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世界は中央銀行頼みとなっている。

景気の先行きが不透明な中、世界は主要中央銀行が更なる金融緩和をしてくれる
ことを期待している。24〜25日に開催されるFOMCではQE3が俎上に上るのではな
いかといわれており、少なくともツイストオペ(FRBがポートフォリオに保有
する4000億ドル(約32兆6500億円)相当の短期債を長めの国債と入れ替えるプロ
グラム)が終了する6月末までにはQE3が行われると期待する向きが多い。

本来景気回復は、そうした金融緩和によってもたらされるものではない。
Moody'sによれば、米国の企業は1兆2400億ドルもの資金を抱え込んでいるという。
企業が資金を寝かしたままで、自社株買いなどに使う他は、本格的な設備投資に
資金を回していない現状では、いくら資金を放出してもそれが経済活動を活発に
することにはならない。

しかし、財政投資が各国の財政事情から出動できない情勢では、ほかに打つ手が
ないのも事実であろう。新しい産業が勃興して、新たなニーズが出て、そうした
消費に対して企業が知恵を絞って製品開発するという循環が景気を回復する。

多くの持たざる人々が、物を欲しがるという状況において生産と消費が拡大する
素地が生まれる。そうした環境を持つのが新興諸国であるが、中国では独裁国家
の弱点である人々の反乱を恐れ、景気を少々抑制してでも消費者物価の跳ね上が
りを警戒している。

一方ブラジルでは、先進国が大量に紙幣を印刷するあおりを受けてレアル高に苦
しみ、ルセフ大統領は通貨戦争だと苛立ちをあらわにしている。

金融緩和の資金は、産業資金に回らず、新興国通貨や商品や株式投資マネーとな
っている。それでも多くの人々はFRBや日銀、ECBに更なる通貨発行を期待してい
る。

もし将来実態経済が回復軌道に乗れば、商品価格は、急激に上昇する素地がある。
ここ数年間でばらまかれた通貨は大量であり、さらにそれを増加させようとして
いるからだ。今のうちに商品を仕込んでおくのは、来るべき将来へのヘッジとな
るに違いない。

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