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粗糖は依然として強材料揃い

  • 2009-09-14 (Mon)19:18
  • 大場良博
  • 粗糖
先日のセミナーで粗糖の動向について質問を受けたので、
今後の方向性と、それを裏付ける要因についてお答えしたいと思います。

まず、世界全体の需給ですが、ISO(国際砂糖機関)が2日に発表したデータによると、
2009-10年度の世界砂糖需給は840万トンの供給不足になると予想されています。
生産は1億5,900万トンと前年度比で3.1%増加する一方で、
消費も1.73%増加するため、引き続き逼迫した状況が続くようです。
ただ、景気減速と価格上昇の影響から、
消費の伸び率は過去10年間の平均(2.67%)と比べると低くなっています。

一方、世界最大の消費国であるインドでは、
9月に終わる2008-09年度の砂糖生産が前年比43.7%減の1,480万トンと、
年間消費量の2,250万トンを大きく下回ることが予想されています。
なお、この6ヶ月間にモンスーン絡みで価格は約4割上昇したと報じられています。
インド気象当局が8月28日に発表した予想によると、
モンスーン期(6〜9月)の降水量が9月にやや改善するものの、
4カ月全体では平年を約20%下回るとされています。
これは1972年以来で最悪の水準です。
また、8月27日に発表された統計によると、
6月1日〜8月26日の降水量は平年を25%下回っています。
これまでも市場では、2009年10月から深刻な供給不足になると指摘されていましたが、
依然として10月からの新年度に輸入する必要がある事態に変わりがありません。
当初、2009-10年度に250万〜300万トンの砂糖を輸入すると予想されていましたが、
上方修正が必要となっているようです。ISOは410万トンと予想しています。

これを受け、インド政府は9月2日、粗糖の免税輸入期限延長を検討しています。
まだ正式な発表は出ていませんが、2010年3月で期限切れとなる予定だったものを
2010年12月までに改定するようです。
なお、インド政府は7月31日に民間業者による粗糖の無関税輸入枠の適用期限を
7月31日から2010年3月31日へ延長することを許可したばかりです。
インド国内の粗糖が如何に不足しているかが伝わってきます。

また世界第二位の消費国である中国でも、
2009-10年度の砂糖需要が7%以上も増加することから、
すでに200万トン程度の不足が生じていると伝えられており、
今後 輸入量がさらに増加するのではないかとの思惑が強まっています。
ちなみに、中国国家統計局が8月10日に発表したデータによると、
国内の7月精糖生産は前年同月比27%減の8,000トンでした。
年初からの累計も980万トンと前年同期を13%下回っています。

現在、NY砂糖相場は判断の難しい局面にありますが、
市場参加者のコンセンサスとしては、
「押し上げ要因が多くあり、今後も強気相場となる可能性が高い」と見られています。
実際、9月4日の20.5セントを底値に跳ね返っており、
わずかながら下値を切り上げる展開となっています。
安易な売りは禁物かと思われます。

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