか株式投資のリスクヘッジとして考えているようだ。その意味では米国の方が日本に似ていると言える。最も米国は世界第3位で日本は世界第33位の金需要国であるが。
 余談だが、昨夜中野の中華料理店で食事した時、隣にいた中国人留学生と話しをする機会があった。彼は奥さんを中国に残しているが、結婚するときに彼の家族は嫁側の親族に約400万円を支払っていると言っていた。中国の農村部では今でもそうした風習があり、簡単には結婚できないのだそうだ。

「中国意外に健闘している」

  • 2020-10-28 (Wed)
  • 近藤雅世
昨日のYou Tubeでの無料セミナーで(https://www.youtube.com/channel/UCJeiYMEFSimAGZmaQEaELug)述べたことだが、米国では大統領選挙が混迷している中、また新型コロナウィルスからの影響から大半の国がなかなか抜け出せないのに対して、中国のみが昨年のGDPを超えて経済成長を見せていることは、驚嘆に思っている。筆者は1990年代香港に駐在し、中国には日常的に訪問していたが、当時は21世紀が中国の時代になるとは全く思っていなかった。社会主義のソ連邦が崩壊した時は、官僚が計画した数値を国有企業や人民が達成することが目標である社会主義では競争原理が働かないため、命令された員数だけ作れば事足りる経済であり、結局品質の向上という視点が抜けていた。案の定ソ連は崩壊し多くの社会主義国家は資本主義に移転した。中国でも毛沢東時代は、隣の村が報告した生産量に負けてはならないと競って多くの生産量が達成されたと中央に報告し、その結果穀物を輸出するほどだった。実態は、架空の生産量であり、人民は食べるものがなく数千万人が餓死したと言う。ここまでは社会主義は非効率であると断定できたが、小平という賢人がトップに立って、西欧の新技術を経済特区に導入し、黒い猫でも白い猫でもネズミを捕る猫はいい猫だと言う格言を示し、競争して金持ちになることを黙認した。長くなるので、この辺りで端折るが、要するに、賢明な官僚が統制すれば、政治に対して人々がいろいろなこと述べる民主主義よりも、独裁的なシステムの方が新型コロナウィルスのようなパンデミックを乗り切るのはより効率的かもしれないと思っている。習近平主席に対して、長老たちが東シナ海での戦略を批判したと言う記事を見たが、独裁政権に対する賢明なレビューする組織がある限り、意外と中国は今後も成長を続けるのかもしれないと、少し残念な気持ちで思っている。

『米国株についてのご質問に答えて』

    毎週月曜日夜8時にYouTubeで放映している『Gold TV Net』(https://gold-tv.net/)という番組で金と原油についての解説をしているが、ときどき良いご質問をいただく。

    昨日は、小生が米国株よりもインドや将来はアフリカの株の方が良いのではないかと述べたことに対して、『米株式!に将来性が無いと言う事は米国経済が衰退してゆく事を予想すると言う事でしょうか?また、中国経済は復活するとは言われていませんが、暗示的な表現をしている様に感じましたが?インドなどの新興国が世界経済を牽引する事になるのでしょうか?正直に言うと、想像がつきません』というご質問をいただいた。
    これに対して私の私見を以下のように述べてみた。ご参考まで。

    米国株価はかれこれ10年近く上がり続けております。ことに最近の米国株はGoogle、Apple、Facebook、AmazonのいわゆるGAFAの株価が上がっていますが、Apple以外は虚業に見えます。宣伝の手段とか、物流の企業で、元になるモノの生産は行っていない企業ばかりのような気がします。時代は重厚長大から自動車産業、携帯電話と生産物の形態は変わってきましたが、今日の問題点は携帯電話に代わる産業が隆盛していないと言うことだと思います。いわゆる第三の矢の産業候補がいないことです。モノが過剰なため、値引き競争でデフレになって、ますます収益性が落ちて研究開発ができない状況で、政府や中央銀行がやっきになって景気浮揚策を税金や紙幣の増発で買い支えている状況かと思います。
    いわゆる株価も健全な投資環境ではないと思っております。

