- 2017-12-27 (Wed)09:47
- 近藤雅世
- マーケット全般
2017年の価格の動き
2017年のNY金価格は米国の利上げと共に語ることができる。昨年12月の利上げの後、3月と6月、及び12月に今年は3回米国連邦準備制度理事会は利上げを行い、0.50%だった目標政策金利は1.50%(1.25〜1.50%)まで上昇した。この間にNY金価格は昨年12月の利上げ以降上昇し、2月27日1264ドルを付けてから3月の利上げ前まで下落して3月10日の1194ドルまで▲70ドル下がった。利上げ後は4月17日の1,297ドルまで+100ドル上昇し、6月の利上げが近づくにつれて5月9日の1,214ドルまで▲80ドル下落、利上げ直前の6月6日は1,298ドルまで+80ドル上昇し、利上げ後の7月10日1,204ドルまで▲90ドル下落、そしてもう利上げはないとして9月8日の1,362.4ドルが今年最高値であった。その後はだらだらと下落し12月の利上げ直前には1,238ドルまで▲下がっている。
これは、利上げ=ドル高=金安という図式で捉えることができる。実際にそうだったであろうか?
利上げとドルインデックスを見ると、利上げ=ドル高とは必ずしもそうなっていない。3月2日102.20まで上昇したドルインデックスはその後一貫して下落しており、利上げの前にドル高となり、利上げが成就するとドル安になっている構図が見られる。そのために金価格はドル安=金高という恩恵にあずかることができた。こうしたことから、来年の金価格を予想すると、当面米国の利上げはなさそうである。3月と6月に利上げのある市場確率は50%を割っており、どちらともいえない模様となっている。GoldmansachsやJPMorganは来年、年4回の利上げを予想しているが、市場アナリストの平均は2回となっている。FOMCのドットプロットでは3回となっており、利上げは2〜4回の幅であることになっている。いずれにせよ、利上げが近づけばドル高となり金安となるだろう。しかし、6月までないとすれば、上半期の金は高くなるのではなかろうか。インドや中国の現物需要も回復し、ロシアによる定期的な金購入も続いている。金の需要は衰えていない。
NY原油価格は1月の52ドルから始まり6月に42ドルまで下がり、その後上昇に転じている。押しなべて上昇した年であったが、米国エネルギー情報局(EIA)は来年のNY原油価格を53ドルと予想している。つまりそれほど大きな上昇要因は今のところ見当たらないということであろう。
米国の石油企業は、8月末のハリケーン襲来以降インドや中国に米国産原油を販売する術を覚え、着実に輸出を増やしている。EIAは来年の米国の原油生産量を日量1000万バレルと1970年の970万バレルを超えて、過去最大になると述べている。しかし、足元ではそれほど生産を増やす兆候は見せておらず、世界の需給が緩む傾向にはなっていない。ほどほどの需給バランスが保たれており、バランス破りを犯して増産する国はなさそうである。このまま何も地政学的リスクが発生しなければ、来年は平穏な原油価格の年となりそうであり、50ドル台の住み心地の良い価格帯を上下するのではなかろうか。
穀物価格は米国のトウモロコシと大豆生産が3年連続の豊作となり、夏場までの価格の上昇には水をかけられて8月末には下落している。毎年冬に買われて干ばつ等天候異変があると上昇する穀物価格は、何もないと早ければ4月、遅くとも7月にピークを迎えて下落基調となる価格傾向となっている。来年も同様に冬に買われて上昇し、夏の天候を見て上下するのであろう。
来年も平穏無事に何事も起こりませんように。ただそれでは商品価格は面白くならないが・・・
2017年のNY金価格は米国の利上げと共に語ることができる。昨年12月の利上げの後、3月と6月、及び12月に今年は3回米国連邦準備制度理事会は利上げを行い、0.50%だった目標政策金利は1.50%(1.25〜1.50%)まで上昇した。この間にNY金価格は昨年12月の利上げ以降上昇し、2月27日1264ドルを付けてから3月の利上げ前まで下落して3月10日の1194ドルまで▲70ドル下がった。利上げ後は4月17日の1,297ドルまで+100ドル上昇し、6月の利上げが近づくにつれて5月9日の1,214ドルまで▲80ドル下落、利上げ直前の6月6日は1,298ドルまで+80ドル上昇し、利上げ後の7月10日1,204ドルまで▲90ドル下落、そしてもう利上げはないとして9月8日の1,362.4ドルが今年最高値であった。その後はだらだらと下落し12月の利上げ直前には1,238ドルまで▲下がっている。
これは、利上げ=ドル高=金安という図式で捉えることができる。実際にそうだったであろうか?
利上げとドルインデックスを見ると、利上げ=ドル高とは必ずしもそうなっていない。3月2日102.20まで上昇したドルインデックスはその後一貫して下落しており、利上げの前にドル高となり、利上げが成就するとドル安になっている構図が見られる。そのために金価格はドル安=金高という恩恵にあずかることができた。こうしたことから、来年の金価格を予想すると、当面米国の利上げはなさそうである。3月と6月に利上げのある市場確率は50%を割っており、どちらともいえない模様となっている。GoldmansachsやJPMorganは来年、年4回の利上げを予想しているが、市場アナリストの平均は2回となっている。FOMCのドットプロットでは3回となっており、利上げは2〜4回の幅であることになっている。いずれにせよ、利上げが近づけばドル高となり金安となるだろう。しかし、6月までないとすれば、上半期の金は高くなるのではなかろうか。インドや中国の現物需要も回復し、ロシアによる定期的な金購入も続いている。金の需要は衰えていない。
NY原油価格は1月の52ドルから始まり6月に42ドルまで下がり、その後上昇に転じている。押しなべて上昇した年であったが、米国エネルギー情報局(EIA)は来年のNY原油価格を53ドルと予想している。つまりそれほど大きな上昇要因は今のところ見当たらないということであろう。
米国の石油企業は、8月末のハリケーン襲来以降インドや中国に米国産原油を販売する術を覚え、着実に輸出を増やしている。EIAは来年の米国の原油生産量を日量1000万バレルと1970年の970万バレルを超えて、過去最大になると述べている。しかし、足元ではそれほど生産を増やす兆候は見せておらず、世界の需給が緩む傾向にはなっていない。ほどほどの需給バランスが保たれており、バランス破りを犯して増産する国はなさそうである。このまま何も地政学的リスクが発生しなければ、来年は平穏な原油価格の年となりそうであり、50ドル台の住み心地の良い価格帯を上下するのではなかろうか。
穀物価格は米国のトウモロコシと大豆生産が3年連続の豊作となり、夏場までの価格の上昇には水をかけられて8月末には下落している。毎年冬に買われて干ばつ等天候異変があると上昇する穀物価格は、何もないと早ければ4月、遅くとも7月にピークを迎えて下落基調となる価格傾向となっている。来年も同様に冬に買われて上昇し、夏の天候を見て上下するのであろう。
来年も平穏無事に何事も起こりませんように。ただそれでは商品価格は面白くならないが・・・