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アイルランド危機沈静化でユーロ高ドル安商品横ばい

  • 2010-11-22 (Mon)16:13
  • 近藤雅世
11月12日から反落傾向にあった商品価格はようやく横ばいになってきた。アイルランド危機がEUとIMFが800億〜900億ユーロを支援するという方向でアイルランド危機は免れそうであるため、ユーロ高ドル安になってきたせいである。ドル安すなわち、商品高という構図となる。アイルランド危機はギリシャと違い、政府の問題ではなく、銀行の問題であった。アイルランドは、リーマンショックの後最も早く危機が発覚した国で、いち早くアイルランド政府は個人投資家の銀行預金を全額保証するという措置を採った。そのため、英国で生じたような銀行取り付け騒ぎは起きなかった。しかし、現在企業がアイルランドの銀行から預金を引き出す傾向に拍車がかかっている。企業は保護されないからだ。11月初旬だけで、アイルランドで最も安定感のある大手銀行バンクオブアイルランドの総預金でさえも、その12%に相当する100億ユーロの法人預金が流出したという。従って、アイルランドの問題はソブリンリスクではなく、金融危機そのものである。3大銀行は2011年第14半期に60億ユーロの銀行債の借り換え時期を迎える。(つづく)

第一次大戦後に独立するまで、長年に渡って英国に搾取され続けた貧しい農業国のアイルランドは、90年代には法人税の大幅な減税や、IT企業の積極的な誘致策などが功を奏し、奇跡的な経済発展を遂げた。それまでは西欧諸国で最も貧しい国の一つだったアイルランドは、21世紀の初めには、一人当たりのGDPが世界のトップクラスへと変貌した。

住宅バブルは、そのような経済の大ブームと若年層の多い人口ピラミッドや東欧からの移民流入という状況から、ある意味では起こるべくして起きた事態と言える。1992年から2006年までに住宅価格は3.5倍近く上昇した。そして、バブルの崩壊はリーマン・ショック以前から少しずつ始まっていた。

アイルランド政府は、昨年4月に世界に先駆けてバッド・バンクを設立して銀行の不動産開発関連のすべてのローンを買い取るという大胆な策を発表し、段階的にこの策を実施してきた。アイルランドにとって不幸だったことは、アイルランドの金融機関の資産規
模がGDPとの対比で大きすぎたことと、そして大手銀行の一つであるアングロ・アイリッシュ銀行の傷があまりにも深かった事だ。アングロ・アイリッシュ銀行は経済のピーク時に無謀な開発案件を数多く手がけて、アイルランドの銀行救済に投入されている税金のほとんどの部分がアングロ・アイリッシュ銀行一行に投入される結果になった。

アングロ・アイリッシュ銀行救済に必要な資金が、巨額なものになることが判明したのが9月初めのことで、金融機関救済によりアイルランドの財政が一段と悪化したことで、ユーロ圏諸国からの救済を要請する必要性に迫られているのではないかという観測が浮上したことから出発したものだ。

そしてその懸念はようやくIMFとEUが資金を貸し付けることで収まりそうである。
一時的にドル高だったが、再びドル安の傾向が続くだろう。ただ、ドル安になったからといってすぐに商品価格が上がるとは思えない。今週はサンクスギビングホリデーであり、ファンドマネージャーは一斉に休暇に入るからだ。横ばいがいいとこだろう。

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