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ミツバチの減少は米国の穀物生産に影響はあるのか?

最近、蜂蜜にはまっています。
特に、横浜の中華街にある「薬蜜本舗」という蜂蜜専門店で扱っている
「九龍藤」というやや苦味のある蜂蜜がお気に入りで、
ヨーグルトやコーヒーに入れたりして、ほぼ毎日食べています。

天然の蜂蜜はビタミンやミネラルが豊富なほか、
抗酸化作用のあるポリフェノール、若返り効果があるといわれているパロチン、
腸でビフィズス菌を増やす働きのあるグルコン酸なども含まれているそうです。
砂糖などの他の甘味料に比べると値段がやや高めですが、
薬と思えば安いので、なるべく砂糖のかわりに使うようにしています。

さて、蜂と言えば、数年前から米国を中心にミツバチの大量失踪が話題になっています。
この現象は「蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)」と呼ばれており、
その数は米国で飼われているミツバチの約4分の1に登ると言われています。
米国ではこれからトウモロコシの受粉期に突入するわけですが、
この現象は米国の穀物生産量に影響はないのでしょうか?
米国農業にとって、授粉のためのハチの貸し出しは必要不可欠な要素となっています。
自然の受粉のみで現在のレベルの生産を行うことは非常に困難なためです。
米国の養蜂家は、蜂蜜の生産収入よりも、授粉のためにミツバチを貸し出す収入の方が
はるかに多いと言われています。

しかし、トウモロコシの受粉は主に風に頼っているため、
実はミツバチの大量失踪と生産量の減少に関係がありません。
トウモロコシのおしべが花粉を飛ばすのは1週間ですが、めしべの命はわずか4日間です。
米国のトウモロコシの作付面積は約8,500万エーカーとかなり広大ですから、
ミツバチだけに受粉を頼っているとすれば、
世界一の生産量を実現させるのは無理な話です。

では、なぜミツバチの失踪が問題視されているのでしょうか?
実は、米国で生産されているトウモロコシは約80%が遺伝子組換えされたものです。
これは「Btコーン」と呼ばれるもので、米国のノバルティス・シード社によって開発されました。
自然界に存在する土壌細菌「バチルスチューリンゲンシス(Rt)」が作る蛋白質を
トウモロコシに組み込んだもので、Btが毒性を発揮し、
茎や根を食い荒らす害虫を寄せ付けないという特徴を持っています。
つまり、天然の殺虫剤がトウモロコシ全体に行き渡っているのと同じ効果があります。

しかし、ミツバチがトウモロコシの花粉を全く栄養にしないわけではありません。
この殺虫蛋白質は特異(選択)性が高く、
哺乳類や鳥類などの脊椎動物には無害であるとされていますが、
ミツバチが何代にもわたって長期間摂取した場合については、
まだ具体的な実証結果が報告されているわけではありませんから、
余計に安全性について疑問視する声が強いのでしょう。

もちろん、「蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)」の発生は
他にも様々な原因があると見られていますから、
遺伝子組換え作物の増加だけを悪いと決め付けるわけにはいきませんが、
私たちの食生活は「不自然」な生産活動によって支えられているのだという
認識を持つことが必要なのかもしれません。

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