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過去の記事 - 2016 / 02 -

ボラティリティーは高くない

  • 2016-02-17 (Wed)
  • 近藤雅世
  • 原油
最近の東京原油価格はボラティリティーが高くなっているのではないかと思って調べてみたが、そんなことはなかった。詳しい表やグラフは今週末金曜日発行の週刊CXに書くつもりだが、数字的なことを述べておくと、東京原油価格の2016年1月の月中高値は29,440円、安値は28,800円で、その差は640円であった。これは極めて低い数値で、2004年5月に50円という高低差があるが、それ以来の低い変動幅であった。感覚的には日中に朝方のÑY市場を見て値上がっていればプロフィットテイクの売りが出て午前中に下がり、午後から再び上がるというような値動きになっているのではないかと感覚的に思っていたが、はっきりした数値で示せるわけではない。毎日の高低差の平均がかなり小さくなっているというのが数値的な事実である。例えば2014年10月原油価格の下落が始まった頃は月に12,180円と五桁の高低差があった。それが今年に入ってからは三桁に落ちている。

ちなみに東京金価格の今年1月の平均高低差は207円であり、おおよそ標準的な値差である。こちらもボラティリティーが高くなっているわけではなかった。昨年7月、8月、10月、11月は300円以上の値差だったので、それよりは100円ほど動きが沈静化しているという数値となっている。ずいぶん感覚とは違うものだと思った。

 NY市場が休みの間に原油価格はサウジアラビア、カタール、ベネズエラ、ロシアが会合を開き、1月の生産量で今後の生産を凍結する合意をし30ドル台を回復したが、休み明けのNY市場では、夜間取引では5日以来の水準へ急伸したが、減産に踏み切るまでには至らなかったことから、引き続き供給過剰懸念が重しとなり、その後は一転して大きく切り下がり、再び29.04ドルと30ドルを割っている。原油価格もなかなか一筋縄ではいかない。

 最近の商品価格は大きなトレンドになりにくい。金も原油もETF経由で証券投資家が売買を行っており、より多くの視点が入るようになっている。一方向にまとまると大きな動きとなるが、そうした時は限られており、通常は硬軟相まって綱引きとなっている。それがボラティリティーの低さになっているのではなかろうか。値動きが緩慢なのは歓迎すべきことではあるが、大きなトレンドが出ないことには大儲けは夢のまた夢である。

1月20日に東京原油を買ったとしたらのシミュレーション

  • 2016-02-04 (Thu)
  • 近藤雅世
  • 原油
この欄で「原油価格はそろそろ上がるかもしれない」と書いた1月20日から2月2日までの東京原油価格は上下動を繰り返して上昇している。この間に最適な取引を行えばどうなったかをシミュレーションしてみた。

20日の始値21,060円で損切りを▲600円で同時に注文して一枚買いを入れたとしても、その日のうちに買い値より▲1,380円安い安値があるので、ここで損切りが執行されており、▲3万円(▲600円×50倍)の損失である。

その翌日21日の始値の19,700円で再度買いを入れても、その日の間に▲730円という安値があったので、再び▲3万円の損失である。

その翌日22日の始値19,650円で三度目の買いを入れる。今度は大当たりで、当日中に▲260円安があったが、その後は今日2月2日の終値25,140円で+5430円(×50倍=の271,500円)の評価利益となっている。こうなれば、プロフィットテイクをせずに、損切りラインを今日の終値25,140円マイナス2,000円=23,5400円に移し替えれば、最低でも171,500円の利益は確定している。また現在価格から2,000円の反落までなら耐えられその後の上昇を享受できることになる。

要するに、一度の取引で最善は叶わない。この場合は二度失敗して▲6万円の損失を出した後、17万1,500円の利益を確定させているので、ネットでは11万1500円の利益である。ちょうど一枚分の証拠金より少し多い収益であり、収益率はわずか10営業日で資金が二倍になった勘定となる。

さて、原油価格は難しい段階にきている。ロシアとサウジが協調減産するという噂で原油価格は上昇したが、それは無いだろうという市場の見方で下落している。仮に減産協議のためにOPEC臨時総会が開催されることになれば、原油価格は急騰するだろう。しかし、噂倒れとなれば、反落する可能性がある。需給はOPECのOil Market Report1月号によれば、2016年は供給不足に転じる数字となっている。米国等の減産が下半期に予定されているためだ。原油価格が低迷すれば、米国のシェール油田を経営する企業の資金繰りは苦しくなるだろう。しかし、40ドル以上に上がってくれば採算は取れて融資も受けられるだろう。現在の31ドルとはかなり微妙な段階である。また背景には過去5年平均を上回る大量の石油在庫が世界にある。
明後日朝に公表されるEIAの石油週報では原油在庫が減るか増えるか原油輸入の入着動向次第で微妙なところである。触らぬ神に祟りなしかそれとも、いちかばちか賭けに出るか。3万円のロス程度なら賭けても良いかもしれない。

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