商品相場専門のアナリストが、独自の視点で最新の相場動向を分析! 先物投資で利益を上げるためのコツとファンダメンタルが学べます。株式、為替以外をポートフォリオに!と考えている投資家にもおすすめです。

Home > > ユーロ安が金高を呼ぶ

ユーロ安が金高を呼ぶ

  • 2015-01-20 (Tue)09:31
  • 近藤雅世
 先週15日に起こったスイス中銀の騒動と、25日に行なわれるギリシャの総選挙の行方がNY金価格を押し上げている。

NY金価格は1月2日の初値1184ドルから、先週末には1276.9ドルまで+92.9ドル、+7.8%上昇している。この間にユーロドルは、1ユーロ=1.21ドルから1.1559ドルに▲0.0541ドル、▲4.4%下落し、昨年5月から比べると▲0.23ドル、▲17%も下落している。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月行ったエコノミスト調査では、米経済について極めて明るい見通しが示された一方、欧州には暗雲が垂れ込めているとみられていることが明らかになっている。

そこに先週15日スイスショックが現れた。スイス中央銀行が、2011年ユーロ急落への対応策として1.20フランを上限に設定し、その水準を守るために無制限に介入すると発表して世間を驚かせたが、今度はその上限を撤廃すると発表して世界中をパニックに引きずり込んだ。日本時間15日18時30分ごろ、スイス中銀の施策内容が伝わるとスイスフラン市場はパニックに陥った。フランを恒常的に売る「ビッグプレーヤー」が消えるのだから、他の売り手も歩調をあわせて手を引く。フランは対ユーロで買い一色となり、しばらくは値段のつかない状態になった。幸い日本の為替投資家は、スイスフランを買い持ちしている人が多く、スイス中銀の上限を当てにして売っていた投資家は少なかったようだが、それでも世界のFX会社大手では、米FXCMが経営危機に陥り、米複合企業ルーカディア・ナショナルの支援を仰いだ。英アルパリは16日、あっさりと破綻に追い込まれ、日本法人のアルパリジャパンは新規取引を停止し、関東財務局から業務改善命令を受けた。英IGグループは最大で3000万ポンド(約53億円)の損失計上の可能性があると明らかにしている。日本のFX会社でもマネックスグループが19日、顧客に対する未収金が1億6000万円程度生じたと発表。

また、ヘッジファンドでは、新興市場への積極的な投資で知られるエベレスト・キャピタル(本社:米フロリダ州マイアミ)がファンドを閉鎖、その他多くのファンドがスイスフランの犠牲になっている。ドイツ銀行とシティグループは約1.5億ドルの損失と報道されている。

国家ではハンガリーとポーランド、ギリシャにおいてスイスフラン建ての住宅ローンの返済が滞る恐れが出ている。シティーグループの推計では、ハンガリ−はスイスフラン建ての債務残高は1兆円前後で、国内総生産(GDP)の5%に相当し、ポーランドではGDPの7.7%に相当するという。ギリシャの大手行のユーロバンク・エルガシアスとアルファ銀行は、正式にギリシャ銀行(中央銀行)へ緊急融資を申請した。

こうした混乱の中で25日ギリシャの選挙が行われる。その前に欧州中央銀行は22日定例理事会を開催し、量的金融緩和の拡大(国債の購入)を行うかどうかを決定する。QEとなれば、一層ユーロ安に拍車をかける、QEをしても欧州経済回復しないかもしれない。しかし、金利は下げるところまで下げてしまったので、もうQE以外に経済を浮揚する手段はない。さてどうするか?

欧州の経済停滞は、さらに一層下落しそうなユーロ建て資産から他通貨建て資産への動きを加速させ、そこにはドルや円と並んで金も買われることになるだろう。

Home > > ユーロ安が金高を呼ぶ

キーワードで検索
リンク
Feeds
1. 免責事項
  • 掲載される情報は株式会社コモディティーインテリジェンス(以下「COMMi」という)が信頼できると判断した情報源をもとにCOMMiが作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、COMMiは保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。
  • 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はCOMMiに帰属し、事前にCOMMiへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
  • COMMiが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本資料に掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。
  • 本資料は、投資された資金がその価値を維持または増大を保証するものではなく、本資料に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの障害が発生した場合でも、COMMiは、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
  • COMMiおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場合があります。
  • 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
  • 以上の点をご了承の上、ご利用ください。
2. 商品先物取引の重要事項
商品先物取引の重要事項はこちら >>
3. ディスクローズについて
当社のディスクローズ資料は当社本支店および日本商品先物取引協会(本部・支部またはホームページ)で閲覧できます。
日本商品先物取引協会ホームページ >> [情報開示]
サンワード貿易ホームページ ディスクローズ情報>>
サンワード貿易お客様相談室
<北海道>電話:0120-57-5311  /  <関東>電話:0120-76-5311  /  <関西>電話:0120-57-5311

Page Top