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キャップが取れた金

金価格にとって一つの足かせが外れた。それは3月14〜15日に予定されるFOMC(公開市場委員会)での利上げがなさそうであるという点だ。先週公表された雇用統計で賃金上昇率が鈍化し、イエレン議長は1月31日〜2月1日のFOMCでは利上げについてのコメントを控えた。市場では3月に利上げがある確率は2割前後になっている。
トランプ大統領が無謀な大統領令を乱発して議会がこれに反発し、トランプ政策による景気浮揚策に赤信号が出るとしても、利上げがあると金価格は頭が重かった。しかし、利上げが6月までないとすれば、トランプ大統領次第で金価格は大化けする可能性が残されている。各種論文で、大統領を罷免する手続きや、大統領令が議会の承認なくして有効かどうか、温暖化対策のパリ協定は大統領が拒否することはできるのか、あるいは、司法が大統領令をどれだけ拘束できるのかなどの議論や論点が公表されているが、世界中で新大統領を歓迎しないムードが出ているようだ。
ただ、米国民の中にはまだ多くのトランプ信者がいるようで、マスコミや世界の論調とのギャップを感じる。移民流入拒否についてもロイターの調査では49%が賛成だという。世論調査そのものの正確性も昨年以来問われているが、トランプ大統領を頼もしく思っている人々もいるものと思われる。彼らが期待する生活の向上や、景気回復、賃金の上昇等が成就すればトランプ人気は再び沸騰するだろう。いずれにせよ、米国民は良識があると期待できるので、彼らがトランプ大統領の手腕を正当に評価するだろう。
ワールドゴールドカウンシルのレポートによれば、インドは廃貨の影響を受け、また中国は10月の国慶節での金宝飾品需要は悪かったが、12月に、春節を迎えるための宝飾品製作用の金地金需要は良かった。しかし、中国政府が銀行に対する輸入の外貨割り当てを制限したため、旺盛な金の需要を供給が賄えなかったという。いずこも政治が金(きん)を動かしている。
新年早々にスタンダードバンク等が弱気な金価格見通しを出していたが、1200ドルを超えた今、政治動向次第では利上げのキャップが取れた金は上値を追う可能性があるように思われる。

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