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原油価格はそろそろ反発するかもしれない

  • 2016-01-20 (Wed)09:21
  • 近藤雅世
  • 原油
1月18日はMartin Luther King牧師の生誕記念日でNY市場は休場であるが、トムソンロイター時事によれば、NY原油価格は19日15時時点で29.48ドルになっている。
このところ原油価格が値下がる弱気な大きな情報が二つ出た。一つはイランの経済封鎖が正式に解除されたことで、これによりイランからスペインなど欧州への輸出が再開されるものと思われる。米エネルギー情報局によれば、年内にイランの生産は日量+30万バレル、来年は同+50万バレル増加すると予想している。
もう一つは米国の輸出が40年ぶりに解禁されたことである。これも世界的な安売り競争激化と言う意味で弱気の要因である。
ブッシュ前共和党政権が公私ともにサウジアラビアとべったりの米国南部石油資本を背景に持っていたことと異なり、オバマ大統領は反戦平和主義で売り出し、アフガニスタンから撤退し、CISに対しても空爆と軍事顧問のイラク派遣に留め、イランの原子力開発をめぐっては経済封鎖と話し合いで解決をした。イランと対立するサウジアラビアはこのことを心良く思っていないため、原油価格が下がり始めた時もOPECの盟主サウジアラビアは米国のシェールオイル企業をつぶそうという意図の下に、協調減産を断固拒み、シェア確保の増産政策を採った。サウジアラビアは昨年1年で日量約+30万バレル増産している。これを見たNY原油市場は、需給が緩和していることを理由に原油価格を売り浴びせている。サウジアラビアは原油価格が下がれば需要が拡大すると読んでいたが、頼みとする中国など新興諸国の経済成長が鈍化し、ガソリン価格低下にもかかわらずその需要量は今のところ増加していない。
また、米国のシェールオイル生産は、稼働リグ数は減っているが、生産量はほとんど落ちていない。リグ1本当たりの生産量が増えているためだ。それにより生産コストが低下している。2014年後半から1年以上続く価格低下にたいしても、まだシェールオイルで倒産した企業は数えるほどである。概して石油や鉱山会社は手厚い資本を持っているため、ちょっとやそっとの赤字なら何年も耐えうる体質を持っている。新興企業ならいざ知らず、石油資本の息のかかったシェールオイル企業は応分の資本力がある。一方で、資本力は非常にあるが、企業と違って固定的な政府歳出の多い産油国は、支出を減らすことは容易にはできない。歳入不足で歳出を減らすと国民が不満を抱き政権が不安になるというアキレス腱を抱えている。この点がサウジアラビアの新政権が読み違えたことだろう。また、サウジアラビアでは皇太子派と副皇太子派が熾烈な権力闘争を行っていることも、その政策に健全性を欠く要因ともなっている。
そんなサウジアラビアの動きを読んでオバマ大統領と米国議会は、40年ぶりの輸出解禁を行った。サウジアラビアのシェア確保競争に真っ向から挑もうという政策である。日本の経済産業省は中東依存体質の脱却から米国からの原油輸入にいち早く手を上げ、コスモ石油はすでに米国からの原油輸入を開始しようとしている。こうした動きはサウジアラビアを一層けん制することになる。
二つの意味で原油価格はそろそろ反転上昇すると思う。一つは、原油価格を弱気にしていたイランの経済封鎖等の要因が現実となったためだ。弱気材料の出尽くし感がある。
もう一つは、サウジアラビアはOPECの一部諸国が懇請している緊急総会を開催して減産宣言を出す可能性が出てきたということである。こうした動きが少しでも出ると、原油価格を押し下げていた最大の要因であるファンドの売り残が、先週、昨年3月以来最大になっているが、ファンドの買戻しが始まれば原油価格は一斉に上昇する可能性がある。

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