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続) 「欧州債務不安と金価格」

  • 2012-01-23 (Mon)16:02
  • 近藤雅世
先週の続きです。

1月20日までに欧州金融機関は欧州銀行監督機構(EBA)が決めた今年の6月末ま
でに自己資本比率を9%にするという規制の実行状況を報告することになってい
た。しかし、自己資本の増強を図れたのはスペインのサンタンデール銀行とイタ
リアのユニクレディト銀行だけであった。ユニクレディト銀行は、時価発行増資
を目論みたが、株価が急落し、安値で時価発行するしかなかった。これを見た欧
州各行は自己資本比率の増強を分子の自己資本増強を諦めて分母の資産圧縮に専
念している。それは、資産の売却と共に、貸し出し資産の縮小、つまり貸しはが
しと、新規貸し出し規制となって表れている。日本でもバブル崩壊後に一律10%
の貸し出しカットが行われたことがある。本来自己資本比率はBIS(国際決済銀
行)が2019年までに自己資本比率を7%にするというのが正規なルールであった。
しかし、欧州銀行監督機構は何の根拠もなく、突然自己資本規制を7年前倒しし
て、2%高いハードルを設定した。これは将来の対策としては有効であっても、
あるいは個々の銀行が危ない時は有効であっても、今金融機関全体が一つのシス
テムとして被っている信用の縮小であるので、こうした時に全体に足かせをはめ
るのは間違っていると批判が出ている。
それでも決められたルールであるので世界的に欧州金融機関の貸し出し規制が始
まっており、今後アジアの企業にもその余波が訪れると思われる。アジア企業に
対する貸し出しは半分以上が欧州系金融機関だからだ。
こうした事態は、企業の資金繰りを悪化させ、失業率を高め、消費を冷やすこと
になる
さて、金価格であるが、最近の金価格に対するコメントは少しおかしい。なぜな
ら、正に株価と同じ方向でコメントされているからだ。例えば、民間金融機関と
の話し合いがうまく調整されそうになったというニュースは株価を上げると同時
に金価格も上げている。本来、金価格はまさかの不安に対して反応するものであ
る。ギリシャのデフォルトは無いかもしれないが、万一の場合最悪の事態も想定
される。そうした不安心理が金価格を押し上げてきたのは2008年以降の動きであ
る。金価格は株価とはここ数年無相関であり、むしろ逆相関である。また、金価
格をドルとの関連で捉えるコメントもあるが、これも最近では間違いである。ド
ルユーロやドルインデックスと金価格に相関性は見られない。
やはり、金価格は社会不安が増殖すると高くなるのではないだろうか。
そうした意味で、まだギリシャや世界経済がどうなるかもわからないという時に
は金価格は上がると思う。つまり、ここ当分金は買いだろう。

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