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プラチナとパラジウム1

パラジウム価格がプラチナ価格の1.5倍に上がり、金の価格も追い抜いてしまった。NYパラジウム価格は1月14日1297.3ドルの高値を付け、一時的にNY金の1291.3ドルを抜いた。またNYプラチナ価格は802.5ドルなので、パラジウム価格はプラチナ価格の1.6倍になった。

 プラチナもパラジウムも南アの鉱山で一緒に産出する。現在は地底1000mをモグラのように掘削してわずか1cmの鉱脈を探してその上下50cmの土を地上に掘りだす。その土を大きな鉄のボールがたくさん入ったキルンで粉砕し、粉末を化学薬品が入った貯槽に入れて沈殿させ、それを溶鉱炉に入れてニッケル純分を分離する。出来上がったバケツ一杯のプラチナ鉱石をヘリコプターに乗せて精製工場に運びここで硫酸や塩酸の入った溶液で溶かして析出させるとプラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムなどのプラチナ族金属が精製される。数百トンの鉱石を掘り出して、作られたのがテーブルの上に乗る豆腐状の堅い塊である。これがプラチナインゴット、あるいはスポンジと呼ばれる丸い粒状の物質である。

 これらの用途は半分以上が自動車触媒である。なぜかわからないが、プラチナ族金属の側を通過した気体は激しい酸化還元反応を引き起こす。プラチナやパラジウム等は何ら変化がないのに、HとCの塊のガソリンを燃焼させて酸化してできるCO,NOx、HC等の猛毒ガスがプラチナ族金属に触れただけで
CO2に酸化されたり、N2やH2に還元され、無毒化される。自動車のエンジンをかけてその排気ガスを直接吸えば即死の猛毒ガスが排出されているが、エンジンのそばやマフラーに装着される触媒を通せば、こうして無毒化された排気ガスが出る。それでも二酸化炭素は地球温暖化の元凶とされ排出基準は毎年厳しくなっている。

 プラチナは主にディーゼル車に使われ、パラジウムは主にガソリン車に使われている。といっても勘違いされないように、ガソリン車でもプラチナとパラジウムやロジウム、イリジウム、セリウム等がペースト状(インク状)にして混ぜ合わさって、セラミックのハチの巣状に穴の開いた棒の表面に塗布されている。(以下次号)

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