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最近の世界情勢

 エコノミスト誌によると、過去1年間の主要国の住宅価格が一番上がったのは香港で24.5%、次いでブラジルの12.8%、南アが11.1%、インドが10.7%、住宅バブルが崩壊した米国も9.3%上昇して5位にランクされている。同誌が調査した18か国中日本は下落を示した6か国の中に入り、▲2.6%という。最下位はスペインの▲7.7%であった。スペインは第4四半期からの下落率は26.5%となっている。
 しかし、欧州危機の一端をかついだそのスペインでは、輸出が好調で3月の貿易収支は、1971年統計を取り始めて以来初めて635百万ユーロの黒字となったという。EU向けは▲8%であったが、アジア向けが前年比23%増、中東向けは60%増で、通貨安という後ろ盾を持たずしても、輸出を伸ばすことができるという模範例となっている。
 スペイン経済の回復と対照的なのがフランスとオランダだという。今やPIIGS という言葉からFISH (フランス・イタリア・スペイン・オランダ)という言葉も使われ始めた。欧州の問題は、域内格差の拡大に向かっているようだ。ドイツの独り勝ちによる格差拡大は、EUへの問題ともなり始めている。

 不動産バブルが拡大している中国では、70都市における3月の新築住宅価格は前年同月比3.1%高、4月も同4.3%高と上昇を続けている。しかし李克強首相の演説からこのところ住宅関連の発言が消えている。中国政府は、不動産バブルは起こしたくないが、かといって唯一の成長分野である不動産市場を殺すこともできないというジレンマに悩んでいるという。しかし、住宅価格の上昇は、持ち家がどんどん遠くなる国民の不満を駆り立て、すでに積み上がっている金融機関等の不良債権を、一層増加させることになるだろう。

 5月にブルーンバーグが行った906社の世界の機関投資家を対象とするアンケート調査では、2013年の最大のリスク要因は、36%が欧州債務、31%が中国経済を挙げている。逆に米国経済に対しては61%、日本経済は44%が改善見通しを示している。世界経済見通しは、53%が安定的、改善は24%、悪化は23%であった。

 FRB次期総裁候補として34%の票を得たのはイエレン副議長で、バーナンキ議長の続投を望む声が27%、この二人以外は該当者が無かった。昨今の金融緩和は行き過ぎだという回答は42%、適切との回答は40%で拮抗している。
 欧州債務問題ではキプロスとギリシャのデフォルトを予想する投資家がともに67%であった。また、今後6カ月間に保有を減少させる資産として最多の49%が米国債と日本国債であった。 (リサーチアンドプライシングテクノロジー社の「世界潮流」参照)

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