- 2010-01-27 (Wed)19:46
- 近藤雅世
- 金
16日のセミナーでプラチナがETF上場で強いことを言った後大幅な下落を見てたいへん申し訳なく思っている。状況の激変であり、そのきっかけは中国の預金準備率の引き上げ(1月の融資規制)とオバマ大統領の金融規制の声明発表であった。
オバマ大統領声明は革新的な金融改革宣言であった。金融機関の猛反対を受けるはずなのでこの規制法案が日の目を見るかどうかわからない。それほど金融界にとっては収益悪化の原因となる法案である。
具体的には、1933年制定されたグラス・スティーガル法(Glass-Steagall Act、1933年銀行法)は、銀行に投機を抑制していた。この法律は1999年クリントン政権下で廃案となり、銀行は持ち株会社を通じて証券会社を経営することができるようになり、自己ディーリングやファンドへの設立、ファンドへの貸付が可能となった。そのため銀行は大きな収益を上げることが可能となった。しかし、その裏腹で、大きな損失のリスクも抱えるようになった。
銀行本来の業務は預金を預かり企業や個人に貸し付けることと、企業間や個人の決済を行うことである。それらの手数料は薄利ではあるが、貸し倒れの信用リスクしかなかった。しかし、自己ディーリングを始め、ファンドを設定し、そこに金を貸し付けて相場を張るようになった。銀行は貸し倒れリスク以外にマーケットリスクも抱えるようになった。オバマ大統領の金融規制案に対して、銀行は自己ディーリングを禁止されれば収益が激減するとマスコミや議会に訴えている。オバマ大統領にしてみれば、大損して国民の税金を使って立て直しされているのに、何を今更言うのかというところだろう。もしオバマ大統領の金融規制が通らなかったら、将来再び銀行が相場で大損して国民に援けを求めることにならないとも限らない。なぜ銀行だけが倒産しそうになると援けてくれるのかというのが米国民の不満である。しかも、ゴールドマンサックスの平均給与は年収35万ドルという。3500万円の高給取りである。(ゴールドマンサックスは勝ち組なので政府の支援は受けていないが)
いずれにせよ、金融規制は、仮に法案が作られて議会を通るとすれば、銀行は自己ディーリングが出来なくなり、ファンドを組成することも、ファンドに融資することも制限されるだろう。そうなれば、ファンドの資金源が大幅に減少する。それを見越して現在ファンドはポジションを手仕舞いし始めていると思われる。だから建て玉の多かったものほど値下がりが大きい。金も原油もプラチナも、需給から価格の上昇は説明できない。そうした商品価格はファンドが買い上げていた分だけ下落する。
ところが、今の段階では、オバマショックにより更に下落するかどうかは少し不透明な段階に差し掛かっている。本日まで行われているFOMCでは利上げはまずないだろう。12月の米国の中古住宅販売が前月比▲16.7%と落ち込み、景気の良い話はほとんど聞かれない。中国の成長率も10月〜12月は10.7%と10%を越えた。これはバブルに近い。不動産価格のバブルの崩壊は時間の問題であろう。こうなると、景気はなかなか回復しないことになる。一方でIMFは景気の緩やかな回復を宣告している。
要は、先行きがすっぱり割り切れるような状況になくなったと言える。こうしたときの商品価格は波打つのではないだろうか。大幅な下落時期は過ぎ、そろそろ反転上昇したり、更に下落したり、どちら付かずの状況に陥るような気がする。
例えば東京金の下値支持線は3000円にはあるだろう。3160円は既に下抜いてしまったが、この辺りで横ばいになるかもしれない。問題は円高だが、本邦輸出企業の大量のドル売りで89円台になったが、これ以上円高になるとも思えない。従って短期的には調整反発の上げ基調になるのではないだろうか。その後はドルキャリートレードの巻き戻しが徐々に起こり、ドル高となり、金安となり、しかし、円は強いので円安にはならず、従って東京金はそれほど上昇しないかもしれない。傾向を読みにくい情勢である。
オバマ大統領声明は革新的な金融改革宣言であった。金融機関の猛反対を受けるはずなのでこの規制法案が日の目を見るかどうかわからない。それほど金融界にとっては収益悪化の原因となる法案である。
具体的には、1933年制定されたグラス・スティーガル法(Glass-Steagall Act、1933年銀行法)は、銀行に投機を抑制していた。この法律は1999年クリントン政権下で廃案となり、銀行は持ち株会社を通じて証券会社を経営することができるようになり、自己ディーリングやファンドへの設立、ファンドへの貸付が可能となった。そのため銀行は大きな収益を上げることが可能となった。しかし、その裏腹で、大きな損失のリスクも抱えるようになった。
銀行本来の業務は預金を預かり企業や個人に貸し付けることと、企業間や個人の決済を行うことである。それらの手数料は薄利ではあるが、貸し倒れの信用リスクしかなかった。しかし、自己ディーリングを始め、ファンドを設定し、そこに金を貸し付けて相場を張るようになった。銀行は貸し倒れリスク以外にマーケットリスクも抱えるようになった。オバマ大統領の金融規制案に対して、銀行は自己ディーリングを禁止されれば収益が激減するとマスコミや議会に訴えている。オバマ大統領にしてみれば、大損して国民の税金を使って立て直しされているのに、何を今更言うのかというところだろう。もしオバマ大統領の金融規制が通らなかったら、将来再び銀行が相場で大損して国民に援けを求めることにならないとも限らない。なぜ銀行だけが倒産しそうになると援けてくれるのかというのが米国民の不満である。しかも、ゴールドマンサックスの平均給与は年収35万ドルという。3500万円の高給取りである。(ゴールドマンサックスは勝ち組なので政府の支援は受けていないが)
いずれにせよ、金融規制は、仮に法案が作られて議会を通るとすれば、銀行は自己ディーリングが出来なくなり、ファンドを組成することも、ファンドに融資することも制限されるだろう。そうなれば、ファンドの資金源が大幅に減少する。それを見越して現在ファンドはポジションを手仕舞いし始めていると思われる。だから建て玉の多かったものほど値下がりが大きい。金も原油もプラチナも、需給から価格の上昇は説明できない。そうした商品価格はファンドが買い上げていた分だけ下落する。
ところが、今の段階では、オバマショックにより更に下落するかどうかは少し不透明な段階に差し掛かっている。本日まで行われているFOMCでは利上げはまずないだろう。12月の米国の中古住宅販売が前月比▲16.7%と落ち込み、景気の良い話はほとんど聞かれない。中国の成長率も10月〜12月は10.7%と10%を越えた。これはバブルに近い。不動産価格のバブルの崩壊は時間の問題であろう。こうなると、景気はなかなか回復しないことになる。一方でIMFは景気の緩やかな回復を宣告している。
要は、先行きがすっぱり割り切れるような状況になくなったと言える。こうしたときの商品価格は波打つのではないだろうか。大幅な下落時期は過ぎ、そろそろ反転上昇したり、更に下落したり、どちら付かずの状況に陥るような気がする。
例えば東京金の下値支持線は3000円にはあるだろう。3160円は既に下抜いてしまったが、この辺りで横ばいになるかもしれない。問題は円高だが、本邦輸出企業の大量のドル売りで89円台になったが、これ以上円高になるとも思えない。従って短期的には調整反発の上げ基調になるのではないだろうか。その後はドルキャリートレードの巻き戻しが徐々に起こり、ドル高となり、金安となり、しかし、円は強いので円安にはならず、従って東京金はそれほど上昇しないかもしれない。傾向を読みにくい情勢である。
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