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欧州債務不安と金価格

少し金価格が上昇してきたが、これからもっと上がると思う。
なぜなら、欧州債務危機は今後ますます金融不安を増殖し、日本のバブル崩壊や
米国のサブプライム危機を凌駕する程の事態になる可能性があるからだ。そうし
た金融不安は過去の歴史で言えば金価格を押し上げてきた。

事態は毎日流動的であるが、これまでの段階を整理してみると以下となる。

1)今年に入ってから予想外の出来事は、1月13日民間金融機関の代表である国
際金融協会(IFF)が昨年10月末合意したギリシャの第二次救済策1300億ユーロの
資金供与の条件であった50%の債務カットを拒否したことだ。
これが成立しないと3月20日に迎えるギリシャの144億ユーロの借り換えが不能と
なり、ギリシャは秩序無きデフォルトに陥る。
何が問題となったかと言えば、
 イ)50%の債権を新たに発行するギリシャ国債と交換するための表面利率に
   ついて、民間金融機関は5%以上を要求し、ギリシャは4.5%以下を主張、
   IMF等は4%以下でなければギリシャは返済不能だと述べている。
 ロ)一部ファンド等はCDS(クレディット・デフォルト・スワップ)を掛けて
   おり、自発的な債権カットだとCDSの保険機能が働かず、デフォルトの
   方が得策だと考えている。
 ハ)評価損益を計上せねばならない金融機関等は、どちらにしても損失が出る
   が、評価損益を計上する必要のない個人投資家等は、敢えて債権放棄しな
   くても、デフォルトになれば分配金があるので、その方が良いと判断して
   いる。
 二)ギリシャの経済成長率が思ったより悪化しており、残りの50%についても
   返済の可能性は少なくなりつつある。
等の事情によるものだ。

ギリシャのGDPは、2011年は予定の▲5%より悪化して▲6%となり、5年連続して
赤字が続く。ギリシャの銀行からはすでに多くの預金引き出しがあり、昨年9月
末までに750億ユーロが引き出された。これはギリシアの資産の23%に相当する。
ギリシャの銀行は、自己資本強化のために必要とする資金がどんどん増加してお
り、昨年段階では260億ユーロであったが、もうすでに400億ユーロを超えている
と思われる。ギリシャ国債の償還はまだまだ続き、それが膨らんでいくと思われ
ている。
つまり、ギリシャはいくら救済しても切りがないということである。

1月17日格付け会社フィッチ・レーティングスのマネージングダイレクターのエ
ドワード・パーカー氏はギリシアは支払い不能に陥っており、恐らく3ガルに期
限を迎える国債を償還できないだろうと述べている。

ギリシャのデフォルトはカウントダウンに入っている。

仮にギリシャがデフォルトになると、

イ)最も被害をこうむるのは欧州中央銀行であり、少なくとも450億ユーロの債
権を持っている。
ロ)ギリシャ国債をたくさん抱えている銀行はフランス、ドイツ、イタリア、ス
ペイン等欧州の金融機関で、これらの国で、自国の金融機関の倒産を防ぐために
財政投資を行う必要に迫られる。それは財政赤字の更なる拡大を呼び、国債利回
りは急騰するだろう。するとギリシャ同様にEFSFやIMFが資金をそれらの国に融
資する必要が生じる。
ハ)ギリシャのデフォルトは、CDSを発動させる。CDSを多く販売している米国の
証券会社や金融機関はCDS支払いのために大きな損失を被る。
ニ)これらの金融機関の株価は急落し、今欧州株は以上の株安に襲われ、それが
世界の証券市場に波及する。こうして世界的な金融恐慌になる可能性がある。

