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バブルを楽しみ、バブルを注意すべし

ご存じのように、FRB(米連邦準備制度理事会)は先週のFOMC(公開市場委員会)において6000億ドルの追加金融緩和を決定した。FRBによるPressRereaseを読むと、(8月に決めた2500億ドル〜3000億ドルの住宅ローン担保証券の)買い上げに追加して、2011年第2四半期までに6000億ドルの長期国債を毎月750億ドルの規模で買いあげる。委員会は定期的に国債の買い上げのペースと(住宅ローン担保証券が満期償還を迎えることによる)収入の状況に応じてその絶対額を見直し、雇用の最大化と価格の安定を目指すために必要な計画を調整するとのべ、0〜0.25%の金利をan extended period据え置くとのべました。ポイントは、定期的に見直すという言葉です。これが今後の政策に柔軟性を持たせています。インフレではないが、インフレになれば即座に対応するという構えを見せています。

さて、この声明により、世界の株価や商品価格は一斉に上昇しています。金価格は史上最高値を塗り替え、原油価格は86ドルになっています。先週末のNYDow平均株価の値上がりは11月2日に比べて2.3%ですが、日経平均株価は5%、上海は3.6%、インドは3.2%上昇しました。

FRBの狙いは、金融緩和によって資金が企業活動の活性化につながることを期待してはいますが、ほとんどのエコノミストはそうなるとは思っていないでしょう。それでも日本の国家予算に近い6000億ドルもの巨額の資金を市場にばらまくのは、資産バブルを創出するためです。株価が上がれば企業活動も個人の消費活動も上がるだろうという期待を込めたものです。しかし、これは非常に危険が考え方です。一つ間違えばインフレとなり、もう一つ間違えば、実体を伴わないバブルは崩壊するからです。バブルで生じた長期不況を制するのにバブルを以って行い、その間に実体経済が回復するだろうという希望的観測による一種の大博打です。

おそらく株価は今後も上がり続け、商品価格や新興諸国株も上昇するでしょう。しかし、そのために新興諸国の通貨は高くなるので輸出競争力が無くなります。新興諸国は輸出によって豊かになってきたため、すぐに内需に代われるかどうか難しい問題です。ブラジルや韓国は海外からの資金の流入に歯止めをかけましたが、これも国内景気を冷やす原因にもなるでしょう。そうした新興諸国の景気が再び悪くなれば、せっかく世界の経済が新興諸国の輸出景気によってなんとか保たれていたものが、火が消えてしまいます。そして残るのは、価格の上昇が足場を失い、急落するというバブル崩壊の連鎖です。

要するに、投資家はバブルを楽しまねばなりませんが、余りバブルに浮かれるといつか危ない目にあうという以前経験した道を再び通ることになるのでしょう。ことにバブル崩壊先進国の日本の投資家はその点経験知はあると思います。

バブルだから買うなとは決して言いません。バブル崩壊までにはまだかなりの時間があると思います。ですから買いによって収益を上げることはかなり可能でしょう。しかし、東京ゴムを除いては、ほとんどの商品に需給の支えが感じられません。ことに、とうもろこしは、明後日10日のUSDAの発表では今までの生産予想は増額修正されるでしょう。つまり価格は急落する可能性があります。

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