商品相場専門のアナリストが、独自の視点で最新の相場動向を分析! 先物投資で利益を上げるためのコツとファンダメンタルが学べます。株式、為替以外をポートフォリオに!と考えている投資家にもおすすめです。

Home > マーケット全般 > 貿易戦争

貿易戦争

先週は米国発の二つの事変があった。一つは利上げであり、これは予定されたことで、ハプニングではない。FRBは今年の米国の経済成長を前回より高く見込み、物価上昇は2%以上になるとし、年3回から4回の利上げにより現在の1.5%〜1.75%の政策金利を将来3%にすると言う。少しタカ派的であるが、ほぼ予定通りである。しかし、パウェル新議長はこの見通しにはトランプ大統領の新たな政策は織り込まれていないと釘を刺した。そのトランプ大統領は鉄鋼とアルミに25%の関税を掛け、中国製品1300品目、600億ドル相当分に25%の関税を掛ける措置を決めた。これに対し中国政府は豚肉やワインなど128品目に最大25%の関税を上乗せする報復案を公表した。大豆の輸入についても言及され、場合によっては米国産穀物輸出に影響がある可能性がある。また、中国が1兆1700億ドル保有する米国債の売却も検討していると述べ貿易戦争の様相を呈している。
鉄鋼とアルミの関税措置に対しては、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、欧州連合(EU)、メキシコ、韓国が関税の適用を免れた。日本の名前は入っていない。ブラジルとオーストラリアは、両国の鉄鋼半製品は米産業に打撃を与えるのではなく、むしろプラスになるとの主張を展開した。ブラジルは鉄鋼を輸出した船は帰りにアラバマ産石炭を積んで帰っていると主張。豪州産鉄鋼は主に米西海岸の施設に輸出されるため、オハイオやペンシルベニア州の鉄鋼労働者に打撃を与えることはないと主張。これが無くなれば、カリフォルニア州は、約3倍のコストをかけてオハイオ州の製鋼所から山岳地帯を経由して輸送しなければならなくなると主張。豪州もブラジルも米国にとっては貿易黒字であることも寄与したようだ。豪州はトランプ大統領の友人で、同国出身のゴルファーグレッグ・ノーマン氏が一役買ったようだ。カナダの鉄鋼業界は米国との結びつきが強く、米国の企業や労働者からカナダを除外するよう求める声が上がっていた。メキシコとカナダ及び韓国は通商協定を米国と協議している最中である。
トランプ大統領は対日貿易赤字を以前から問題視しており、安倍晋三首相を「いい奴で友人」としながらも、「日本の安倍首相らは、これほど長く、米国を上手く利用できるなんて信じられないとほくそ笑んでいるだろう。だが、こうした日々はもう終わりだ」と述べている。世耕弘成経済産業相は、関税措置は「極めて遺憾」としながらも、報復措置に踏み切ることは避けた。そして、世界貿易機関(WTO)に米国との協議を要請するなど、日本政府として冷静に対処する考えを示している。
本日付けの株式会社コモディティーインテリジェンスの週刊経済指標に載せたが、米国の貿易赤字は世界最大で、217ヵ国中最下位である。貿易収支に、サービス収支、所得収支、経常移転収支を加えた経常収支も187ヵ国中最下位であることを筆者は初めて知った。世界は米国国民の懐から吐き出される紙幣で潤っていたことを改めて感じた次第である。そうは言っても、米国がこれまでの不均衡を是正しようとすれば、それに対する反発で世界の貿易は滞る。2009年から続いてきたシンクロナイズ(同期)された世界の好景気に悪影響があるのは、好ましいことではない。トランプ大統領の言い分を、ある程度理解しながら、政治家は落としどころを探ってもらいたい。

Home > マーケット全般 > 貿易戦争

キーワードで検索
リンク
Feeds
1. 免責事項
  • 掲載される情報は株式会社コモディティーインテリジェンス(以下「COMMi」という)が信頼できると判断した情報源をもとにCOMMiが作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、COMMiは保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。
  • 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はCOMMiに帰属し、事前にCOMMiへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
  • COMMiが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本資料に掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。
  • 本資料は、投資された資金がその価値を維持または増大を保証するものではなく、本資料に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの障害が発生した場合でも、COMMiは、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
  • COMMiおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場合があります。
  • 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
  • 以上の点をご了承の上、ご利用ください。
2. 商品先物取引の重要事項
商品先物取引の重要事項はこちら >>
3. ディスクローズについて
当社のディスクローズ資料は当社本支店および日本商品先物取引協会(本部・支部またはホームページ)で閲覧できます。
日本商品先物取引協会ホームページ >> [情報開示]
サンワード貿易ホームページ ディスクローズ情報>>
サンワード貿易お客様相談室
<北海道>電話:0120-57-5311  /  <関東>電話:0120-76-5311  /  <関西>電話:0120-57-5311

Page Top