- 2009-09-16 (Wed)18:59
- 近藤雅世
- ゴム
オバマ大統領は9月11日中国製タイヤに対してセーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表した。米国内タイヤ大手の労組が加入する全米鉄鋼労組などが、中国製タイヤの輸入急増に対して通商法第421条の適用によるセーフガードを求めて国際貿易委員会(ITC)に提訴し、ITCは国内業界の被害を認定して大統領に対して最高55%の追加輸入関税導入を勧告していたもの。オバマ大統領は3年間にわたり最高35%の追加関税を課した。9月26日から適用となり、税率は一年目が35%、二年目が30%、三年目が25%。
オバマ政権では初のセーフガード発令となったが、中国は激しく反発し即時WTO(世界貿易機構)に提訴した。9月下旬に開かれるピッツバーグで開かれる20カ国地域(G20)の首脳会合(金融サミット)の討議にも影響を与える模様。中国は米国の保護主義的行為に強く反対するとの声明を発表。WTOルールに反するばかりでなく、G20金融サミットで米国も賛同した保護主義に反対する合意事項にも違反しており貿易救済措置の乱用だと非難している。
中国は米国に月間350〜400万本の乗用車用タイヤを米国向けに輸出しているが、大きな影響を受けるのは免れないだろう。中国の天然ゴム需要は昨年日本と米国を抜いて世界一に躍り出た。昨年夏以降の金融危機後の大幅な落ち込みは昨年末までに解消されて今年のゴム需要は増加していた。1月に15万トンまで落ち込んだ天然ゴム輸入量は2月18万トン、3月27万トンと過去最高を更新していたところであったが、最近になって上海の天然ゴム在庫が急増していたのはこの事態を危惧していたのかもしれない。
オバマ政権では初のセーフガード発令となったが、中国は激しく反発し即時WTO(世界貿易機構)に提訴した。9月下旬に開かれるピッツバーグで開かれる20カ国地域(G20)の首脳会合(金融サミット)の討議にも影響を与える模様。中国は米国の保護主義的行為に強く反対するとの声明を発表。WTOルールに反するばかりでなく、G20金融サミットで米国も賛同した保護主義に反対する合意事項にも違反しており貿易救済措置の乱用だと非難している。
中国は米国に月間350〜400万本の乗用車用タイヤを米国向けに輸出しているが、大きな影響を受けるのは免れないだろう。中国の天然ゴム需要は昨年日本と米国を抜いて世界一に躍り出た。昨年夏以降の金融危機後の大幅な落ち込みは昨年末までに解消されて今年のゴム需要は増加していた。1月に15万トンまで落ち込んだ天然ゴム輸入量は2月18万トン、3月27万トンと過去最高を更新していたところであったが、最近になって上海の天然ゴム在庫が急増していたのはこの事態を危惧していたのかもしれない。
今後中国のタイヤ需要が急減するとの思惑から東京ゴム価格は昨9月14日急落し、サーキットブレーカーが発動されたが、一日で23円(約11.6%)の急落を見た。それまで220円を目指していたゴム価格は190円を割れて下落している。今週になって金曜日の下落幅の半分を二日かかって戻した。おそらく空売りの買い戻しであろう。
しかし、基調は下げだと思われる。35%の課徴金は中国製タイヤの販売を急減させるだろう。それは中国のタイヤメーカーの生産削減につながり、天然ゴム輸入が減少することは時間の問題と思われる。その分日本や米国のタイヤメーカーが作るとしても、アジア市場における中国メーカーのタイヤ生産の比率は高い。従って、天然ゴム価格は中国市場の減退が響いてくるものと思われる。中国の自動車需要は前年比86%と好調だが、8月末に一時上海株が下落した。これは金融引き締めがあるのではないかとの思惑からだが、中全会を控えて、株価は梃入れされた。しかし、依然として中国経済の過熱感はあり、更に米国向けの輸出減がボディーブローで利いてくるだろう。世界の景気も一直線に上がるほど元気ではない。
しかし、基調は下げだと思われる。35%の課徴金は中国製タイヤの販売を急減させるだろう。それは中国のタイヤメーカーの生産削減につながり、天然ゴム輸入が減少することは時間の問題と思われる。その分日本や米国のタイヤメーカーが作るとしても、アジア市場における中国メーカーのタイヤ生産の比率は高い。従って、天然ゴム価格は中国市場の減退が響いてくるものと思われる。中国の自動車需要は前年比86%と好調だが、8月末に一時上海株が下落した。これは金融引き締めがあるのではないかとの思惑からだが、中全会を控えて、株価は梃入れされた。しかし、依然として中国経済の過熱感はあり、更に米国向けの輸出減がボディーブローで利いてくるだろう。世界の景気も一直線に上がるほど元気ではない。
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