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ギリシャ問題はどうなっているのか?

  • 2012-02-14 (Tue)17:32
  • 近藤雅世
ギリシャ国会は12日緊縮財政法案を賛成199対反対74で可決した。全ギリシャ社
会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)の二大政党が年金や最低賃金のカット
を含む法案を支持した。新聞論調では、これでギリシャ危機が去ったという見方
が書いてあるがそれは間違いである。

今後のスケジュールとしては、15日にユーロ圏財務省会議と並行してギリシャ債
務の持続性についての修正評価が公表される。その後元本の半分を減らすギリシ
ャと民間債権団との協議が再開される。ドイツ等ユーロ圏の一部の国の議会は
その後に第2次救済資金供与を承認しなければならない。それが終わったの四3月
1日〜2日の欧州首脳会議と3月上旬のIMF理事会で二次支援と債務交換を正式承認
する。余裕資金を持っていないEFSFは3月上旬に債券を発行し、
二次支援第一弾融資を実行するための資金を調達する。
こうして初めて3月20日の国債償還にぎりぎり融資が間に合うという段取りである。
どれ一つつまずいても3月20日の145億ユーロのギリシャの国債借り換え資金は調
達できないことになり秩序無きデフォルトに陥る可能性がある。

最大の山場は民間金融機関との債務交換協議であり、またそれが妥結してもその
債務交換に対する民間金融機関の参加率が問題となる。90%以上の民間金融機関
が自発的に債務交換を受け入れるかどうかが鍵となっている。その参加率が少な
ければ少ないほど、ギリシャの債務負担は拡大し、70%の場合287億ユーロ、GDP
比で13.2%も増加する。参加率が想定を下回れば集団行動条項(CAC)条項を決議
し、強制的な参加に切り替える必要がある。そうなれば格付け会社がデフォルト
と見なす可能性があり、またECBが保有する約500億ユーロと見なされるギリシャ
国債も損失が発生する。更に国債のデフォルト時の損失を補償するCDSの支払い
事由に該当することとなり、米国金融機関へ損失が波及する。それを危惧して米
国政府からCAC条項発動を取り下げるよう要求がある可能性もある。

欧州金融機関は昨年12月21日にECB(欧州中央銀行)が実施した3年物の資金供給
オペ(LTRO)によって資金繰りが潤沢となり、2月29日に予定される第二回OPEで
資金繰りの問題は解消するものと思われる。従って、ギリシャ不安がすぐに金融
機関の信用不安やイタリア、スペイン国債の利回りを上げる可能性は少ない。し
かし、こうした貸し出しにより、問題が解決されたのではなく、先送りにされて
いるだけであることは認識しておく必要があるだろう。

金価格は、ギリシャ不安が沈静化したとして下落している。しかし、沈静化は一
時的なものでしかなく、ギリシア国会が緊縮財政を可決したのは、一つの条件が
満たされたに過ぎない工程である。再びデフォルト不安が出る可能性があり、金
価格はそれに反応することもあるだろう。

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