- 2010-07-26 (Mon)16:37
- 近藤雅世
- 金
先週23日に欧州中央銀行から公表されたストレステストの結果は、取りあえずは、欧州金融機関に不安は少ないというものであった。発表直後のNY金価格は7.8ドル下落した。ゴールドマン・サックスがテスト結果の発表前に行った調査によると、不合格が10 行、資本不足が計380億ユーロに達するとみられていた。しかし実際には、不合格は7行、資本不足は35億ユーロにとどまった。不合格になったうち5行が スペインの貯蓄銀行、残りはドイツとギリシャの銀行だ。7行は事前に予想されていた銀行であり、大きなサプライズはなかったが、逆に言えば、このテストは甘いという感触が市場に残っている。まず、ギリシャ等の欧州諸国のデフォルト(債務不履行)は無いとの前提であり、ギリシャ国債はのヘアカット率(担保価値削減率)は予想よりも少なく23%程度であった。デフォルトは無いかもしれないが、この3年以内にリスケジュールは十分あり得る。その場合欧州金融機関が保有するギリシャ国債は、7割がカットされるだろう。つまり、ヘアカット率は70%以上ではないだろうか。また、ストレステストの対象はトレーディング部門が計上していた資産に限られ、国債に対する銀行のエクスポージャーの大半が集中するバンキング部門の資産は 無視された。つまり、短期保有の国債だけが対象となり、長期で保有するものは、すべて満期まで保有することを前提とされた。しかし、実際問題として、リスケジュールになれば、満期に償還されるとは限らない。こうしたテストの甘さは今後の市場が銀行に対する見方で徐々に現れてくるだろう。それは中長期的な金高を醸成するだろう。
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