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金と原油の動向

現在世界には三つの懸念がある。
一つは中国の不良債権や過剰設備・過剰在庫の処理問題、もう一つはBREXIT、最後は米国の大統領選挙である。こうした不安から金はセーフヘブンとして買われている。ジョージソロスはいち早く今年の初めから金のETFを大量に買い、また、金鉱山株式を購入してNEW MONT MINING COの株式の17%を握った。また、債権王のBill Grossも金は投資として魅力的であると述べている。
すでに金価格は1月4日の1061.5ドルから6月13日の1286.9ドルまで、+225ドル、2割以上今年だけで上がっている。その背景には、マイナス金利というBill Grossに言わせれば、いつ爆発するかわからない超新星だという。こうした過去にない行き過ぎた政策は、いずれ様々な経済の歪みを発生させるであろう。
今年に入ってからのNY金はわかりやすい動きをしている。ドル高になれば金安、ドル安になれば金高という相関計数▲0.85という高い負の相関関係ができ上がっている。
そしてドル高になるのは米国FOMCで利上げがあると思われる時である。
今週は14〜15日がFOMCで、水曜日がイエレン議長の記者会見、木曜日が黒田日銀総裁が金融決定会合の後での記者会見、そして、金曜日はドラギECB総裁の記者会見が連日行われる。いずれも来週23日の英国のEU離脱を問う選挙が念頭にあり、思い切った動きは取れないであろうと予想されている。つまり今週は米国の利上げはないだろうが、イエレン議長が7月に向けてどのようなコメントを出すか注目される。7月の利上げ気分が増長すれば、ドル高金安となるだろう。そうでなければ金高が続くと思われる。

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次に原油について述べれば、先週は米国エネルギー省(EIA)による石油週報では、3週連続で大きな原油在庫の減少が見られた。そのため原油価格は51.67ドルまで上昇した。   
しかし、同時に公表されたBaker & Hughes社による石油・天然ガス稼働リグ数は9カ月ぶりに+4本の増加となった。これは米国のシェール企業は、50ドルなら採算が合うとして減産する必要性が乏しくなったことを示している。このことは、IEA(国際エネルギー機関)EIA(米エネルギー情報局)及びOPEC(石油輸出国機構)の需給予測の供給予想を上方修正させるだろう。年後半に考えていたよりも米国の減産は少なくて済むことになり、インドや中国を巡るシェア争いでサウジアラビアとイラン、イラクは熾烈な競争をしており減産する気配はない。一方需要はそれほど急回復する見通しは立たない。したがってまた原油在庫は増え始める可能性がある。つまり、需給的に言えば弱気になっている。これが今週になって原油価格が48ドルまで下がっている要因となろう。今後も更に弱くなる気配はあるが、証券投資家はETFを通じて買いに味を占めているため、どこかでまた安すぎるという感覚から原油を買ってくる可能性はあり得る。しばらく弱含みによる反発局面が見られることだろう。


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