それを防ぐために、昨年から欧州金融安定化基金(EFSF)が各国政府の出資や保
証の了解を取り付けて資金力強化を図ってきた。ところが1月13日S&Pは欧州9カ
国の国債の格付けを引き下げ、またEFSFそのものの格付けもAAAからAA+に引き下
げた。これにより、EFSFの資金力がフランスやオーストラリアのAAAがAA+に引き
下げられたことなどから4510億ユーロから2710億ユーロに縮小してしまった。こ
の4分の3はドイツの保証によるもので、残りはオランダ、フィンランド、ルクセ
ンブルグ等が負担することになる。EFSFは既にポルトガル、アイルランド、ギリ
シャの救済に約2000億ユーロ使ってしまっており、余裕がほとんどなくなってき
ている。イタリアやスペイン等大きな国の救済資金はとても足りない。

IMFは資金規模を5000億ドル拡張することを決定し、まさかの時に備えようとし
ているが、果たして足りるか?

(続きは月曜日)
どちらにしても損失が出る
   が、評価損益を計上する必要のない個人投資家等は、敢えて債権放棄しな
   くても、デフォルトになれば分配金があるので、その方が良いと判断して
   いる。
 二)ギリシャの経済成長率が思ったより悪化しており、残りの50%についても
   返済の可能性は少なくなりつつある。
等の事情によるものだ。

ギリシャのGDPは、2011年は予定の▲5%より悪化して▲6%となり、5年連続して
赤字が続く。ギリシャの銀行からはすでに多くの預金引き出しがあり、昨年9月
末までに750億ユーロが引き出された。これはギリシアの資産の23%に相当する。
ギリシャの銀行は、自己資本強化のために必要とする資金がどんどん増加してお
り、昨年段階では260億ユーロであったが、もうすでに400億ユーロを超えている
と思われる。ギリシャ国債の償還はまだまだ続き、それが膨らんでいくと思われ
ている。
つまり、ギリシャはいくら救済しても切りがないということである。

1月17日格付け会社フィッチ・レーティングスのマネージングダイレクターのエ
ドワード・パーカー氏はギリシアは支払い不能に陥っており、恐らく3ガルに期
限を迎える国債を償還できないだろうと述べている。

ギリシャのデフォルトはカウントダウンに入っている。

仮にギリシャがデフォルトになると、

イ)最も被害をこうむるのは欧州中央銀行であり、少なくとも450億ユーロの債
権を持っている。
ロ)ギリシャ国債をたくさん抱えている銀行はフランス、ドイツ、イタリア、ス
ペイン等欧州の金融機関で、これらの国で、自国の金融機関の倒産を防ぐために
財政投資を行う必要に迫られる。それは財政赤字の更なる拡大を呼び、国債利回
りは急騰するだろう。するとギリシャ同様にEFSFやIMFが資金をそれらの国に融
資する必要が生じる。
ハ)ギリシャのデフォルトは、CDSを発動させる。CDSを多く販売している米国の
証券会社や金融機関はCDS支払いのために大きな損失を被る。
ニ)これらの金融機関の株価は急落し、今欧州株は以上の株安に襲われ、それが
世界の証券市場に波及する。こうして世界的な金融恐慌になる可能性がある。

それを防ぐために、昨年から欧州金融安定化基金(EFSF)が各国政府の出資や保
証の了解を取り付けて資金力強化を図ってきた。ところが1月13日S&Pは欧州9カ
国の国債の格付けを引き下げ、またEFSFそのものの格付けもAAAからAA+に引き下
げた。これにより、EFSFの資金力がフランスやオーストラリアのAAAがAA+に引き
下げられたことなどから4510億ユーロから2710億ユーロに縮小してしまった。こ
の4分の3はドイツの保証によるもので、残りはオランダ、フィンランド、ルクセ
ンブルグ等が負担することになる。EFSFは既にポルトガル、アイルランド、ギリ
シャの救済に約2000億ユーロ使ってしまっており、余裕がほとんどなくなってき
ている。イタリアやスペイン等大きな国の救済資金はとても足りない。

IMFは資金規模を5000億ドル拡張することを決定し、まさかの時に備えようとし
ているが、果たして足りるか?

(続きは月曜日)

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