- 2011-06-27 (Mon)16:07
- 近藤雅世
- 金
金価格が先週末の二日間で50ドルも下落した。これは原油価格が下落したためである。金独自の要因ではない。原油が米国景気がパッとせず、FOMCではQE2の後の対策が出されず、このまま景気の低迷が長引きそうな雰囲気になったところに、IEA(国際エネルギー機関)が米国からの要請を受けて世界の原油戦略備蓄を取り崩すと述べた。この原油下落にからんでは事前に情報が漏れて一部の投資家が空売りをしたというので、現在CFTCが取り調べている。原油備蓄の取り崩しを言わなくても、相場は下がり気味であったのに、大統領選挙を前にしたオバマ大統領はガソリンなど消費者物価の値上がりを恐れたのであろう。こうして市場に介入したのは、かなり勇み足だという批判を受けている。このあおりを受けて、ロンドンのコーヒーとシカゴ大豆以外は軒並み価格は下落した。一つは商品全体からの投資の撤退と、もう一つは、石油価格下落に伴う損失の穴埋めのための手仕舞い売りである。しかし、金やトウモロコシ価格は今後再び上昇すると思う。金の場合は、ギリシャ国会が6月29日に開催されて緊縮財政法案が審議される。仮に否決されるとIMFはEUに対してこの法案成立が条件と迫っているため、7月上旬の120億ユーロの融資が実行されない可能性がある。それは7月15日のギリシャの国債償還と利払いの遅延になりかねない。つまりデフォルトである。7月は120億ユーロの融資が実行されても、ギリシャの借金返済に出口はない。既にギリシャ国民は国内金融機関から預金を引き出して海外逃避しているという。その一部資金は金に回っていると言われる。今後欧州全体の金融機関に取り付けの可能性が出始めれば、預金が引き出されその資金が金に代わるだろう。だから1500ドルを切った金は買いではないだろうか?
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