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トランプ政権の動向と金価格

1月20日大統領に就任したトランプ氏は、矢継ぎ早に大統領令を出して世界を混乱に陥れた。これは同氏一流の交渉術から来ているようだ。最初に相手を恫喝するなど、驚かしておいて後で妥協し、あたかも優しい人であるような印象を与え、取引を有利に進めようという方法である。これは一度だけの取引が多い不動産業者特有のやり方なのであろう。通常の取引では信用が最も大切なことなので、いいかげんな言動で、誠実さを疑われれば、取引はうまくいかない。だから、世界の人々にトランプ氏は非常識だという印象を与えるのであろう。また、大統領の経済ブレーンの中核を担う国家経済会議(NEC)の委員長ゲーリー・コーン氏や財務長官のスティーブン・ムニューチン氏は元ゴールドマンサックスの社長やパートナーである。証券会社というのも、信用という用語からは迂遠な業種なのかもしれない。
トランプ大統領は最近三つの譲歩を行っている。一つは1月27日に発したイスラム圏7カ国の市民の入国を一時禁止した大統領令に対して米連邦控訴裁判所は9日、その是非を裁判所が検討している間は実施すべきではないとの判断を示した。判事3人の全員一致だった。これに対して最高裁まで争うと息巻いていたホワイトハウスは、一転して司法判断を受け入れた。
二つ目は中国との関係を修復するために選挙中、トランプ氏は中国に対して戦闘的な対応を貫き、当選後には外交儀礼を逸脱して台湾の蔡英文総統との電話会談した。台湾を孤立させる「一つの中国」の原則については交渉の余地があると述べ、為替政策で中国に譲歩を求める際の交渉材料にするかもしれないと見られていた。だが9日習近平中国国家主席との電話会談で、米中関係を支えてきた一つの中国政策を支持することを確認、現状を受け入れた。米政権当局者によると、その狙いは中国側との関係をリセットすることだという。中国は胸をなでおろしていることであろう。
最後は安部首相との日米首脳会談で、それまで主張してきた日本への要求を一切出さず、もっぱら日米の蜜月関係を演出した。筆者は安部首相の行動を支持している。トランプ氏が昨年11月8日に当選したときに、世界中が驚きあきれるなかで、安倍首相は即座に「心からお祝い申し上げる」と述べており、10日後にはトランプ氏の自宅を訪れている。そして今回のゴルフ談義も、何が話されたかはわからないが、その内容よりも世界中からその態度や行動を懸念されている新大統領との間で、いち早く日本が強いパイプを築いたことは世界中に報じられた。トランプ政権にとっても、恰好のPRだったであろう。清濁併せ呑むのが政治家の信条であるなら、まさに、安倍首相の行動は一国の政治を預かる宰相として、迅速で適切な行動だった私はと思う。
トランプ政権に反発しているのは、ドイツ、メキシコ、イランであるが、最初の二つの国は総選挙や大統領選挙をすぐそこに控えている。ドイツのメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、最新の世論調査では、2010年以降初めてマーティン・シュルツ氏率いる中道左派の社会民主党(SPD)に首位の座を譲っている。
さて、金価格を占うためには、どうしてもトランプ政権の動向を追う必要がある。先週末の2月10日、トランプ大統領が2〜3週間以内に驚異的な税制改革を公表すると述べて、株価が急騰し、金価格は下落した。今年は、米国連邦債務の対国内総生産(GDP)比が過去最高に達する見通しだ。そのため、財政赤字を膨らませないで減税や財政支出拡大という公約を果たすことは極めて難しいだろう。どんな財源があるのか見ものであるが、考えられる税収増の手段の一つとして、企業債務に関する利息費用を課税対象から控除する制度の廃止がある。共和党が主張してきたことである。株式配当は課税対象だが、負債利息は非課税というアンバランスにより米国企業が負債への傾斜を促したことを是正するという名分がある。しかし、減税の対価として有利子負債の多い大企業やレバレッジの高い新興企業が打撃を受けることは避けられないため、実現には大きな反発を招くだろう。とにかく2〜3週間待つしかないが、株式市場が有効と認める減税案であれば、株価は一層上がり、金価格は下がるだろう。逆に財源が解決されていない案であれば、議会との折衝があるため、簡単に実現するとは思えない。その場合は、株式の失望売りに伴う金への投資増となるかもしれない。
本日フリン米大統領補佐官(安全保障問題担当)が辞任した。こうしたドタバタを見るとまだまだトランプ政権の足元は固まっていないようだ。金価格にはまだチャンスがある。

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