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中国からの融資返済に苦しむベネズエラ

本日の『週刊経済指標』に書いたことであるが、中国が2007年ベネズエラに対して行った500億ドルの融資の返済は原油で行うことになっていた。当時の原油価格100ドル/バレルで換算すれば、毎年ベネズエラは中国に23万バレル返済分として輸出すれば良かった。ところが、原油価格が下落したために、バークレーズ銀行によれば、今では日量80万バレル供給しなければならないという。2014年の同国の原油生産量日量237万バレルのうち、63万バレルが中国向けであったが、その45%は返済分で、現金収入は無いという。ベネズエラでは原油価格下落によりモノ不足が深刻化しており、歳入の減収を補うために金塊をスイスに輸送して現金化しているが、それでも2017年には100億ドルの返済が控えている。

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ベネズエラは中国に対して融資契約の見直しを要請しており、その内容は「原油価格が1バレル=50ドルを下回る限り、1年間にわたり借入金の元本返済を猶予し、利子のみの支払いを行う」というものである。これによりPDVSAはキャッシュフローが30億ドル以上増加するため、デフォルトは回避される。
だが、はたして中国政府がこの交渉に応じるかどうかは不明である。中国では資金流出が続き、人民元安を防衛するために中国人民銀行は人民元の買い支えを行っている。そのため外貨準備が急速に減っており、以前の潤沢な資金を持った中国とは状況が異なる。

窮地に追い込まれたベネズエラ政府にとって最後の望みは原油価格の上昇である。
ベネズエラのデルビノ石油鉱業大臣は6月16日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでロシアのノヴァクエネルギー大臣と協議し、9月にアルジェリアで開催されるOPECと非OPEC産油国の非公式会合で「増産凍結」協議が再開される可能性に言及した。

だが、ベネズエラ政府の必死の取り組みにもかかわらず、市場関係者の間では増産凍結が実現する可能性は薄いと見られている。皮肉なことに、「PDVSA(ベネズエラ国営石油公社)のデフォルトにより、日量約220万バレルの原油の供給途絶が生じ、原油価格が再浮上する」との期待が高まっている。

中国の金詰まりで供給途絶に追い込まれるのはベネズエラだけではない。アンゴラやエクアドルといった他のOPEC加盟国も中国と同様の契約を結んでいるからだ。

アフリカ最大の産油国であるアンゴラ(日量約170万バレル)は2010年以降、中国との「原油と融資の交換」契約で250億ドルの融資を手にしている。このためアンゴラ国営石油公社は、今年生産する原油売却代金から得られる利益の全てを中国への返済に充てざるを得なくなっているという。

OPEC加盟国で最も小国であるエクアドル(日量約55万バレル)も、2013年以降、国営石油会社のキャッシュフローの維持を完全に中国に依存している。2015年には新たに中国から53億ドルを借りており、原油を生産しても手元にキャッシュが残ることはないとされている。

中国との「原油と融資の交換」契約に苦しめられているアンゴラやエクアドルも、中国が救いの手を差し出さなければベネズエラと同様の運命をたどるだろう。

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