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金価格が史上最高値を更新

  • 2009-11-04 (Wed)16:34
  • 近藤雅世
日本が連休中に金価格が2日連続して大幅に上昇し、史上最高値を付けた。これは、IMFが売却しようとしていた403.3トンが金価格の重しとなっていたものが、インドにその半分を1045ドル前後でアウトライトに売却することが決まったという報道によるもの。市場価格に影響を与えず、スムースに売却されたことを評価したものであった。
これだけでは金価格が上昇するにはいかにも弱いような気がする。その影には、米国の金融界を覆う新たな不安がかもし出されていたと想像している。それは、

NYタイムスによれば、Tishman Speyer Properies やBlackRockなどの投資連合が2006年Metraopolitan Lifeから総額54億ドルで買収したマンハッタン地区のアパート群の家賃引き上げに対してテナントが起こした訴訟において、米国最高裁はTishmanなどに対して4年間遡って総額2億ドルを返還するよう判決を下した。Tishmanは買収時には8.9億ドルの積み立てがあったが、今では24百万ドルしか残っておらず、年内にも倒産すると見られている。

この問題は、他不動産業者にも波及する恐れがある。この違法判決はこの物件だけに限定されるものではなく、NYタイムス紙は、同地区での他物件で値上げされた賃料に関しても返金要請が増えるだろうと述べ、不動産業者の連鎖的破たんを招く恐れがあると報じている。

更に、問題を複雑にしているのは、不動産融資債権がサブプライムローンと同様に証券化されていることである。こうした不動産業者の倒産は、金融界全体に影響が広がると思われる。

商業用不動産の典型である地方都市のショッピングモールは個人消費の低迷を受けて、閉鎖する店が相次いでいる。ショッピングモールの経営難が、そのまま融資した金融機関の経営を直撃している。

既に今年に入って米国の中小金融機関は100行以上が倒産。これは、貯蓄貸付組合(S&L)の倒産が相次いだ1980年代の「S&L危機」の水準に迫る勢いである。

ただ、商業用不動産価格の下落が金融不安に火を付けているとしても、今のところその情報は知る人ぞ知るレベルである。今後、実態として多くの大手不動産会社が倒産し、その余波が中小金融機関を直撃して、さらに商業不動産担保証券を保有する保険会社や証券会社に波及することが明白になれば、更なる金価格上昇が見込まれるだろう。

その点については、米国マスコミの取り上げ方を今少し見定める必要があるような気がする。

逆にもし、それほどのダメージもなく、商業不動産不況の危機が乗り越えられるなら、高くなった金価格はキャピタルゲインにより売却され高値で売り逃げる投資家が出るだろう。それは金価格を急激に下落させる可能性がある。

金価格にこのまま上昇トレンドが出るかどうかについてはもう少し様子を見たい。

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