- 2011-02-10 (Thu)17:13
- 近藤雅世
- とうもろこし
米国農務省から2月の需給報告が公表されたが、トウモロコシが一段と厳しい在庫率になっている。国内需要のエタノールが増え、トウモロコシ需要に占める割合が37%まで上昇して、需要量が7000万ブッシェル増加したため、在庫がその分減少し、ついに在庫率は5.00%に落ちてしまった。これは1995年/96年以来の低い在庫率であり、過去40年間で二度しかない低い在庫率である。そのため、シカゴコーン価格は発表と同時に24.25セント上昇して698.00セントとなった。いずれ7ドルになるかもしれないと言われていたが、既にほぼ7ドルである。1975年以来5ドルを超えたことは、二度しかなく、史上最高値は2008年6月27日の765セントである。トウモロコシ価格は非常に高いレベルに入ってきた。5%の在庫率では価格が上昇することもわかるが、おそらく3月末の作付意向面積はトウモロコシが多くなるものと思われる。今年度も昨年度より2.6%程作付面積は増加したが、5%ほど単収が落ち込み生産高が少なくなった。来年も単収が落ちるとは思われず、おそらく3月末の作付意向面積がかなり多い数字が予想される段階で価格は下落に転じるものと思われる。食料危機は各国政府が最も気にするところで、ことに中国やエジプト等の独裁政権の国にとっては食料価格の高騰から民衆運動が起きやすい。アルジェリアから始まったカルタゴ危機に、各国の為政者は食料確保に力を入れている。中国政府は農産物の増産指令を出し、韓国では豚の口蹄疫病の蔓延から豚肉の輸入関税を引き下げている。こうした動きは食料に対する需要を増加させるとも言えるが、一方で、食料に対する投機規制の動きも惹起しかねない。大連や鄭州市場では証拠金に相当する保証金率を上げたために、価格が沈静化した模様。シカゴでもCFTCは綿花市場に対して大口建て玉を持つ者に対して、買いの目的を聴取するように変わっている。投機をさせないための制限である。トウモロコシ価格は、需給のタイト化に上昇しているが、そろそろ天井を迎えると思う。
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