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ギリシャ問題

  • 2010-02-10 (Wed)17:58
  • 近藤雅世
金の価格は揺れ動いている。これはギリシャの資金繰りがうまく行くかどうかに焦点が集まっているからだ。ギリシャは、財政赤字はGDPの3.5%であると述べていた。しかしこれは粉飾であり、実体はGDPの11.7%であることが判明。

そうした事態の急変にギリシャの格付けは引き下げられ、ギリシャに資金を貸す銀行がいなくなってしまった。それが、現在の問題である。先週末には407.5であったギリシャ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)レートは、今週426に跳ね上がった。

何を意味するかというと、ギリシャ5年物国債1000万ドル(約9億円)が債務不履行になることを担保する保険料率が先週の40万5千ドル(約3645万円)から42万6千ドル(約3835万円)に1日で190万円上昇したということだ。同様にスペイン国債のCDSレートは166.5から172.9に、ポルトガル国債は227から244.06に急騰している。ギリシャは資産がないことがわかり、銀行はギリシャ国債の購入を躊躇している。そのためギリシャ国債の金利率はドイツ国債に比べて一時は7%近くのスプレッドが生じた。それだけ高い金利を払わねば誰も貸してくれない状況である。

今週月曜日、ECB(欧州中央銀行)トリシェ総裁はギリシャの財政再建は可能であると楽観的な見通しを述べていたが、ユーロは急落し、各国通貨に対して全面安となった。また、世界の株価は一斉に下落した。この事態の急変に、トリシェ総裁は訪問中のオーストリアから急遽引き返し、また市場ではドイツがギリシャに手を差し伸べるのではないかとの憶測から一時はユーロが持ち直した。しかし、ドイツ政府高官は今のところ救済の言質を与えていない。

仮にドイツがギリシャ国債を保証するようなことがあれば一件落着であるが、これは今後他の財政赤字国が同様の事態に陥った時にどうするかというモラルハザードの問題が生じる。

市場は、明日2月11日に開催されるECB理事会の行方を見守っている。欧州中央委員会は非常に難しい決断を迫られ、ギリシャに対してどのような対策を採るか、あるいは放り出すかによって、休み明けの市場は大きく異なってくる。(つづく)

金やプラチナ価格にとっては、まだら色の事態である。まずユーロ圏の金融不安が増幅すれば、世界的な株安になる。それは、新興諸国やリスク資産の投資の引き上げとなり、安い金利で借りてそうしたリスク資産への投資を行っていた資金が、巻き戻されるという動きになる。それはドルの借り入れの返済となり、急速なドル買い、つまりドル高を生み出す。ドル高は金安となりやすく、また円についても同様な円キャリートレードの巻き戻しによる円高により、金価格はダブルで安くなるだろう。

一方で、ギリシャやポルトガル、アイルランド等の資金繰りが難しくなると、そうした金融不安は、投資先を制限し、投資の一時避難先としての金買いの動きも出るかもしれない。

つまり、ある程度金価格が下がれば、安全資産としての米国債投資に回った資金が、利回りの低い米国債から離れて、金に向かう可能性も捨てられない。

従って、株安 → ドル高 → 金安 → 金融不安増殖 → 金高という構図も
考えられる。また、米国の10〜12月の企業業績はかなり良かった。米国の金融不安は遠のいたかと言えば、これもまだら色である。なぜかといえば、米国では住宅ローンや商業不動産ローンの延滞率が増加し、ノンリコースローンの返済不能により金融機関が抱え込む不良債権が増加しているからだ。そのため今年に入っても米国の金融機関は毎週倒産しており、すでに2月5日までに15行倒産した。これらを見れば、財政赤字や経常赤字に苦しむ米国の景気が急速に改善するとも思えない。それは金高を呼び込む。

 こうした相反する状況が錯綜するため、金価格を予測するには決め手に欠く状況となっている。金は状況の変化により細かく上下動し、当面、一定のレンジの中に収まるような方向感の無い展開になるのではないだろうか?
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