- 2011-02-24 (Thu)16:54
- 近藤雅世
- 原油
NY原油価格は2月23日100ドルを付けた。東京工業品取引所の原油価格は24日55240円を付けた。これは2008年10月以来3年4カ月ぶりの高値である。原油価格高騰の要因はリビアの政変であるが、リビア自体の問題は大したことはない。日本はリビアから輸入していないし、米国も原油をリビアから輸入していない。
商品先物取引で念頭に置かねばならないことは、常に未来の価格を予測して取引されているということだ。過去に起きた事件やニュースで商品先物価格は上がらない。今回のリビアのカダフィ大佐が、反政府デモに対して傭兵に発砲させたり、空爆したために原油価格が上がっているわけでもなければ、リビアが原油を生産しているからでもない。市場が懸念しているのは、リビアの反政府運動が、サウジアラビアやイラン、それに中国に飛び火しそうだからである。
サウジアラビアはロシアに次いで世界第二位の原油生産国であり、イランは米国に次いで世界第四位の原油生産国である。この両国に問題が起きればリビアよりもはるかに大きなインパクトがある。3月31日に中国では反政府デモが行われるとネット上に書き込みがあり、中国政府はこの書き込みを消すのに躍起となっている。世界一のGDPを誇る中国に政変があれば、世界中が巻き込まれるだろう。そうした恐れを市場が感じて原油価格は上がっているのである。
商品先物取引で念頭に置かねばならないことは、常に未来の価格を予測して取引されているということだ。過去に起きた事件やニュースで商品先物価格は上がらない。今回のリビアのカダフィ大佐が、反政府デモに対して傭兵に発砲させたり、空爆したために原油価格が上がっているわけでもなければ、リビアが原油を生産しているからでもない。市場が懸念しているのは、リビアの反政府運動が、サウジアラビアやイラン、それに中国に飛び火しそうだからである。
サウジアラビアはロシアに次いで世界第二位の原油生産国であり、イランは米国に次いで世界第四位の原油生産国である。この両国に問題が起きればリビアよりもはるかに大きなインパクトがある。3月31日に中国では反政府デモが行われるとネット上に書き込みがあり、中国政府はこの書き込みを消すのに躍起となっている。世界一のGDPを誇る中国に政変があれば、世界中が巻き込まれるだろう。そうした恐れを市場が感じて原油価格は上がっているのである。
ところで、2月22日(火曜日)連休明けの米国では奇妙な現象が起きた。それは穀物価格の暴落である。リビア問題から一方で原油と金の価格が上昇している矢先に、穀物価格はストップ安となった。おそらくファンドが数万枚単位でトウモロコシ、大豆、小麦の買いポジションを売ったのであろう。これはファンダメンタルで南米が豊作になるという程度の情報ではないだろう。アルジェリアから端を発し、チュニジアとエジプトの大統領を罷免し、ヨルダンの首相を解任し、イエメンの大統領の時期選挙不出馬を約束させた反政府活動の原因は、穀物と砂糖価格の高騰である。G20首脳会議を待つまでもなく、各国政府首脳は、シカゴから発せられる穀物価格の高騰に劫を煮やしていることだろう。その政治力は米国をしていずれ商品市場の投機抑制に動かせることを予感して、利益が乗っている段階で逃げ出したファンドがあり、それにわれもわれも追随し、逃げ遅れたのが一般投資家なのではないだろうか。
同じことは、原油や金価格でも起こり得る。金の場合は、価格がどれだけ上がろうが景気動向には関係ないが、原油価格の上昇は、せっかくよみがえろうとしていた世界の景気に水をかぶせるようなものだ。
仮に今回の原油価格上昇がリビアだけの地政学的リスクで終わったなら、近い将来原油価格は2009年並みの暴落となるだろう。
ただし、リビアからサウジアラビアや、イラン、中国に飛び火すればこの限りではない。本当に実際の需給に影響を及ぼす可能性があれば、原油価格はどこまででも上がることはあり得る。
我々は、今歴史的瞬間を目撃しようとしている。事の成り行きを目を皿のようにして見守る必要がある。それが将来を予感するヒントとなって、商品価格を見通す力となるだろう。
同じことは、原油や金価格でも起こり得る。金の場合は、価格がどれだけ上がろうが景気動向には関係ないが、原油価格の上昇は、せっかくよみがえろうとしていた世界の景気に水をかぶせるようなものだ。
仮に今回の原油価格上昇がリビアだけの地政学的リスクで終わったなら、近い将来原油価格は2009年並みの暴落となるだろう。
ただし、リビアからサウジアラビアや、イラン、中国に飛び火すればこの限りではない。本当に実際の需給に影響を及ぼす可能性があれば、原油価格はどこまででも上がることはあり得る。
我々は、今歴史的瞬間を目撃しようとしている。事の成り行きを目を皿のようにして見守る必要がある。それが将来を予感するヒントとなって、商品価格を見通す力となるだろう。
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