- 2010-05-24 (Mon)19:06
- 大場良博
- とうもろこし
シカゴトウモロコシ相場は依然として動意の乏しい展開が続いている。中国が国内価格上場を背景に約4年ぶりにトウモロコシの輸入に踏み切った影響により、一時的に盛り上がりを見せたものの、その後は輸出成約高に勢いが見られないうえ、もともとの国内在庫が多いだけに、継続的に輸入が行われるがどうかが疑問視されている。また、主要輸出国である米国やアルゼンチンで豊作予想が相次いで発表されていることも相場の重石となっている。
米国農務省から今月11日に発表された需給報告によると、
米国農務省から今月11日に発表された需給報告によると、
2010-11年度の米国トウモロコシの作付面積は8,880万エーカー、収穫面積は8,180万エーカー、単収(1エーカーあたりの収量)は163.5ブッシェル、生産高は過去最高の133億7,000万ブッシェルと予想されている。この結果、期初在庫と輸入を含めた供給量の合計は初めて150億ブッシェルの大台に乗ることになった。一方、需要は飼料・その他が53億5,000万ブッシェル、食品・種子・工業用が59億5,000万ブッシェル(うちエタノール46億ブッシェル)、輸出が20億ブッシェル、総需要は133億ブッシェルと予想されている。期末在庫は18億1,800万ブッシェル、在庫率は13.67%になる。つまり、需給に逼迫感はない。
なお、予想単収が5月の時点で160ブッシェルを超えたのは今回が初めてである。単収は生育期の天候によって左右されため、通常は7月〜10月かけて上方修正されるパターンが多い。今年の場合はただでさえ作付け面積が多く、作付け作業も円滑に進められているだけに、今後の天候に問題が生じなければ、さらに単収が上方修正される可能性が高い。
米国中西部の一部では降霜の被害が出ており、再度作付けが必要なところがあると伝えられているものの、作柄は総じて良好である。米国農務省が17日に発表したクロップ・プログレスによると、トウモロコシの作付け進捗率(16日現在)は前週比6ポイント上昇の87%となり、過去5年平均の78%を上回った。主要州ではアイオワ96%(前年同期89%)、イリノイ96%(同19%)などとなっている。発芽率(16日現在)は前週比16ポイント上昇の55%で、過去5年平均の39%を上回った。主要州ではアイオワ66%(前年同期50%)、イリノイ78%(同6%)。
世界第二位のトウモロコシ輸出国であるアルゼンチンの生産回復も顕著だ。ブエノスアイレス穀物取引所は、2009-10年期のアルゼンチンのトウモロコシ生産量予測を2,170万トンと、従来予測の2,140万トンから引き上げ、07-08年期に記録した過去最高実績に近い水準とした。北部の単収が事前予想を上回ったことが主な理由だという。なお、アルゼンチン農牧取引管理局(ONCCA)が14日に発表した報告によると、当局は2009-10年度のトウモロコシ輸出枠を300万トン拡大することを承認した。これにより1,300万トンの出荷が可能になる。いずれ輸入国側で安価な南米産に切り替える動きが活発化することが予想される。
トウモロコシ相場にとって唯一の強気材料は中国の輸入需要である。先々週、中国の飼料会社(COFCO)が30万〜35万トンの米国産トウモロコシを購入したと報道された。関係者によると、国内価格が高止まりするならさらに輸入する見通しだという。中国政府は既にCOFCOに対して最高50万トンの輸入を認可済みである。割当枠のうち6カーゴ、あわせて約36万トンのトウモロコシを購入したと伝わっている。中国の大連トウモロコシ先物価格は現在700セント前後で、需要が集中している南部の現物価格は更に100セント程度高く取引されている。つまり、南部の業者にとっては輸入物の方が割安な状況にある。米国農務省の予想によると、2010-11年度の忠告のトウモロコシ生産量は1億6600万トンと過去最高になることが予想されている。しかし、実際に豊作が確定したわけではないため、輸入のうわさは当面続くことが予想される。