    世の中にモノがあふれ、それ以上のモノは要らなくなっているということかもしれませんが、次の産業の無い所で株価云々というのは、単なるマネーゲームに過ぎず、マネーゲームは人々の心理で動くものです。

    相場は元々そうしたものだとは思いますが、米国株に限らず、先進国株価はもう行きつくところまで来ているので、次の投資先は新興諸国や発展途上国の株価だと思っています。無論米国株よりはリスクは高いのですが、伸び率はほぼ飽和状態の先進国よりもずっとあると思います。

    これはエネルギー統計等を見ているとそう感じる次第です。

    原油にせよ、電力にせよ、自動車にせよ、先進国は、エネルギー飽和状態にありエネルギー需要の伸びが止まっていると感じます。

    その点アフリカのエネルギー開発はこれからで、発展途上国は一足飛びに最先端技術を取り入れて、一気に先進国を追い抜くことが多いというのが中国やインドの発展を見ていると感じる次第です。先進国が亀のように技術開発をしてきたのを発展途上国は一気に果実を先取りしてしまうのです。

    だから、発展途上国の方が伸び率は先進国よりずっと大きいのです。

『短期的には金は反落、長期は上昇』

  • 2020-08-19 (Wed)
  • 近藤雅世
    金についてこのコラムで金価格は一時的な天井かもしれないと書いたのは7月21日であったが、実際にNY金価格や東京金価格などの先物価格が過去最高値となったのは8月7日であった。NY金価格は2,089.2ドルの過去最高値を更新し、東京金価格は7,032円と上場来高値となった。その後急落しているので、予言通りだっただろうと安堵のため息をついたものだ。ただそれを言うのが、3週間ほど早かった。なぜ反落するかと思ったかというのは、今回の金の投資家は欧米の金ETFを通じた金融投資家であり、ファンドや常連客の中国やインドの金投資家は買っていないからだ。
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    インドでは第2四半期の金の需要は前年同月比▲74%減だという。常日頃から金を貯蓄として購入している世界の人々は、高い時には買いを手控えて様子見を決め込む。金の需要がなくなったわけではなく、彼らは安くなるのを待っているのだ。トルコなどの通貨価値が急落している国の人々は、銀行預金を引き出して我先に金に資産を換えているため、金の需要はそれ程落ちていないが、ある程度通貨が安定している国では、過去最高値の時に金を買う人は少ないのであろう。

    新型コロナウィルス蔓延により経済活動が落ち込み、株価が急落した国では、金融投資家は債券に資金を持ち込んだが、10年物米国債の利回りは一時0.52%まで低下した。つまりそれだけ債券価格が上昇したと言うことであり、高値の債券を買う人は少なくなった。こちらも少し金利が揺り戻している。

    金融投資家は他に良い投資先があればいつでも乗り移る人々であり、同じところに留まる人々ではない。金より割安な投資先があれば、金で儲けた資金を利益化して他の投資に回る可能性は大きい。従って今後の金価格は更に下落する可能性が高い。ただ、ある程度納得のいく金価格になれば、中国やインドの婚礼を迎える花嫁のために金を買うことだろう。いわゆる持参金と言うやつだ。従って金価格が安くなれば根強い需要が現れるので、金価格が大きく下落することは無いだろう。先進国では今のところインフレの気配はないが、それでも物価連動国債TIPSは売れ始めている。多くの投資家がそろそろインフレが近づいてきていると感じているのかもしれない。無論トルコやアルゼンチンなどのハイパーインフレの国では、通貨をモノに換えないと毎日資産は目減りしていく。安定的なモノの代表格が金であり、基本的には金の需要は衰えないだろう。金を長期投資の観点から購入するのはもっともなことであろうが、短期的には金価格は下落する可能性があるかもしれない。

