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再来する欧州危機

  • 2012-04-18 (Wed)15:45
  • 近藤雅世
4月16日スペイン10年国債利回りは6.0704%と昨年11月30日以来再び6%を超えた。
17日の短期債入札は無事終了したが、4月19日には2年物、10年物の国債入札があ
り、利回りが更に上昇するか予断を許さない状況である。

この背後には何があるのだろう?

問題の一つは、EUが官僚的に緊縮財政の目標ばかりを強調し、それにスペイン
政府が反発しているという点であり、ギリシャにも共通したものである。

3月20日EU首脳会議において財政規律を強化するための新条約「財政協定」が
締結されたが、同じ日、ギリシャは2012年度の財政赤字の対GDP比の目標を緩
和するという逆の動きを発表した。EUは今年のスペインの財政赤字目標をGD
P比4.4%とすることを求めていた。これに対しスペイン政府は5.8%という独自
の目標を設定した。スペイン政府の反乱である。
スペインの財政赤字対GDP比

その背景には、スペイン経済が単なる景気後退に留まらず、失業率の増加と物価
上昇という二つの難題を抱え、スタグフレーションになりそうだからである。ス
ペインにとって今大切なのは支出を切り詰めることではなく、収入を増やすこと
である。いかにして成長戦略を見出すか、人々の働く場を作って経済を立て直す
かが課題であるにもかかわらず、ドイツを中心としたEU首脳は、スペインやギ
リシャの財政赤字は分不相応な支出にあるとして、まずは緊縮財政を強いている。
それは、ますます返済能力を減殺させ、債務の泥沼から抜け出せなくなる構図で
ある。FT紙などは、EUの政策立案者が財政政策を単純な会計上の問題とみな
して、それによる動態的な影響を考慮していないと批判している。
スペインの失業率
二つ目の問題は、ECBが昨年12月と今年2月末に行った計1兆ユーロ弱の3年物
貸し出しであるが、これを使って欧州金融機関、ことにスペインの銀行は、スペ
イン国債を購入し、利ザヤを稼ぐことに成功した。そのおかげでスペイン国債の
売れ行きはよく、金利は下落し、ドラギマジックともてはやされて欧州危機は去
ったかのように見えた。

しかし、今や、その1兆ユーロの効力が早くも尽きかけている。スペインの金融
機関は12月に4.5%程度で、2月には3.5%辺りの利回りで、スペイン国債を購入
した。それが、現在は6%まで利回りが上昇しているということは、それだけ保
有した国債の評価損失が出ているということである。
スペイン国債の利回り

満期まで保有できれば、単なる途中経過の評価損失で終わる。しかし、追加でス
ペイン国債を購入して買い支えようにも、すでに資金は使いつくしている。その
上、スペインを含む欧州系金融機関は今年の年末までに社債償還に伴う資金需要
が推定6000億ユーロある。その資金を生み出すためには、国債を損切りして売却
しなければならない。それはスペイン国債の利回りを上げることになる。つまり、
スペインの新たな資金調達利回りは上昇するという構図になっている。市場はこ
れが続くと読んでいる。

もう一つ国債に関して市場が懸念していることは、ギリシャ国債で、実質75%の
債権カットが民間金融機関に対して行われ、それはCDS市場も巻き込んで大き
な損失を金融機関に与えた。

今後スペインやポルトガルなど他の欧州各国の国債でも同じことが起きる可能性
があると民間金融機関は身構えている。ECBはといえば、最終的に安値で金融
機関から買い取ったギリシャ国債を同値でギリシャに買い取らせ、自らは損失を
被らなかった。そうしたECBの態度に同じ手には乗らないと欧州金融機関は思
い始めており、ECBも二度同じことをやることはできない状況となっている。

つまり、欧州債務危機はECBによる大規模な貸出と、やEUによる民間金融機
関の負担を含めたギリシャ国債の借り換えにより一時しのぎはできた。だが、そ
れが欧州各国の真の債務問題解決には至っていないというのが市場が感じ始めて
いる新たな危機であり、スペインに始まり今後どこに飛び火するかわからない。

そうした意味で、今はだらだらしている金価格もいずれは上昇すると思う。
それまでにしっかり金価格は下がっていて欲しいと思う。その分上昇に勢いがつ
くからだ。

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