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シェール革命について

  • 2013-08-13 (Tue)10:15
  • 近藤雅世
  • その他
ある出版社の依頼でシェール革命について調べてみた。最近多くの研究機関がこの件についてレポートを発表しているので、その大半を読み、重複する部分を除いて22ページのレジメにまとめた。ここでその全容を述べるにはスペースが足りないが、重要な部分を言うと以下となる。シェールガスの資源量は最大が中国で、次いでアルゼンチン、アルジェリア、米国、カナダ、メキシコ、豪州、南ア、ロシア、ブラジルとなる。シェールオイルについては、ロシア、米国、中国、アルゼンチン、リビア、メキシコ、ベネズエラ、パキスタン、カナダ、インドネシアとなる。開発には技術が必要なので、直ぐにこれらの国が第二のOPECとなるとは思えないが、潜在的にエネルギー大国になる可能性がある。
大きく変わると思われるのは、エチレンの生産が原油から作るより安価となり、米国の化学工業が今後強くなるだろうということである。また鉄鋼業についても、石炭の代わりに天然ガスを使う技術が確立されたら、鉄鋼生産形態は今と変わってしまう。日本や中国、韓国の鉄鋼メーカーは数十年後にはどうなっているかわからない。また、自動車も天然ガス利用のガス自動車が開発されるだろう。LPGを使ったタクシーのようなものであろうが、まずは大型バスやトラックの構造が変わる可能性がある。これも業界地図が塗り替わるだろう。
国力という点では、米国は圧倒的に強くなると思われる。LNGの輸入が無くなるのは当然としても、原油の輸入も毎月減少しており、米国のエネルギーの自給率は高まっていく。それは貿易赤字を無くし、また350万人の雇用が生まれるといわれる産業革命により米国は財政赤字もクリアするであろう。電力コストも世界と比べ非常に易くなれば、電力多少干潟の産業も米国で復活するだろう。強いアメリカは強いドルとなる。
天然ガスの貯蔵や輸送にかかわる機器メーカーは多いに潤うことになり、またガスを使った新たな産業が産まれるだろう。言ってみれば、米国では東京電力より東京ガスの方が大きくなるというイメージである。ガスはコージェネレーションにより冷暖房や排熱利用の新たな分野を切り拓く。米国で余った石炭は世界に輸出され、既存のエネルギー産業にダメージを与えるだろう。化学品メーカーや石油メーカーは原料ソースの多様化を図る必要が出てくる。現時点ではロシアは欧州向けの天然ガス需要が米国からの石炭輸出により1割近くも減少し、ロシアの財政基盤が揺いでいる。ロシアは天然ガスを売り込むために極東への接近を試みるだろう。
政治的には米国はシーレーンなどを守ることは自国のためには必要なくなる。軍隊を世界に送り込むことは徐々に縮小するかもしれない。米国にアキレス腱がなくなれば政治的発言権は強まるだろう。守ってあげるという態度になるかもしれない。
シェール革命は、正に産業革命であり、既存の企業群は再編を余儀なくされる。旧来の産業基盤は見直される必要がある。なぜなら、エネルギーとは、産業のコメであるからだ。

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