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中国でスマホで金を購入できることが流行っている

中国で金をインターネットサイトで購入することが流行している。スマホで簡単に金を買えるという利便性と、サイトによっては1元約17円から金を購入できるという投資資金の小ささ、更には、年率1%〜6%という配当が金の保有量に対して付くというボーナスが付いている。これらは、当初からあった訳ではなく、多くのインターネット業者が参入して、それぞれに激しい顧客獲得競争をした果てのことであった。金の保有額に配当を付けられるのは、顧客が購入した金をネット業者が貴金属宝石商等にリースして、また貸ししているためだ。当然、そうした金融業者まがいの取引をすれば、ネット業者がちゃんと金の取引を管理できるのかという信用リスクが発生する。

混乱を恐れた中国人民銀行は5月半ばに規制を作った。つまり、ネット業者は金の販売を禁じるというものだ。具体的には金のクリアリング、金の売買、保管等を行うことはできなくなった。だからといってこうした金のネット販売が無くなる訳ではなく、ネット販売業者は認定を受けた金融機関と手を組んで、ネット業者は販売に徹して、金融機関が金の売買、保管を管理すれば継続できるというものである。業界筋ではこれで安心して事業を継続できるとの声も上がっているという。

以前日本のワールドゴールドカウンシルが主導して、純金積み立てを作った。月額3000円からドルコスト平均法による金の購入である。月額の購入金額を営業日数げ分割し、毎日金を購入していくため、平均価格で買える。金が安くなれば、多く買えることになり、投資としては優れものだ。純金積み立てが中国に導入されると瞬く間に拡がり、日本で数年かかった百万口座を1年で達成してしまった。

筆者はかって商社で純金積立業務の責任者をやったことがある。業者側にとってはかなり煩雑な仕組みであり、担当する女性は毎日の細かい作業に音を上げていた。顧客の月額購入量を営業日数で割った金額を集計して、ディーリングチームに伝達し、市場から金を調達したり、売却せねばならない。成約価格を個々の顧客の台帳に記帳するが、顧客数が多くなればなるほど毎日の売買回数は多くなり、一日の終わりには顧客のその日の売買記録と、ディーリングチームの取引記録を付け合わせて1グラムの違いでもあれば、どこで違ったかを検出しなければ業務を終えて帰ることはできない。正に銀行員と同じ作業が課せられた。

顧客ごとに残高や取引記録を年に一回書面で通知するのだが、顧客数が数千人になると、個客にとっては年に一回であっても、業者にとっては、毎月数百通の書類を、正確に作成し、それを数枚の書類と共に中身と宛先を間違えないように郵送しなければならない。筆者はそうした作業で女性職員がしばしばノイローゼになり退職するのを見て、担当している間に、全ての業務を外注することにした。

世の中には様々な作業を管理している企業がある。当時は航空会社のマイレージ制度の走りであったが、マイレージの管理を行っていた企業があった。地下には巨大なコンピューターが並び、書類は全てオートメーションで作成されて宛名を一枚一枚印刷した封筒に宛名通りの書類を機械が中身を間違えないように、次々と取って封入する。それだけのシステムでも数千万円かかっているそうである。

その企業は株主総会の通知を一日数百万通作成送付する能力があった。隣に郵便局が併設され、株主への通知を封入した封筒は、隣の郵便局から全国に郵送される。
中国のインターネット取引で金を売買すると聞いて、当時の純金積み立ての作業を思い出したが、一介の通販会社が毎秒毎に価格の変わる金を取引するのは無理だろうと思った。

しかし、金のネット通販は新しい発想であり、スマホ世代には、金もスマホで買えれば合理的であろう。

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