- 2016-09-14 (Wed)09:42
- 近藤雅世
- マーケット全般
9月13日時点の注目点は何と言っても21日水曜日(日本時間22日朝)にわかる米国の利上げがあるかないかであろう。アナリストの予想では4人に1人があると答えているが、ゴールドマンサックスは55%の確率で利上げはあるという。第一生命経済研究所は米国連邦準備制度理事会は3ヶ月ないしは6ヵ月の移動平均を使って雇用統計を見るため、たとえ8月が15万5千人増と予想よりも少なかったが、それでも3ヶ月移動平均では23万人、6ヵ月では17万人と雇用状況は決して悪い数字ではないという。
ただ、利上げはないと反論する人は、8月のISM製造業景況指数が49.4と2月以来の50割れとなったことや7月の生産者物価指数の最終財コア指数(食品・エネルギーを除く)は前年比+1.0%と伸び率は低く、消費者物価指数のコア指数(食品・エネルギーを除く)は前年比+2.2%と伸び率は僅かに拡大したが、FRBのインフレ判断の目安であるコアPCEデフレーターは、7月は前年比+1.6%と伸び率は横這いとなっていることを指摘している。
投資家としては先行き不透明な事態は避けるべきではなかろうか。
金のETFは9月12日時点で一カ月前から▲22トン減少して1,753トンになっている。この中には中国で始まった金のETFも含まれる。中国では民間銀行の金保有残高が増加しており、2015年末で9兆円相当の金約2,682トンを中国商工銀行、農業銀行等15銀行が保有している。この量は世界の需要量の1年分に匹敵する。当初これらの民間銀行の保有金は、政府からの委託購入かとも思われたが、各行の決算報告書を精査したアナリストによれば、こうした民間銀行の保有金は、銀行自身による金のリース用、純金積立用、顧客の金の保管等であるようだ。
日本で始まった純金積立は数十年を経てようやく百万口座に達したが、中国は導入されて1年で百万口座を超え、今や世界一の口座数があるようだ。日本の場合、銀行は金を保有できないことはないが、あくまで経済産業省系列の商社から購入したり預託を受けたりせねばならず、純金積立も地方銀行は商社にその業務を委託している。日本における金はモノとしての扱いとなっているためだ。これは世界的に特殊な例で、海外では銀行が金を扱っている。中国は外貨準備の一部を金で保有している。
日本政府は1979年754トンから2001年765トンに増加させて以来残高は変わっていないが、中国は、2015年6月にいきなり604トン購入しその後毎月10トン〜20トンを純金積み立てのように購入している。日本は世界第7位だったが、中国とロシアに抜かれて第9位となっている。
昨年、日本に本拠を置いていたWorld Gold Council極東支部は閉鎖され、中国に移転した。日本は金取引については世界のひのき舞台から降ろされつつある。
原油についても中国が台風の目となっている。鉄鋼等と同様にガソリンや軽油を中国の有象無象の石油精製設備が国内需要以上の製品を作り出し、あふれかえったものを海外に輸出攻勢をかけているという意味である。そのため東南アジアの石油精製設備企業の収益は圧迫され、欧州ではだぶついた石油製品がアメリカに輸出されている。アメリカは昨年末に解禁された原油輸出を日本等に販売を始めており、米国は世界最大の原油輸入国から産油国でかつ石油輸出国に変貌しようとしている。
9月28日までのアルジェリアにおける産油国会議で原油生産量の凍結が決議されると思われるが、それまでにロシアやOPEC各国は生産量を最大限に増加させている。
そのOPECは最新のOil Market Reportで2017年の原油需給は供給過剰が一層大きくなるだろうと述べており、2017年に需給はバランスすると予測しているIEAやEIAと見解を異にしている。2017年のOPECに必要な原油生産量(世界の需要マイナス非OPEC諸国の生産量)は日量3248万バレルとして、8月のレポートより53万バレル少なくなるとしている。これは非OPEC諸国の原油の生産が増加するためだという。
中国の2016年の原油輸入量は戦略備蓄用の購入が施設の設置が年末から来年に遅れているためその分減少するという。
原油価格は上昇気運にはない。供給は潤沢にあり、急に需要が増えるというものでもないためだ。おそらく40ドル台、高くても50ドル半ばまでで横這いになるのではなかろうか。
World Platinum Investment Councilの2016年第2四半期レポートによれば、プラチナは今年も▲16トン供給が不足し、この四年で▲21トン、▲22トン、▲10トンと四年連続で供給不足になるという。同協会はそれにもかかわらず価格が反応していないことを嘆いている。今後は赤字続きの南アの鉱山会社が新たな鉱脈の開発等の先行投資する資金が無いため、将来大きな値上がりとなると予測している。世界最大のプラチナ先物市場の日本の東京商品先物取引所が機能していないため、現物価格の方からいずれじわじわと価格が上がってくるのではないかと思っている。
