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金は調整後再び高くなる

  • 2010-10-25 (Mon)12:52
  • 近藤雅世
韓国慶州で開催されたG20財務相中央銀行総裁会議は通貨戦争に対する特に有効な手立ても決議されることなく閉幕した。ガイトナー米財務長官は経常収支の数値目標を提案したが、各国に受け入れられることなく、ブラジルの欠席に対して、協調的でない対応は、すべての国にとって悪い結果をもたらすと声明された。中国の人民元切り上げ、住宅市場の不振を抱えた米経済の低迷打開など、懸案は多い。ことに、米国の住宅不況は長引きそうだ。24日のFT紙では、米国の政府支援機関(GSE)である連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は2013年までに米国政府からの支援資金が3630億ドル約29兆7660億円になるだろうと米連邦住宅公社(FHFA)は述べたという。これは2月に米政府高官が2019年までに1600億ドルと言い、8月に米議会予算委員会で3900億ドルと述べられたものが、2019年が2013年に早まっている。両公社の赤字はとめどもなくなっており、その支援額は米国政府財政赤字の3分の1を占める規模となっているが、増加の一途である。更に、米国金融機関は住宅ローンの焦げ付きで差し押さえた住宅物件の差し押さえ手続きの不備が判明し、売るに売れない状況に陥り、新たな米国金融機関の赤字の火種となりつつある。8月末の米国中古住宅在庫は約400万戸であったが、それに匹敵する在庫を米国金融機関が抱え、売るにうれない状況となっているのは、米国住宅不況を更に押し進めるだろう。(つづく)
こうした米国景気のもたつきは、11月2日〜3日のFOMCでQE2(金融緩和第二弾)を決断させ、さらなる量的緩和を12月以降にも目指すだろう。それは、ドルをはじめとする通貨価値の減価であり、ドル安は続くだろう。金価格は調整安で少し下がっている。先週のCFTC(米商品先物取引委員会)のファンドの建て玉報告では、金のファンドのネット買い残が▲6,338枚の275,916枚と少し調整された。こうした調整の動きは時々起り、今回もまだ調整安が続く可能性はある。

しかし、長期的なドル安は金価格を再び高くし、ドルや各国通貨の大量発行は通貨価値を減価させ、やがて襲ってくるインフレに対処するため資産家は金の保有量を増やすだろう。1億円の資金を持っていても、ドルにしては減価してしまい、10年後には中国政府もどうなっているかわからない。元や円で持つよりは金で持っていた方が、たとえ金利がつかなくても安全であろうという考えになるだろう。
調整後金価格は再び高くなる。

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