- 2011-09-05 (Mon)20:24
- 近藤雅世
- 金
8月のFRB(米連邦準備制度理事会)によるFOMC(公開市場委員会)後のバーナン
キ議長によるジャクソンビルにおける講演は何の具体案も提示されずに
終わった。8月9日のFOMCで既に9月20日のFOMCは2日間の日程に延長して景気回
復策を徹底的に討論するという日程が了承されていたが、バーナンキ議長は、そ
のことをジャクソンビルでの講演まで取っておいたようだ。
つまり、9月20日に何か具体案を出すので、それまで待って欲しいということで
ある。その間に、先週末の非農業部門雇用者数の増減が市場予想の75,000人増が
ゼロだったことを受け、市場ではバーナンキ議長がQE3を打ちだす可能性が高く
なったと見ている。
金価格にとってQE3は必ずしも上げ材料とは限らないと思われる。原油やプラチ
ナ等の工業原料需要は、株価が上がると共に価格上昇への期待があるが、金にと
っては、ドル安、インフレ懸念という要因で強気にとらえるしかない。これまで
金価格が上がってきた基本的な要因は、銀行が倒産して預金が返金してもらえな
くなるという恐れであった。その原因は、サブプライム問題であり、ソブリンリ
スクであった。ソブリンリスクもギリシャがデフォルトになることは何の問題も
ない。ギリシャ国民にとっては徳政令というありがたい事態である。しかし、そ
れを何が何でも阻止しようとしたのはECBであり、ヨーロッパの中銀であった。
なぜなら、ギリシャ国債を大量に抱えているのはECBや中銀であり、また、欧州
の市中銀行であるからだ。ギリシャ国債のデフォルトは即不良債権の山を意味す
る。
しかし、QE3で資金が市場にジャブジャブになり、ドル安になると言うこと事態
が金高の直接的要因ではない。インフレは、景気が回復して初めてインフレにな
る恐れが出てくるが、QE3を行うことによって、果たして景気は回復するかどう
か極めて疑問なところが、なかなかバーナンキ議長がQE3に踏み切らない根拠で
ある。QE1、QE2で成功したのは、株高と商品高だけであった。企業は相変わらず
資金を借りる行動には出ず、雇用も悪化こそすれ、回復はしていない。個人消費
も以前は借金して消費する体質であった米国人は、将来の収入増が見えないため、
借金してまで消費する傾向は薄れている。銀行がいくらお金を貸しますよと企業
や個人にPRしても、使う気持が無ければ資金は国債や商品投資に走るしかない。
だが、9月20日〜21日ののFOMCではQE3に近い政策は出さざるを得ないだろう。政
策が手つまりだからである。バーナンキ議長は長期的な成長に必要な政策の大半
はFRBの範囲外にあると演説の最後で述べ、財政政策の重要性を強調している。
キ議長によるジャクソンビルにおける講演は何の具体案も提示されずに
終わった。8月9日のFOMCで既に9月20日のFOMCは2日間の日程に延長して景気回
復策を徹底的に討論するという日程が了承されていたが、バーナンキ議長は、そ
のことをジャクソンビルでの講演まで取っておいたようだ。
つまり、9月20日に何か具体案を出すので、それまで待って欲しいということで
ある。その間に、先週末の非農業部門雇用者数の増減が市場予想の75,000人増が
ゼロだったことを受け、市場ではバーナンキ議長がQE3を打ちだす可能性が高く
なったと見ている。
金価格にとってQE3は必ずしも上げ材料とは限らないと思われる。原油やプラチ
ナ等の工業原料需要は、株価が上がると共に価格上昇への期待があるが、金にと
っては、ドル安、インフレ懸念という要因で強気にとらえるしかない。これまで
金価格が上がってきた基本的な要因は、銀行が倒産して預金が返金してもらえな
くなるという恐れであった。その原因は、サブプライム問題であり、ソブリンリ
スクであった。ソブリンリスクもギリシャがデフォルトになることは何の問題も
ない。ギリシャ国民にとっては徳政令というありがたい事態である。しかし、そ
れを何が何でも阻止しようとしたのはECBであり、ヨーロッパの中銀であった。
なぜなら、ギリシャ国債を大量に抱えているのはECBや中銀であり、また、欧州
の市中銀行であるからだ。ギリシャ国債のデフォルトは即不良債権の山を意味す
る。
しかし、QE3で資金が市場にジャブジャブになり、ドル安になると言うこと事態
が金高の直接的要因ではない。インフレは、景気が回復して初めてインフレにな
る恐れが出てくるが、QE3を行うことによって、果たして景気は回復するかどう
か極めて疑問なところが、なかなかバーナンキ議長がQE3に踏み切らない根拠で
ある。QE1、QE2で成功したのは、株高と商品高だけであった。企業は相変わらず
資金を借りる行動には出ず、雇用も悪化こそすれ、回復はしていない。個人消費
も以前は借金して消費する体質であった米国人は、将来の収入増が見えないため、
借金してまで消費する傾向は薄れている。銀行がいくらお金を貸しますよと企業
や個人にPRしても、使う気持が無ければ資金は国債や商品投資に走るしかない。
だが、9月20日〜21日ののFOMCではQE3に近い政策は出さざるを得ないだろう。政
策が手つまりだからである。バーナンキ議長は長期的な成長に必要な政策の大半
はFRBの範囲外にあると演説の最後で述べ、財政政策の重要性を強調している。
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