- 2009-09-30 (Wed)17:37
- 近藤雅世
- 金
金や原油、ゴムの価格は方向感が見えない展開となっている。日本円建ては円高で下落して、円安の分だけ反騰している。円は藤井財務大臣の発言から88.23円と8ヶ月ぶりの円高となったが、藤井財務大臣の訂正発言等により、89円台まで戻している。28日にそれまで円売り他通貨買いを仕掛けていた投資家が、90円を切ったところで急に手仕舞い投げ売りに転じたため、一気に88円台まで進んだということらしい。従って円が強いわけではない。いつも思うのだが、IMFによれば、日本の名目GDPに対する公的債務の比率はG20の平均の72.5%対して217%に達している。米国でも81.2%である。米国の財政赤字が巨額だと言うけれど、1兆8400億ドル(約184兆円)に過ぎない。日本の財政赤字は930兆円である。米国の財政赤字のGDPに対する比率は13%、日本は180%である。日本の2009年度予算103兆円のうち、57兆円が借金である。どうしてこんなにひどい財政赤字の国の通貨が高くなるのか不思議でならない。民主党が官僚任せの予算を政治家の手に戻すと威勢のよいことをマニュフェストで宣言したが、いざ大臣副大臣が実際の予算で不要不急のものを削る作業を行い始めるとどれも必要に思えているようである。本当に政治家が指導力を発揮するか、官僚がこれはどうしても必要だという声に押されて、元の木阿弥となるか、予算編成を見てみたい。藤井財務相はテレビで予算には無駄が一杯あるので、9兆円程度の子供手当てなどの財源はすぐに出るとタンカを切っていたが、果たしてどうなることか。バブル崩壊後近年の企業経営においては、限られた財源や人材を選別した業務にシフトして生き残りを図ってきた。しかし、それを行うには強い経営指導力が必要だった。旧態勢力は必ず既得権を盾に抵抗する。(つづく)
さて、金も原油価格もここ当分は逆張りが有効となるだろう。トレンドが見出せないからだ。金価格はインフレになるから上がるという理論はさておき、消費者物価指数は2.4%のデフレであり、町では値下げ競争でメーカーが疲弊しつつある。米国でも昨日発表された米有力シンクタンクのカンファレンス・ボードによる9月の消費者信頼感指数は53.1と。8月の54.1(修正値)から予想外の低下となった。景気は一直線には上がろうとしない。株価は景気回復気配に上昇してきたが、二番底がある可能性は捨て切れない。そうしたムードは商品価格もトレンド無く漂わせる。下がったら買い、上がったら売るとこまめに動くしかないのではないだろうか。ただし、なんらかの事情でトレンドがどちらかに出始めたら、すぐに損切りすることをお忘れなく。
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