商品相場専門のアナリストが、独自の視点で最新の相場動向を分析! 先物投資で利益を上げるためのコツとファンダメンタルが学べます。株式、為替以外をポートフォリオに!と考えている投資家にもおすすめです。

Home > > アイルランドに850億ユーロ

アイルランドに850億ユーロ

  • 2010-11-29 (Mon)14:42
  • 近藤雅世
先週に引き続きアイルランドの話であるが、11月28日、EU理事会はアイルランドに850億ユーロ(約9兆5000億円)を融資することを決定した。欧州金融安定化基金7500億ユーロからの支出である。欧州に支援を求めるのはギリシャに続いてアイルランドが2カ国目。アイルランドは欧州連合(EU)から450億ユーロ、国際通貨基金(IMF)から225億ユーロを受け取るほか、自国の国家年金積立金基金から175億ユーロを拠出する。このうち、100億ユーロはただちに(銀行に)資本注入され、250億ユーロは緊急時の銀行支援枠、500億ユーロは財政支援枠として設定する。要するに半分はアイルランドの銀行救済措置に回される。
この決定に先立ちドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領、EUのファンロンパイ大統領(首脳会議常任議長)、そして欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は28日、あるユーロ圏参加国がトラブルに陥った場合、民間の債権者が負担を共有するとの提案で合意した。 つまり国債の保有者はどこかの国がデフォルトや返済繰り延べ、あるいはヘアカット(債権の一部棒引き)等のリスクを応分に担うべきだという。アイリッシュ銀行の社債は20%の償還となり、80%が損失となったが、国債においても同様なリスクが生じる可能性があるということになる。アイルランド危機は不動産バブル崩壊に伴う金融機関の倒産リスクであり、農業国家から急速に経済成長した歪みだともいえるが、同様な懸念がスペインとポルトガルに生じている。今のところポルトガルの財務相は28日同国の状況について報告し、ポルトガルが講じている措置について説明し、EUから同様の支援を受ける必要はないとの認識を示した。また、スペイン政府は先週17自治州に対し来年の歳出と債券発行に対して上限を設けることで合意したという。GDP比の財政赤字を今年の9.3%から来年は6.0%に引き下げると主張しているが、歳出の5割を占める自治州の協力がなければ達成できない。
アイルランドは一段落したとしても、PIIGSの国々の財政赤字削減は、いずれも厳しい歳出削減を伴った計画が達成できるかにかかっているが、各国の労働者や市民は反対行動を取っており、歳出削減を主導する政府は選挙に落選する可能性がある。こうした不安を抱えたEUは当分景気回復は見込めないだろう。
その影響が商品に対してどう表れるか。まず第一に直近ではユーロが再び安くなり、ドル高になっている。一方米国国民の株式離れが進んでおり、米国の株式MUTUAL FUNDの残高が減少しているという。一方で、米国からの海外株式MUTUAL FUNDの残高が増加しており、資金が中国Private Equity投資、インドの不動産投資、ブラジルの株式、豪州国債に向かっているという。短期的にはドル高で商品価格が下落しているが、中長期的にはドルも安くなり、新興国通貨が上昇するかもしれない。その動きは商品高につながるだろう。

Home > > アイルランドに850億ユーロ

キーワードで検索
リンク
Feeds
1. 免責事項
  • 掲載される情報は株式会社コモディティーインテリジェンス(以下「COMMi」という)が信頼できると判断した情報源をもとにCOMMiが作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、COMMiは保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。
  • 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はCOMMiに帰属し、事前にCOMMiへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
  • COMMiが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本資料に掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。
  • 本資料は、投資された資金がその価値を維持または増大を保証するものではなく、本資料に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの障害が発生した場合でも、COMMiは、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
  • COMMiおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場合があります。
  • 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
  • 以上の点をご了承の上、ご利用ください。
2. 商品先物取引の重要事項
商品先物取引の重要事項はこちら >>
3. ディスクローズについて
当社のディスクローズ資料は当社本支店および日本商品先物取引協会(本部・支部またはホームページ)で閲覧できます。
日本商品先物取引協会ホームページ >> [情報開示]
サンワード貿易ホームページ ディスクローズ情報>>
サンワード貿易お客様相談室
<北海道>電話:0120-57-5311  /  <関東>電話:0120-76-5311  /  <関西>電話:0120-57-5311

Page Top