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金価格は再び上昇すると思う

  • 2010-05-26 (Wed)17:49
  • 近藤雅世
ユーロが下落しており、ユーロドルは5月19日1.214を付けた。しかし、ユーロは1999年1月の初値は1.1749ドルであった。その後翌年10月には0.8225まで1.0以下となっている。
2008年7月15日米国のサブプライム問題の頂点において1.603をつけドル安ユーロ高となった。5月19日ユーロドルは1.214になった。しかし、ユーロドルの天井と底の半値は1.213である。ちょうど半値になったところである。まだまだ下がる余地は十分あるともいえる。

中国や中近東諸国の外貨準備の一部は、ユーロの方が安全として、ドルからユーロに換えられていた。ユーロの発足当時はユーロ=ドイツ・フランスと思われていた。これらの国ならトリプルAである。ユーロは、その統一性を守るため、マーストリヒト条約により、財政赤字はGDPの3%以内という加入ルールを課した。ところが、ギリシャのように、デリバティブ取引等でうそをついて加入した国が多く、実態はドイツやフランスという先進国の他に、数多くの発展途上国がぶら下がっていることが今回の事態で露呈した。それが今回のユーロ安になっている。

 財政赤字だけなら信用不安にはならないが、それらの国が発行した国債が債務不履行となり、紙くずになりそうな雲行きである。欧州の銀行は大量のそれらの国の国債を保有している。だから、米国などの銀行は、欧州の銀行に資金を貸し渋り始めた。

 先週から短期金利が上昇している。将来つぶれる可能性のある銀行に対しては誰も資金を貸したがらない。そのため、欧州の企業の借り入れも低利では難しくなるだろう。欧州景気は悪くなる可能性が高い。それが、原油価格や産業諸資材の価格を下げている。

 ECB(欧州中央銀行)は、債券市場で売れ行きが悪くなることを恐れ、つまり金利が上昇することを防ぐために、債券を買い上げ始めた。このことは、欧州中央銀行が紙くずをどんどん貯めることになる。銀行が発券したユーロは益々価値を失くす。そうした循環がユーロ価格を下げている。これは将来のインフレを予感させる。

(つづく)
 今や資産家はユーロから逃げ出している。逃げ出す先はもっぱら安全資産といわれた米国債である。

 しかし、米国の住宅価格は未だに下落している。住宅価格の下落は多くの銀行に対する住宅ローンの期前返済を産んでいる。350万戸の中古住宅在庫は、銀行が抱える担保流れの在庫を含んでいない。これは300〜500万戸になると言われている。新設住宅建設が少しくらい上昇したのは、4月で補助金が切れるための駆け込み需要であろう。おそらく米国の不動産市場はウミだらけであろう。それを抱える米国の銀行は内部に大きな負債を抱えたままである。だから、仕方なく買ったドルも居心地は悪い。

 そうなれば金を買うしかない。金は金利がつかないとはいえ、信用の裏づけを必要としない実物資産である。ドイツではクルーガーランド金貨が昨年の10倍売れ、品薄となったため6〜8%のプレミアムになっているという。また世界13カ国で発行されている金のETFは、25日1448トンに史上最高を更新している。25日一日だけで30トン売れている。一方、常連客のインドでは、金の買い控えが起きている。アシュハラ・トリティアという結婚に最も適した日と言われる5月16日には婚礼のお祝いに金の代わりに銀が使われているという。第一四半期の金の需要は760.2トンと前年比▲11%だという。

しかし、それでも金の価格は上がると思う。信頼できる資産は金しか見当たらないからだ。

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