ポイントは購入が1度限りなのか、それとも定期的に行われるのかである。中国側は遺伝子組み換えトウモロコシ輸入の際に特別な安全認証を要求しており、成約がキャンセルされる可能性も考えられる。また、11日の米国農務省の需給報告によると、2009-10年度の中国の輸入需要は30万トン、2010-11年度は10万トンと予想されており、急激に増加するというシナリオは描かれていない。そもそも中国のトウモロコシ在庫率は34%以上あり、どちらかというと余裕のある状態である。今後も定期的に輸入を行ってくるとは考え難い。トウモロコシ相場は、中長期的に弱含む可能性のほうが高いように思われる。
なお、予想単収が5月の時点で160ブッシェルを超えたのは今回が初めてである。単収は生育期の天候によって左右されため、通常は7月〜10月かけて上方修正されるパターンが多い。今年の場合はただでさえ作付け面積が多く、作付け作業も円滑に進められているだけに、今後の天候に問題が生じなければ、さらに単収が上方修正される可能性が高い。
米国中西部の一部では降霜の被害が出ており、再度作付けが必要なところがあると伝えられているものの、作柄は総じて良好である。米国農務省が17日に発表したクロップ・プログレスによると、トウモロコシの作付け進捗率(16日現在)は前週比6ポイント上昇の87%となり、過去5年平均の78%を上回った。主要州ではアイオワ96%(前年同期89%)、イリノイ96%(同19%)などとなっている。発芽率(16日現在)は前週比16ポイント上昇の55%で、過去5年平均の39%を上回った。主要州ではアイオワ66%(前年同期50%)、イリノイ78%(同6%)。
世界第二位のトウモロコシ輸出国であるアルゼンチンの生産回復も顕著だ。ブエノスアイレス穀物取引所は、2009-10年期のアルゼンチンのトウモロコシ生産量予測を2,170万トンと、従来予測の2,140万トンから引き上げ、07-08年期に記録した過去最高実績に近い水準とした。北部の単収が事前予想を上回ったことが主な理由だという。なお、アルゼンチン農牧取引管理局(ONCCA)が14日に発表した報告によると、当局は2009-10年度のトウモロコシ輸出枠を300万トン拡大することを承認した。これにより1,300万トンの出荷が可能になる。いずれ輸入国側で安価な南米産に切り替える動きが活発化することが予想される。
トウモロコシ相場にとって唯一の強気材料は中国の輸入需要である。先々週、中国の飼料会社(COFCO)が30万〜35万トンの米国産トウモロコシを購入したと報道された。関係者によると、国内価格が高止まりするならさらに輸入する見通しだという。中国政府は既にCOFCOに対して最高50万トンの輸入を認可済みである。割当枠のうち6カーゴ、あわせて約36万トンのトウモロコシを購入したと伝わっている。中国の大連トウモロコシ先物価格は現在700セント前後で、需要が集中している南部の現物価格は更に100セント程度高く取引されている。つまり、南部の業者にとっては輸入物の方が割安な状況にある。米国農務省の予想によると、2010-11年度の忠告のトウモロコシ生産量は1億6600万トンと過去最高になることが予想されている。しかし、実際に豊作が確定したわけではないため、輸入のうわさは当面続くことが予想される。
ポイントは購入が1度限りなのか、それとも定期的に行われるのかである。中国側は遺伝子組み換えトウモロコシ輸入の際に特別な安全認証を要求しており、成約がキャンセルされる可能性も考えられる。また、11日の米国農務省の需給報告によると、2009-10年度の中国の輸入需要は30万トン、2010-11年度は10万トンと予想されており、急激に増加するというシナリオは描かれていない。そもそも中国のトウモロコシ在庫率は34%以上あり、どちらかというと余裕のある状態である。今後も定期的に輸入を行ってくるとは考え難い。トウモロコシ相場は、中長期的に弱含む可能性のほうが高いように思われる。
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