- 2016-03-02 (Wed)09:22
- 近藤雅世
- 金
先週わかりにくい季節に入っていると述べたが、まだその状況は続いている。NY金価格は昨年末の12月3日の1045.4ドルを底値に今年に入って急騰し、2月11日には1263.9ドルを付け、20.9%上昇したが、その後もみ合いに転じている。感覚的には押し目を作ると思っている。なぜなら、NY金に対するファンドの買いが5週連続で増加しており、ネット買い残が膨らんでいるからだ。金のネット買い残は昨年12月15日段階で、1万3,656枚しかなかった。それが、今年に入って1週の小幅減を除いて7週連続で万単位で買われており、2月23日時点では17万8,979枚と13倍に増加しており、17万枚のネット買い残は、昨年2月10日以来一年ぶりの多さである。こうした買い残はどこかで売り閉じられるものと思われる。したがって短期的に下押しがあるのではないだろうか。
ただ、中長期的には中国の不良資産の問題が世界経済に重くのしかかっている。OECDの経済開発会議議長によれば、現時点の世界の企業の負債総額は2007年のそれを上回っているという。世界の中央銀行は、何度も金融緩和という流動性を増す手法でこれに対処してきたが、実は中央銀行は資金不足に対応する手段は持っているが、債務超過を正す方法は持っていないと述べている。借金を新たな借入によって返済しても、借金は膨らむばかりで抜本的な解決にはならない。新しい収益を見つけるか、または誰かが痛みを伴って債権を切り捨てる以外に整理する方法は無い。困ったことに、中国は一党独裁国家である。民主主義国家であれば、企業整理により多くの失業者が出ても、選挙により代わりの政権が担当することになり、政治問題にはそれほど発展しない。しかし、硬直した独裁制では、民衆の不満は政権打倒に向かう。それに対して北朝鮮のような強権発動で押さえつけるか、ロケットを打ち上げて対外的な緊張関係に大衆の目をそらすか、いずれにせよ経済問題で済む話が政治問題に発展する。こうした中国の行く末を想像すると、これから一時的に下がるかもしれない金は、下押ししたときに再び買うべきだと思う。ただ、原油は買ってもこうした事態には役に立たないだろう。
ただ、中長期的には中国の不良資産の問題が世界経済に重くのしかかっている。OECDの経済開発会議議長によれば、現時点の世界の企業の負債総額は2007年のそれを上回っているという。世界の中央銀行は、何度も金融緩和という流動性を増す手法でこれに対処してきたが、実は中央銀行は資金不足に対応する手段は持っているが、債務超過を正す方法は持っていないと述べている。借金を新たな借入によって返済しても、借金は膨らむばかりで抜本的な解決にはならない。新しい収益を見つけるか、または誰かが痛みを伴って債権を切り捨てる以外に整理する方法は無い。困ったことに、中国は一党独裁国家である。民主主義国家であれば、企業整理により多くの失業者が出ても、選挙により代わりの政権が担当することになり、政治問題にはそれほど発展しない。しかし、硬直した独裁制では、民衆の不満は政権打倒に向かう。それに対して北朝鮮のような強権発動で押さえつけるか、ロケットを打ち上げて対外的な緊張関係に大衆の目をそらすか、いずれにせよ経済問題で済む話が政治問題に発展する。こうした中国の行く末を想像すると、これから一時的に下がるかもしれない金は、下押ししたときに再び買うべきだと思う。ただ、原油は買ってもこうした事態には役に立たないだろう。
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