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金価格は1400ドルを目指す

  • 2010-03-10 (Wed)18:20
  • 近藤雅世
本日は二つの弱気コメントが出ていた。一つは中国の国家外貨管理局の易綱局長(中国人民銀行副総裁)が外貨準備の中で金を増やすことに消極的な発言を行ったこと、カナダのトロント・ドミニオン銀行の主任エコノミスト、ドン・ドラモンド氏は8日、2011年末までに金相場が20%以上下落する可能性が高いとの見通しを示したことである。しかし、金価格は高くなると敢えて予想したい。(続く)


金価格を20年前から月足で見ると、2002年頃から上昇基調となり、2008年末、2009年末の下落局面を乗り越えて上昇トレンドが途切れていないことが見て取れる。そしてその先には年内に1400ドルを目指す動きがある。

ファンダメンタル的な論拠の一つは、ここで繰り返し述べているギリシャである。ギリシャの問題は3月中にどうなるかという忙しい問題であり、その余波は欧米の金融機関を巻き込んで世界的な規模となる可能性がある。もう一度ギリシャの現在までの状況を整理すると以下となる。

ギリシャの国債発行残高は2,900億ユーロ(約35兆6,700億円)である。ギリシャの銀行が約390億ユーロ(約4兆8,400億円)を保有、ギリシャ以外の欧州各国は6割を保有しているが、その半分は銀行が保有している可能性が高い。そのうち4月〜5月にかけて約220億ユーロ(約2兆7,500億円)のギリシャ国債の償還がある。この償還に要する資金を3月中に手当てしないとギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥る。

 ギリシャ政府は3月3日、今年3度目の財政緊縮案を公表し、増税と財政支出の削減で総額48億ユーロ、対国内総生産(GDP)比で2%に相当する財政健全化を行うという。付加価値税(VAT)を2%引き上げて21%とし、燃料・タバコ・酒類の税率を引き上げる。年間10万ユーロ(約1,230万円)超の高所得層、教会などの大規模不動産保有者、宝石など高級品購入者も増税対象となる。支出面では公的部門の人件費を圧縮し、年金も一部凍結される。
 しかし、この提案に反発して、ギリシャ最大の民間労組GSEEは、月内にストライキを行う方針を明らかにした。また、ギリシャ国民の世論調査では、1,400人の回答者のうち、この追加財政再建策については「支持しない」が60%、「支持する」が39%だった。回答者の65%は、追加財政再建策の内容が「不公平」だと指摘。33%は「公平」だと答えた。

 問題は、ギリシャが3月中に220億ドルの借り換え資金を手当てできるかどうかである。
 一つは欧州や米国による融資であり、一つは、起債による資金調達である。ギリシャのパパンドレウ首相は、フランスのサルコジ大統領を訪問し、支援を要請した後、9日米国オバマ大統領と会談している。しかし、両国から直接的な資金支援の約束を取り付けることは出来なかった。

 フランスは、ドイツがギリシャに資金援助をすればフランスも応じると述べているが、ドイツは国民の8割がギリシャへの資金援助に反対している。メルケル首相が国民の声を押し切ってギリシャに融資することは、政治生命を懸けることになるだろう。

 米国では、ギリシャ首相は投機への規制強化で米国に協力を要請した。首相によると、オバマ大統領は金融規制の強化に積極的な反応を示したという。欧州でもCDSに対する規制強化案が浮上している。 

 ギリシャ首相は、ドイツに対し第二次世界大戦の賠償金問題を出したが、これは既に解決済みである。

 ドイツとフランスはEU域内問題をIMFに委ねることを潔しとせず、ドイツのメルケル首相は8日、欧州連合(EU)加盟国の経済・財政状況を監視し、金融支援を行う「欧州通貨基金(EMF)」の創設を支持する考えを示した。フランスも同調した。国際通貨基金(IMF)の欧州版だが、昨年12月に発効したEU新基本条約のリスボン条約の改訂が必要となるため、実現にはも数年の交渉が必要とみられる。つまり、今回のギリシャ危機には間に合わない。

 4日、ギリシャ政府は50億ユーロの国債入札を行った。幸い3倍近い応募を得た。応募したのは、欧州系銀行や保険・年金基金などでヘッジファンドはほとんど手を出していないという。新規10年債の金利はドイツ国債のほぼ2倍の水準に当たる6.4%程度となりそうだ。最終的にはEUとIMFなどの介入でデフォルトは回避されるだあろうから低金利時代にあっては6%は悪くないという発想も働く。

 今日までのところ、220億ユーロのうち50億ユーロは高金利により資金手当てが出来た。今後の起債の消化が注目される。

仮にギリシャのデフォルトがあり得る状況になれば、欧州の金融機関の大半と欧州各国が不良債権を抱えることになる。既にユーロ安であるが、一層ユーロは売られるだろう。そしてPIIGS諸国のみならず、最近ポンド売りが激しい英国の金融界も揺さぶるだろう。
こうした金融不安は金価格を上げるだろう。たとえデフォルトが起きなくても金価格はその可能性を恐れて上昇すると思う。IMFが乗り出して救済措置を採ることが筋書きであり、その時は金価格は下がるかもしれない。
しかし、事はギリシャだけに収まらないと思うので、一旦下落するとしても、金価格はその後も強いのではないだろうか。

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