- 2011-07-14 (Thu)17:56
- 近藤雅世
- 金
13日米国では砂糖以外のほとんどすべての商品価格が上昇した。一重にバーナンキ議長の発言によるものであろう。バーナンキ議長はQE3も考える必要があるとは言ったが、その前提にはデフレの恐れと一層の景気後退がある時というものであるが、人々は前提を無視してQE3が行われれば再び商品価格が上がるという発想となったようだ。実際問題としては、米国の景気や労働指標がすぐに改善する見込みは少ないと思われる。リチャードクー氏が言うように、今米国景気の回復にとって必要なのは財政投資であるが、その財政投資に足かせがはめられているからだ。ムーディーズは米国債の格付けを引き下げると述べた。8月2日に期限がくる米国の債務上限の引き上げがうまくできなければ米国債の一部がデフォルトとなる可能性がある。さすがにそれは避けようと共和党が緊縮財政の目標を引き下げて歩み寄ろうとしたところ格付け会社が出てきた。世界中同じパターンとなっている。本当に必要なのはリチャードクー氏の言うように財政出動であるとしたなら、ソブリンリスクがそれを遮っている。同氏の今週のマンデーレポートでは、アルゼンチンがデフォルトになった後いかに苦労したかが述べてある。結論としては、ギリシャがデフォルトになって立ち直ることは容易ではないということだそうだ。アルゼンチンには独自通貨があり、それを徹底的に安くすることができた。そのためドル建てで借金していた企業の大半がつぶれるなど多くの痛手も蒙ったが、農業と言う輸出産業があったため、通貨安が輸出を盛り建て、それが経済回復の決め手となったという。ギリシャには独自通貨も主要輸出産業もないという。日本はギリシャ以上にGDP比の高い負債を抱えている。右を向いても左を向いても余り景気が回復する話は見えてこない。ということは、金価格は上がるが、原油やプラチナ価格は余り上がらず、穀物は正に天候次第ということか。