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エルニーニョと穀物生産

独立行政法人農業環境技術研究所と独立行政法人海洋研究開発機構は、エルニーニョ/ラニーニャ 1 と世界の主要穀物の生産変動との関連を明らかにした。これによると、

1.トウモロコシ、コメ、コムギの年ごとの収量は世界平均値で見るとエルニーニョ年とラニーニャ年のいずれでも平年収量を下回る傾向にある。大豆はエルニーニョ年に平年収量を上回る傾向にあるが、ラニーニャ年には平年並みとなる傾向がある。

2.エルニーニョ年に収量への有意な影響が見られた地域は、正と負の影響のいずれでも広範な地域にわたる。一方、ラニーニャ年に収量への有意な影響が見られる地域はエルニーニョ年よりも限定的だ。

3.しかしながら、世界全体で見ると、エルニーニョ年には正と負の影響が相互に打ち消し合う傾向が強いものの、ラニーニャ年には打ち消し合う傾向が弱いため、穀物によっては世界平均での負の影響がエルニーニョ年よりも大きくなっている。(コメ、コムギ)。

世界平均で見た場合に、トウモロコシとコメ、小麦についてはエルニーニョとラニーニャのいずれも警戒が必要ではあるものの、コメと小麦ではラニーニャ年をより警戒する必要があり、トウモロコシでは逆にエルニーニョをより警戒する必要があることを初めて明らかにした。また、大豆はラニーニャに対してやや警戒が必要なものの、エルニーニョはむしろ収量に対して正の影響があることが示された。

エルニーニョとは、太平洋東部の赤道付近の海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象である。ラニーニャは、逆に平年より海面水温が低い状態が続く現象。
エルニーニョやラニーニャは世界各地の気温や降水量、ひいては作物収量に影響を与えることが知られています。エルニーニョ/ラニーニャの予測精度は中・高緯度地域の気温や土壌水分量の季節予測の精度よりも高いため、エルニーニョ(ラニーニャ)と収量変動を直接対応させることで、中・高緯度地域の豊凶予測の精度が高まると期待される。

今年はエルニーニョになる可能性が強いと気象庁は述べている。日本の気候の場合、夏場が冷夏になりやすいという。もし天候デリバティブが上場されていれば、低温を買うだろう。ラニーニャはチリ沖の太平洋上の海面水温が赤く(温度が高く)なる状況で、直接的にはインドネシアの豪雨やオーストラリア北部の乾燥が考えられるが、それが遠く北米の天候にどのような影響があるかはわかっていない。過去の天候でその相関性を示唆したものはなく、あるとしても常にそうなるわけではないので、上記のレポートも統計的にどれだけ有意かはわからない。いずれにせよ今年はトウモロコシの生産に影響があるという。

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