金価格は一時的な天井かもしれない

    金について書く機会が増えているが、その都度いろいろ調べていくと、どうも現在の金価格は上がり過ぎだと思えてしかたがない。昨年初めから7月17日までに、東京金は+38%、NY金は+41%上昇している。その間に日経平均株価は+16%、ダウ平均株価は、+12%の上昇である。昨年初めを100とした指数グラフを見ると、株価の値下がりに対して金価格が上昇していることが見て取れる。

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    この値上がりの間に金を買った人々は、主に金融投資家だったと思われる。つまり株価の下落に対して、金を買った人が多い。それは今年6月までの金ETFの買い残が増加していることでわかる。主に米国と欧州の金融投資家が証券会社を通じて金を買った。しかし、いわゆる常時金を売買しているファンドは出動していない。むしろ金価格とファンドの建玉は逆相関している。ファンドのネット買い残と金価格は、2019年は0.96という高い正の相関関係にあった。つまりファンドが買うと金価格が上がり、ファンドが売れば金価格が下がると言う構図となっていた。それが今年の相関係数は▲0.54と負の相関になっている。

    つまりファンドが売っても金価格は上がると言う状況となっている。

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    一方で、第一四半期以降の世界の金の需要を見ると、宝飾品や金地金・コインの需要は減少している。ことに世界最大の金消費国である中国とインドの金の需要が大幅に落ち込んでいる。金市場の常連客である彼らは、高い価格の金には手出しをしない。

    それにもかかわらず金を買う人が多く、価格が上昇しているということは、金の需要はそれ程底堅いものではないと言うことである。もし景気が回復したり、他に良い投資先が見つかれば一見(いちげん)の客は他の店に流れてしまう。過去の金の需要と価格の関係を調べると、宝飾品等の金の需要が減少すると、価格は下がることになっていた。第2四半期の金需要はこれからWorld Gold Councilにより公表されるが、第1四半期同様金需要は落ち込んでいるものと思われ、よりどころを失った金は下落すると思われる。

    金はもともとリスクヘッジのための安全資産であった。リスクが生じた場合の保険である金投資は、今回は新型コロナという未知の危険に人類が遭遇して思いもよらない経済不況を現出させた。まさか街のネオンが消えるような状況を一体だれが今年初めに想像できたであろうか。

    日頃から金を保険つなぎとして買い貯めていた人は、これから売り抜けるだろう。他の資産の減価を金の利益で補うためである。ノミナル(名目的)な利益では損失を補うことはできないので、どこかで高値と判断すれば、金のETFを買っていた人は売り抜けるものと思われる。

    そこに新たな投資家が入るかどうかは、今後の新型コロナの見通し次第である。つまり、第二派が深刻な影響を世界経済に及ぼし、再びロックダウンになるようなことがあれば、新手の金への投資資金が集まるだろう。しかし、そうでなければ、そっとプロフィットテイクをする人々を見て、金を保険として買っていた人々は我先に争って売るだろう。

    今はそうした微妙な段階にあるのではないかと推察している。

    保険としての金投資は、価格が上がる前から行っているべきであり、事件が起きてから保険に加入することはできない。

プラチナは魅力的か?

    最近の金の価格は動意が薄いと感じるのは私だけだろうか?小刻みに上昇して7月1日1800ドルを達成したが、その上昇の根拠を問われると良くわからない。中国の金現物需要は低迷し、金を買う人より、売る人の方が多いようだ。インドも同様で、インド国内の金価格が高くなっているため、いつも金を購入している人々は様子見となっている。政府保有金も、2018年〜19年の勢いはなく、この半年で外貨準備のために金を購入した中央銀行は5行しかなく、5月はトルコとウズベキスタンの2行のみであった。金価格は高過ぎるので買いは手控えようとする人々の意識が透けて見える。いずれ第2、第3四半期の金の需要量がWorld Gold Councilから公表されるだろうが、世界の需要は大幅に減っていることが明らかになるだろう。需要が減れば価格は下がる。