ただ、利上げはないと反論する人は、8月のISM製造業景況指数が49.4と2月以来の50割れとなったことや7月の生産者物価指数の最終財コア指数(食品・エネルギーを除く)は前年比+1.0%と伸び率は低く、消費者物価指数のコア指数(食品・エネルギーを除く)は前年比+2.2%と伸び率は僅かに拡大したが、FRBのインフレ判断の目安であるコアPCEデフレーターは、7月は前年比+1.6%と伸び率は横這いとなっていることを指摘している。
投資家としては先行き不透明な事態は避けるべきではなかろうか。
金のETFは9月12日時点で一カ月前から▲22トン減少して1,753トンになっている。この中には中国で始まった金のETFも含まれる。中国では民間銀行の金保有残高が増加しており、2015年末で9兆円相当の金約2,682トンを中国商工銀行、農業銀行等15銀行が保有している。この量は世界の需要量の1年分に匹敵する。当初これらの民間銀行の保有金は、政府からの委託購入かとも思われたが、各行の決算報告書を精査したアナリストによれば、こうした民間銀行の保有金は、銀行自身による金のリース用、純金積立用、顧客の金の保管等であるようだ。
日本で始まった純金積立は数十年を経てようやく百万口座に達したが、中国は導入されて1年で百万口座を超え、今や世界一の口座数があるようだ。日本の場合、銀行は金を保有できないことはないが、あくまで経済産業省系列の商社から購入したり預託を受けたりせねばならず、純金積立も地方銀行は商社にその業務を委託している。日本における金はモノとしての扱いとなっているためだ。これは世界的に特殊な例で、海外では銀行が金を扱っている。中国は外貨準備の一部を金で保有している。
日本政府は1979年754トンから2001年765トンに増加させて以来残高は変わっていないが、中国は、2015年6月にいきなり604トン購入しその後毎月10トン〜20トンを純金積み立てのように購入している。日本は世界第7位だったが、中国とロシアに抜かれて第9位となっている。
昨年、日本に本拠を置いていたWorld Gold Council極東支部は閉鎖され、中国に移転した。日本は金取引については世界のひのき舞台から降ろされつつある。
原油についても中国が台風の目となっている。鉄鋼等と同様にガソリンや軽油を中国の有象無象の石油精製設備が国内需要以上の製品を作り出し、あふれかえったものを海外に輸出攻勢をかけているという意味である。そのため東南アジアの石油精製設備企業の収益は圧迫され、欧州ではだぶついた石油製品がアメリカに輸出されている。アメリカは昨年末に解禁された原油輸出を日本等に販売を始めており、米国は世界最大の原油輸入国から産油国でかつ石油輸出国に変貌しようとしている。
9月28日までのアルジェリアにおける産油国会議で原油生産量の凍結が決議されると思われるが、それまでにロシアやOPEC各国は生産量を最大限に増加させている。
そのOPECは最新のOil Market Reportで2017年の原油需給は供給過剰が一層大きくなるだろうと述べており、2017年に需給はバランスすると予測しているIEAやEIAと見解を異にしている。2017年のOPECに必要な原油生産量(世界の需要マイナス非OPEC諸国の生産量)は日量3248万バレルとして、8月のレポートより53万バレル少なくなるとしている。これは非OPEC諸国の原油の生産が増加するためだという。
中国の2016年の原油輸入量は戦略備蓄用の購入が施設の設置が年末から来年に遅れているためその分減少するという。
原油価格は上昇気運にはない。供給は潤沢にあり、急に需要が増えるというものでもないためだ。おそらく40ドル台、高くても50ドル半ばまでで横這いになるのではなかろうか。
World Platinum Investment Councilの2016年第2四半期レポートによれば、プラチナは今年も▲16トン供給が不足し、この四年で▲21トン、▲22トン、▲10トンと四年連続で供給不足になるという。同協会はそれにもかかわらず価格が反応していないことを嘆いている。今後は赤字続きの南アの鉱山会社が新たな鉱脈の開発等の先行投資する資金が無いため、将来大きな値上がりとなると予測している。世界最大のプラチナ先物市場の日本の東京商品先物取引所が機能していないため、現物価格の方からいずれじわじわと価格が上がってくるのではないかと思っている。
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