- 2010-06-29 (Tue)11:45
- 近藤雅世
- 金
金の強気の背景は、米国の金融不安と欧州の金融危機であった。どちらも一段落しているが火種が消えているわけではない。米国の銀行倒産件数は、先週25日時点で1月から95行を数えることができる。昨年は140行だったので、すでに昨年以上のペースで米国では金融機関が倒産している。背景には住宅不況があるだろう。ケースシラーの住宅指数は3月までしか出ていないが、ロイターの住宅価格指標では、少し上昇傾向がみられる。しかし、400万戸の中古住宅在庫の他に300〜500万戸の影の在庫を銀行が担保流れとして抱えていると言われ、当分米国の住宅価格は上がらないだろう。(つづく)
ということは住宅ローンの資産価値は上がらず、借り換えが不能なので、ローンを返済するために住宅を銀行に返す人がまだ続くということである。新規の住宅需要も低迷したままであろう。大手の住宅金融機関の話題としては、ファニーメイとフレディーマックという政府系金融機関の上場が廃止となった。株価が下落し出来高が減少したためであるが、上場廃止により資金調達手段は無くなり、政府支援が無ければ倒産する状況となっている。政府の青天井の支援がどこまで続くか。しかし、その手を緩めれば、世界中の金融機関や中央銀行さえ両社の住宅ローン債権を抱えているので、たいへんな状況になってしまう。そうした危うい状況に支えられての米国経済である。だから金はまだまだ根っこは強いと言えよう。ただ、ファンドの建て玉が増加しており、かなり多い水準に来ているので、史上最高値をどんどん更新する雰囲気にはないところが難しいところである。
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