    それにひきかえ、プラチナは、第1四半期の世界の需要が過去40年間で最大になったとWorld Platinum Investment Councilは述べている。中国の上海黄金交易所からの引き出し量もプラチナは昨年の5.3トンから14.5トンに約3倍に増加している。中国の貴金属商が、将来製作する宝飾品のために、安値の間にプラチナ地金を仕入れる動きだと言われている。筆者は2018年に南アのプラチナ鉱山が半年間ストライキを行ったのにプラチナ価格が下落し、市場では在庫が多いというのが下落の理由になっていた。以前世界のプラチナ地金の13%の現物取引を扱っていた筆者としては、在庫が多いということは信じることができなかった。なぜなら、生産者の在庫量も、ユーザーの在庫量もどこにもデータは出ていなかったためだ。ことに自動車メーカーがどれだけ原材料を確保しているかなどという数字は秘中の秘であり、ごく一部の限られた人のみが知っていることであり、外部からは分かりようが無い情報である。それを、後輩を含めてプラチナディーラーがまことしやかに世界に在庫があると述べていた。この時から筆者はプラチナについて述べることを止めた。今回のプラチナのコメントは何年振りかである。今言えることは、プラチナ価格はまだ下がるかもしれないが、下値はそれほど大きくなく、上がる可能性はそれ以上に大きいということであり、決してプラチナ価格が上がるとは言っていない。ちなみにドイツのデグッサ社と英国のジョンソンマッセイ社は、パラジウムに換えてプラチナをガソリン車向けに利用する技術を確立したという。

3000億円の偽の金塊融資事件

    昨日の週刊ゴールドに買いたことであるが、湖北省の中国最大といわれていた宝石商が、借入の担保としていた金塊82トンが銅地金に金メッキをした偽物だったことが判明したという。この企業の名前はWuhan Kingold Jewelry Inc.、なんと、ニューヨークのナスダックに上場している企業で、この金地金を担保とした借入金額は、200億元(約3,000億円)とそのスケールの雄大さに二度びっくりである。

    その資金の一部で、燃料電池を作る国有企業の自動車部品企業を買収し、湖北省から民営化のモデルケースとして表彰もされていたという。
日本では金塊を担保に入れることはまずないと思われるが、金塊の場合は鉛などを中に入れている可能性を否定できないため、金塊の買取業者としては、溶かし直して調べることが当たり前であり、このケースの中国の金融業者もチェックしたという。ただ、82トンもあると、全量を溶かすことはなかったものと推測される。本物の金塊をうまく差し出せば、残りは偽物であってもわからない。筆者の経験で言えばフェロシリコンを中国から買う時によく騙された。広東省の港まで出向いてフェロシリコンが積んであるフレコンバッグの山をよじ登って適当なところを切り裂いて中身を見ると銀色に光った本物が出てくる。納得して日本に送ると、ユーザーから近藤さん、中身は石ころでしたよと電話がかかり青くなることがしばしばあった。

    相手が騙そうとすれば、騙されないようにするのはとても難しい。余程注意していても、人を騙すことは恐らく簡単であろう。若い頃日本ではアルミスクラップの取引で騙されたことがある。この業者は真面目な取引をなんと5年も続け、彼の持ち込むスクラップは間違いないと信用を得た上で、恐らく10社近い商社に一つの商品を販売し、各社から商品代金を得てどこかに逃げた。各社は自分のところに受け渡された物だと信じていたが、現物は一つしかなかったと言う次第。その後この人物を見た人はいないが、彼は長年にわたってこの詐欺で数十億円を懐にするために画策していたものと思われる。ただ、上記の金塊に比べればかわいいものである。

    フィリッピンのマルコス大統領が保有していた金塊があるという人が訪ねて来たこともある。この時は、「それは凄いですね、是非見たいから現物をこの机の上に並べてください」と述べたら、ひとしきりああでもないこうでもないと話を聞かされて、その人物は帰って行った。物を見ずに支払うのは駄目である。たとえよく知っている知人でも上記の例があるから支払ってはならない。

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