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粗糖の下落はこれから本格化か

  • 2010-02-22 (Mon)18:41
  • 大場良博
  • 粗糖
インターコンチネンタル取引所の粗糖相場は、2月1日の30.4セントを高値に調整安となっている。これまでは、世界最大の消費国であるインドの追加輸入の懸念が相場を下支えしてきたわけだが、17日にインド政府高官が今後は供給不足状態になっても輸入を行わないとの声明を出したことから、手仕舞い売りが加速している。

インドは2年連続の凶作に見舞われた影響から、国内の砂糖価格は、2009年には2倍に値上がりした。今年に入ってからも約5.5%上昇している。それでもインド政府高官が今後、輸入を行わないとされる理由は、
既に国内の必要量を確保できる目処がついたためである。インド政府関係者によると、国内製糖所が昨年4月1日からこれまでに免税輸入した砂糖は580万トンとなったという。内訳は粗糖は440万トン、白糖が60万トンの白糖。そのうち、計500万トンはすでに納入済みと見られている。なお、インド製糖業者協会(ISMA)のよると、2009-10年度のインドの砂糖輸入は600万トンと予想されており、既に上限に達しつつあるようだ。

また、もう一つの理由は、2010-11年度のインドの生産量が大幅に改善すると見込まれていることである。インド製糖業者協会(ISMA)が8日に発表した報告によると、2010-11年度の同国の砂糖生産は2,200〜2,300万トンと、前年度の1,500万〜1550万トンを大幅に上回る見通しとなっている。これを裏付けるように、インドの経済紙エコノミック・タイムズは17日、業界筋の話として、同国最大の砂糖産地ウッタルプラデシュ州で、最近の降雨に助けられ、サトウキビからの砂糖生産が増えるとの見通しを伝えている。なお、気象庁は10日、昨年夏に発生したエルニーニョ現象が今年春から夏にかけて終息するとの見通しを発表。エルニーニョは昨年、インドやブラジルに粗糖減産をもたらした天候不順の一因とみられているが、今夏の天候リスクは大幅に軽減されそうだ。

世界最大の輸出国であるブラジルでは、現在、収穫作業が進められている。同国のサトウキビ業者連盟(Unica)が10日に発表した報告によると、今年度(09年4月〜10年3月)の同国中南部の砂糖生産量はこれまでのところ、前年比6.6%増加し、2,842万トンになると予想されている。これを受け、輸出は依然として活発に行われている。ブラジル貿易局(Secex)によると、同国の1月の砂糖輸出は177万9,200トンであった。前年同期と比較するとやや少ないが、それでも例年よりは多い水準にある。例年、2〜4月は圧砕作業が集中して行われるため、一時的に輸出が落ち込む傾向が見られるが、今年度は増産の影響から、最終的に2009年の輸出量を上回るものと思われる。ICE粗糖相場は今後、需給緩和により値崩れする可能性が高いだろう。
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