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最近の商品情勢


9月23日、26日の急落から少し市場は落ち着いてきたように見える。金は1600ド
ルを超えて横ばい、原油は、80ドル前半で横ばい、トウモロコシは600セントの
後半で横ばいである。欧州ではドイツ議会が欧州安定化EFSF(欧州金融安定ファ
シリティー)の拡充法案を可決した。米国では失業保険申請者件数が雇用環境の
良否を判定する40万人を下回った。ただ、市場はそれで安心したわけではなく、
何よりも景気が低迷したままであることに苛立ちを覚えている。

国家の財政赤字と景気の悪化が一度に襲っているところに、現在の経済情勢の根
深さがある。更に、各国政府は捻じれ国会を背景とした弱い政権であることが、
物事を一層複雑にしている。

欧州金融危機は、ギリシャが借金を返済できなくなるとギリシャの証文を抱えた
多くの欧州の銀行や、ECBの資金繰りが苦しくなる。大きな不良債権を抱えて、
資金の穴が開くからだ。それを埋め合わせるためには資本の注入しかない。アイ
ルランドの例で見られるように、健全財政だったアイルランドは、銀行が不動産
関連の不良債権を抱えたために、出資・融資せざるを得なくなり、その資金が丸
丸財政赤字となって、あっと言う間にGDPの11%に上り、今度は国家そのものの
債券が紙くずになるという危険に襲われた。そのためEUとIMFが急遽資金援助を
したものだが、同じような事態が、イタリア、スペイン、あるいはフランスにも
生じるかもしれない。

EFSFは、そうした時のための資金提供を行うものであるが、飽くまで資金であり、
収益ではない。その場しのぎのお金はいずれ利子を付けて返さねばならない。

本当の解決というものは、ギリシャの国家収入が支出より多くなることである。
それには、企業や個人が金儲けをして利益を上げる必要がある。GDPであらわさ
れる経済成長は、今やほとんどの国が止まったままである。収入が増えないとこ
ろに借金ばかり増える状況である。これがどんどん進めば、一体どうなるのであ
ろうか?

リチャード・クー氏は口を酸っぱくして財政投資をするべきだと述べている。
緊縮財政は後回しにして、今は誰もお金を使いたがらないので、せめて政府がば
ら撒き財政を行うべきだと述べている。確かに、企業は、設備投資しても売れる
見込みが無いから投資をはばかっており、個人は明日の収入がどうなるかわから
ないので、消費を削っている。かっては日本の状況であったが、今や米国初め世
界中がそうなっている。唯一の頼りが中国やインドであったが、今ではそこにも
陰りが見える。

当分経済全体が沈滞する可能性が高い。つまり、価格はそれほど上がらないかも
しれない。しかし、商品先物取引というのは、株と違って売りからも自由に入れ
る。何も価格が上がらないことを嘆く必要はない。価格は動かないといってもあ
る程度は上下する。その上下動をうまくつかめば収益を上げることは可能である。

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