- 2010-02-24 (Wed)18:03
- 近藤雅世
- 金
今年に入ってからのNY金価格はDOW平均株価と0.90という高い正の相関関係で動いている。ギリシャの財政問題でも、EU理事会やEU財政相理事会でギリシャ救済の決議が為されたら即米国株価は上昇し、金価格も上がった。実際問題としたは、4月〜5月にかけて3兆円に上る国債の償還資金の調達は容易ではないと思われている。EU理事会でも財務省会議でもギリシャに融資を行うという発言は一切無かった。ただギリシャの自力更生を慎重に見守るという内実の無い結論を株価は好感した。一方為替の方はユーロは全面安である。ユーロドルばかりでなく、ほとんど全ての通貨に対してユーロ安となっている。米ドルはというと、ユーロ圏通貨には強いが、新興諸国通貨に対しては下落している。だから、ユーロ安=ドル高=金安という公式は当てはまらない。ユーロ安=ドル高であるが、金高でもある。金価格が株価に連動しているということは、米国景気が良くなれば金価格が上がるということになっている。米国景気は、以前よりは改善してきた。住宅着工件数は横ばいとなり、鉱工業生産指数や設備稼働率は上がってきている。そんな中で、昨日のように2月の消費者景気信頼感指数が10ヶ月ぶりの低水準を示すと、金価格も急落する。もっと劇的に景気が悪くなれば、金価格も上がるのであろうが、24日に発表されたFDIC(米連邦預金保険公社)が公表した2009年末で問題ある銀行の数は702行に増えたというニュースには反応していない。第3四半期末には552行であったので、150行増加したということだ。先週19日には5行が倒産し、昨年140行だった米国金融機関の倒産件数は今年は既に20行となった。金価格がわかりにくいのは、様々な変数が、それぞれに時と場合によって異なった反応をすることだ。2009年米国の金融不安は金価格を上げる動きをしていた。しかし、中国のバブル崩壊懸念などは、不安ととって、金価格が上がるのかリスク資産からの逃避として、金価格が下がるのかはそうなってみないとわからない。いずれにせよ、金価格が大幅に下落するような安心できる情勢ではないと思うので、NY金価格は1100ドルあるいは悪くても1045ドルの支持線を下回ることは無いと思う。
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