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  • 2010-02-17 (Wed)18:53
  • 近藤雅世
東京金は横ばいとなっている。NY金はEU財務相理事会がギリシャの財政再建計画を承認したことを前向きの評価し、また、ユーロ安に対するヘッジとしての金買い需要が出るという見解によりリスク資産への回帰として29.8ドル高になった。現在の金価格の要因はかなり複雑であり、一方的なものは少ない。つまり、ギリシャに対する救済措置にしても、2日間にわたる会議の末取り決められたのはギリシャの自立更正を促す行程表の作成日程だけであった。計画の予定表を作るだけのことであり、その計画が実行できるものなにかどうかは今後にかかっている。従って、金価格が昨日上方に振れたからといって今後もそうなるとは限らない。4月〜5月にかけて3兆円に上る国債の償還のためには3月中にギリシャは10年国債を発行せねばならない。その売れ行きが悪ければ、今のドイツ国債との金利差4%は更に大きくなるだろう。そして資金が調達できないようなことになれば、金価格はどのように反応するであろうか。まずユーロの値下がりが考えられる。ユーロが下がれば金も下がるという見方がある。しかし、年初から2月12日までのユーロドルと金の関係は0.88という高い正の相関関係にあったが、それ以降はユーロ安が必ずしも金安につながっていない。やはり金価格はユーロに連動していたというよりは、ドル安の対極にあったものと思われる。そうなればユーロ安もドル高にはなるが、ドルそのものが他の国の通貨との関連で強いかどうかが問題となる。この場合日本は例外である。なぜならドルキャリートレードの分量以上に円キャリートレードが存在すると想像され、ドルキャリートレードの巻き戻し、即ち新興諸国などからの投資の引き上げがドル高をもたらすときには同時に円高にもなると考えられるからだ。ドル高でも円安になるわけではない。
(続く)
次に問題となるのは中国であるが、1月の中国70都市の住宅価格は9.5%上昇している。おそらく庶民の手の届かないところで住宅が売買されているものと想像される。不動産業界のバブルである。中国の不動産業界は豊富な借り入れにより大型物件を次々と購入している。しかし、そうした大型物件は、そこに入居する需要があってこその資産価値の値上がりである。庶民の手の届かない価格に到達した資産は、一部の不動産会社を転々流通する間だけは資産の増殖をもたらすが、最後にババを引いた会社は不良資産として倒産するだろう。当然そこに貸し込んだ銀行も不良債権の山となる。それを恐れた中国政府は0.5%の預金準備率を今年に入って2度行い、金融引締めに乗り出した。中国の1月の卸売り物価指数は4.3%上昇し、12月の1.9%から飛躍した。今後消費者物価も上昇し始めることと思われる。そうなれば近々中国が利上げすることは多いにあり得る。利上げは株安を産む。株安は中国からの資金の撤退をもたらす。それはドルキャリートレードの巻き戻しとなってドル高、金安を産む。

こうして、一つの事態だけでも金高になるのか金安になるのか市場のセンチメントを読む必要があるのに、三つも四つも異なった事態が起きれば、一方的に金高になるとか金安になるという事態は考えにくい。ここ当分金価格は上がったり下がったりするだろう。
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