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ギリシャが救済されれば金価格は下落するだろう

  • 2010-03-24 (Wed)16:28
  • 近藤雅世
4月と5月に220億ユーロの国債の償還を迎えるギリシャは、これまでのところ50億ドルの起債による調達しか出来ていない。残りの資金をIMFに頼るか、ドイツやフランスからの金融支援によるかが注目されている。IMFは1946年ブレトンウッズ協定によって米国主導で創設された。IMFは多くの財政危機に陥った国々に資金援助をしてきた実績がある。しかし、ユーロとしては、米国主導のこの機関にユーロ加盟国が支援を受けることを潔しとしていない。ギリシャにとっても、IMFから資金援助を受けると、厳しい緊縮財政を求められ、国民は窮乏生活を強いられる。そのため、IMFから支援を受けた国の政府は国民からの怨嗟の声を受け止めることになる。

かといって、ドイツがギリシャを資金的な支援するかどうかについては、未だはっきりしていない。3月23日火曜日のウォールストリートジャーナルによれば、ユーロ首脳はドイツが経済支援を行う計画について話し合っているという。今の案では、ドイツがギリシャを救援する代わりに、IMFは他の欧州諸国の面倒をみるというもの。

しかし、メルケル首相は、ギリシャが債務不履行に陥らないだけの金額しか援助しないと述べており、まず第一にギリシャ自身で国債を発行すべきだと主張している。そしてドイツは、EU政府は各国経済をコントロールするより中央集権的な方策を考案すべきだとも主張している。ドイツ国民の8割はギリシャへの金融支援に国民の税金を使うことを反対している。

(つづく)
ドイツは1990年の東西ドイツ統合後、5年ほど前まで失業率が高止まりして、一時はベルリンの壁復活を願うなどと言った声すら聞かれた。最近では失業率も殆ど増加せず、財政も悪化したとはいえ米英やPIIGS諸国に比べれば健全な水準を保っている。

そのドイツ経済を支えているのは輸出で、昨年12月には長年保っていた輸出世界一の座を中国に譲ったものの、輸出額は未だ日本の倍近い規模だ。ドイツのGDPに対する輸出依存度は40%近く、日本の16%の3倍強である。

英エコノミスト誌によれば、ドイツ産業界が示した驚異的な柔軟性と競争力の秘密は二つあるという。一つは過去10年間の規制緩和に伴う厳しい労働コストカット、もうひとつは通貨統合の恩恵である。ドイツの輸出競争力に対抗するために近隣諸国は、ユーロ導入前には「通貨切り下げ」という手段を採ることができた。しかし通貨統合で、その方策が取れない。

ドイツの貿易の中身をよく見ると、その相手はユーロ圏内の貿易が約半分である。輸出相手のシェアは1位がオランダ、2位がフランス、5位はイタリアだ。急速な円高に苦しんだ日本に比べれば、統一通貨ユーロはドイツにとって大きなメリットになったであろう。

英FT紙はドイツの構造的な経常黒字体質は、一部近隣諸国の、恒常的な経常赤字体質と表裏一体であると指摘している。仮にドイツがPIIGS諸国にドイツのような黒字体質になれと求める一方で自身の黒字体質を維持するとすれば、さらにどこか別の近隣諸国に経常赤字を引き受けてくれる先を見つけなければならないという。

またFT紙の別の記事では、中国とドイツという2大輸出大国をもじった「チャーマニー(Chermany)」という造語を紹介して、この二つの国の共通点は、貿易黒字を出して、貿易相手国に対してはモノを買い続けるように求める一方で、相手に無責任な借り入れは止めるべきだと独善的に主張していることだそうである。

同紙はチャーマニーがこのような矛盾した主張を続ければ、やがては世界を「近隣窮乏化策」の戦いに巻き込むことになり、最終的には自らが大きな被害を受けることになるだろうと指摘している。

果たしてギリシャ支援が残された短期間の間にスムーズに事が運ぶか見物であるが、仮にギリシャの起債やドイツやIMFからの借り入れが成功すれば、金価格は下落局面を迎えるだろう。

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